準 准 違い 意味 使い分け

」と「」は、どちらも「じゅん」と読める漢字です。「准教授」「准看護師」などのように普段からよく用いられています。

両者ともよく似た漢字ですが、違いはどこにあるのでしょうか?本記事では、「準」と「准」の使い分けについて詳しく解説しました。

「準」の意味・使い方

 

まずは、「」の方からです。「準(じゅん)」には「他の似たものと比較してそれに近いもの、近い扱いを受けること」という意味があります。

「準」は、本来の字訓が常用漢字表には掲げられていませんが、「なぞらえる」と同じ意味を持っています。

「なぞらえる」とは「ある物事を類似したものと比較して、仮にそれとみなす」という行為です。「準用・準拠」の「準」がこれで、「準ずる・準じた」のように言います。

次に掲げる「準」の用例も、この意味に該当します。

準会員・準軍人・準公務員・準禁治産者・準母子家庭・準文書・準共有・準契約・準委任・準占有・準平原・準丘陵・準宝石・準硬石・準法律行為・準現行犯・準職務犯・準決勝・準本場所・準急・準星

一部で「準金持ち・準宿無し」などのように用いられるのも全く同じです。「準」のこのような用例はいずれも明治以後に入ってからだと言われています。

「准」の意味・使い方

 

次に、「」についてです。「准(じゅん)」には「身分・資格としてその次の地位にあること」という意味があります。

「准」の方は、明治よりもさらに古くから使用が確認されています。例えば、次のような用例です。

準三宮(じゅんさんぐう)」⇒太皇太后宮(たいこうたいごうぐう)・皇太后宮(こうたいごうぐう)・皇后宮(こうごうぐう)の場合と同じ扱いをする。

准大臣(じゅんだいじん)」⇒大臣の下、大納言の上の扱いをする。

准参議(じゅんさんぎ)」⇒参議と同じ扱いの官で、四位の人が任ぜられる。

上記3つの名称は、いずれも身分や資格として次の地位にあるものを表しています。

そして、明治以後に用いられたものでも以下のような名称が使われています。

准判任官・准士官・准教員・准勅祭社・准尉・准将・准教授・准看護婦

「准」の方は「準」よりも古くから存在しており、なおかつ現在も使われている漢字となります。

「準」と「准」の違い

準 准 違い 漢字

ここまでの内容を整理すると、

」=他の似たものと比較してそれに近いもの、近い扱いを受けること

」=身分・資格としてその次の地位にあること。

ということでした。

つまり、「準」は「似たもの・近いもの」であるのに対し、「准」の方は「身分や資格が次の地位にあるもの」ということです。

例えば、「準公務員」という言葉がありますが、これは「公務員のような公共性のある仕事に就いている者」のことです。「準公務員」は「みなし公務員」とも呼ばれ、公務員と似ていますが、実際には公務員ではありません。

具体的に言いますと、郵便局の職員や電力会社の職員など国民の生活に欠かせない仕事が当てはまります。もちろん、民間の仕事ですから公務員試験などはありません。

これに対して、例えば「准看護師」などは、「看護師という仕事があり、その次の地位として同じような仕事をする者」という意味です。

「准看護師」は「看護師」とは資格の名称が異なり、業務を行う時の制限などに違いが出てきます。しかし、仕事内容や業務の中身は共通している部分があります。

文字通り、「看護師」の次の地位という位置付けの仕事を「准看護師」と呼ぶということです。ただ、どちらも言い回しが異なるだけで、結局の言っていることはほとんど変わりません。

「公務員」は「準公務員」と近いものですし、「准看護師」も「看護師」と似たものであることに変わりはないからです。そのため、「準」と「准」の違いはほとんどないと言うこともできます。

「準」と「准」の使い分け

準 准 使い分けとは

一方で、両者の常用漢字表を確認してみると、「準」と「准」は別の文字として掲げられています。

したがって、常用漢字表に従い「準」と「准」を用いるとするならば、やはり両者の使い分けは必要ということになります。

両者の一番の違いは、その漢字の種類にあります。元々、「准」「準」の俗字でした。

「俗字(ぞくじ)」とは「正字」の反対語で、「正式な漢字ではないけども、社会一般に使われている漢字」のことです。「恥」を「耻」、「卒」を「卆」、「館」を「舘」などと書くのが「俗字」の例です。

今回の「じゅん」で言うと、「准」の方は正式な漢字ではないけども、一般に用いられている漢字ということです。

俗字は世間一般では通用しますが、正格ではない字体の文字です。手書きなどで用いられることはありますが、正式な文書では用いられることはほとんどありません。

ゆえに、「正字」と「俗字」の原則から考えれば、「準」の方を積極的に用いるという結論を出せそうです。

ただ、一方で漢字の母国である中国の字書には、「、俗にニ作ル」「ト同ジ」とも書かれています。したがって、「準」と書くべきところに「准」を書いてもその点では誤りとは言えないのです。

結局の所、常用漢字表では両者は別々に表記されていますが、現在において、お互いを厳密に使い分ける基準というものが明確には存在しません。

よって、一般に使う際には、

」=「地位や資格の名称に使う

」=「地位や資格以外の似たもの・近いものに使う

という認識で覚えておけば問題ありません。

なお、字体についても触れておくと、「常用漢字表」に掲げられた字体だと「準」は「サンズイ」で「准」は「ニスイ」です。

この場合、「準」を「ニスイ」で「」と書くのは俗字としてありますが、「准」を「サンズイ」で「」と書く慣用はありません。その理由は、「」の方は「ワイ」という字音を持つ別字だからです。

中国東部に黄河と揚子江の間を東に流れる川で「淮水」がありますがこれは「わいすい」と読みます。その南を「淮南(わいなん)」、北を「淮北(わいほく)」と読むのも「淮」の字音を表していると言えます。

「準」と「准」の例文

 

最後に、「準」と「准」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

【準の使い方】

  1. 今回の決勝は、実力がほとんど同じ者同士の対決となった。
  2. お手数ですが、早めに夕食の備をするようにお願いします。
  3. 急行列車よりもやや停車駅の数が多い列車を急行列車と呼ぶ。
  4. 宝石とは、水晶・瑪瑙(めのう)など主に装飾に用いられる鉱物である。
  5. 地表が長期にわたり侵食を受け、起伏が平らになると平原が生まれる。

【准の使い方】

  1. 大学の教授の年収は、各大学や教える内容などによっても異なる。
  2. 彼女は前職のキャリアを生かして、看護師として再就職する予定だ。
  3. 大臣は、大臣に欠員がないときに大臣にじて置かれる役職である。
  4. 将は大佐の上、少将の下に位置する将官を指し、米国の軍人階級に用いられる。
  5. 三宮」とは、太皇太后、皇太后、皇后の三宮にずる待遇を与えられた人を表す。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

」=他の似たものと比較してそれに近いもの、近い扱いを受けること

」=身分・資格としてその次の地位にあること

違い」=意味自体に違いはほとんどない。「准」の方は俗字。

使い分け」=「准」は地位や資格の名称に使い、「準」は似たものに使う。

「准」の方は「准教授」などの地位や「准看護師」などの資格を表す時に使われます。一方で、「準」の方はそれら以外の似た対象、近い対象に使うと覚えておきましょう。