偕老同穴 意味 使い方 由来 例文 類語 英語訳

「偕老同穴」という四字熟語をご存知でしょうか?

主に結婚式や披露宴などのスピーチで使われるため、社会人の方であれば一度は聞いたことがあるかもしれません。ただ、具体的にどう使うのかまでは分からないという人が多いと思われます。

そこで本記事では、「偕老同穴」の意味や由来、類語・英語などを含め分かりやすく解説しました。

偕老同穴の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【偕老同穴(かいろうどうけつ)】

夫婦が仲むつまじく添い遂げること。夫婦の契りがかたく仲むつまじいたとえ。夫婦がともにむつまじく年を重ね、死後は同じ墓に葬られる意から。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

偕老同穴」は「かいろうどうけつ」と読みます。

意味は、「夫婦の仲が良く、固く結ばれていること」「夫婦が死後も仲睦まじく結ばれていること」という意味です。

「偕老」は「ともに老いること」、「同穴」は「死後も同じ墓穴に入ること」という意から、夫婦が生涯固く結ばれることを表します。

実際の使い方を例で見ていきましょう。以下は、結婚式でよくあるスピーチの文言です。

本日は、当式場神前におきまして、Aさん・Bさんの婚礼の儀が滞りなく行われました。お二人が偕老同穴の誓いを新たにされたことを、ここに謹んでご報告申し上げます。それとともに、新郎・新婦をはじめ、御両家の皆様に心よりお喜び申し上げます。

結婚式では、主に仲人の方が新郎新婦に対してスピーチを行います。そして、スピーチの中で夫婦がずっと仲良く幸せになれるようにという意味の言葉が使われます。

上の例文では、「夫婦仲が固く結ばれて、一生涯添い遂げるような関係性になるように」という意を込めて「偕老同穴」が使われているわけです。

偕老同穴の語源・由来

 

「偕老同穴」は、中国最古の詩集である「詩経(しきょう)」が由来となっています。以下、実際の引用部分です。

執子之手、與子偕老」(子の手を執りて)

穀則異室、死則同穴」(子と偕(とも)に老いん)

これらを簡単に訳すと、「夫婦は子によって一緒に老いて、そして最後は同じ墓に入る」となります。もっと簡単に言えば、「共に生きて共に死ぬ」ということです。

転じて、現在の意味である「夫婦仲が良く、死後も仲良く結ばれていること」を表す意味になったと言われています。

実際には、この詩経の真の結末は、仲の良い夫婦を誓った二人がそれをできずに別れを迎えるという嘆きの詩でもあります。しかし、現在ではそういった悲しみの要素は消え、純粋に夫婦が深い愛情で結ばれて共に死んでいくという前向きな意味として使われています。

なお、中国の海底には「偕老同穴(ウミヘチマ)」と呼ばれる体長5~20センチ程度の海綿動物がいます。ウミヘチマの胃腔の中には、雌雄一組のエビが同居しており、終始そこから出ないという特徴があります。

この事から、はじめはエビをカイロウドウケツと呼んでいましたが、後に海綿動物の名となりました。そのため、現在では「偕老同穴」は「カイロウドウケツ科の海綿動物の総称」という意味で使われることもあります。

偕老同穴の類義語

偕老同穴 類義語 言い換え

続いて、「偕老同穴」の「類義語」を紹介します。

百年偕老(ひゃくねんかいろう)】⇒夫婦仲がいつまでもよいこと。百年共に暮らすほど仲がよいという例えから。
鴛鴦之契(えんおうのちぎり)】⇒オシドリのように夫婦仲がよいこと。「鴛鴦」はオシドリ。「鴛」が「雄」、「鴦」が「雌」を指す。
琴瑟相和(きんしつそうわ)】⇒人と人の仲、特に夫婦の仲がよいこと。「琴」は小型の琴(こと)、「瑟」は大型の琴を指す。琴と瑟とは常に合奏し、音がよく調和するため。
鳳凰于飛(ほうおううひ)】⇒おおとりの雌雄のように、夫婦仲がよいこと。「鳳凰」は想像上の鳥で「おおとり」を指す。「于」は語調を整える言葉で「ここに」という意味。
比翼連理(ひよくのれんり)】⇒夫婦仲がよいこと。相思相愛の間柄。「比翼」とは「雌と雄がそれぞれ目と翼を合わせて持ち、常に一体となって飛ぶ想像上の鳥」を指す。「連理」とは「1本の木の枝が他の木の枝と連なって木目が通じている」という意味。

以上、5つの類義語を紹介しました。基本的には、「夫婦の仲が良い様子」を表す言葉であればすべて類義語と呼べます。

四字熟語では、仲が良い様子を自然界の鳥に例えて表現するものが多いです。これは「オシドリ夫婦」などの言葉もあるように、昔から鳥の雄雌は仲がよい生き物という共通認識がされていたからだと言えます。

偕老同穴の英語訳

 

「偕老同穴」は、英語だと次のように言います。

①「a happily married couple(仲がよい夫婦)」

②「until death do us part(死が二人を分かつまで)」

①は直訳すると「幸せに結婚したカップル」という意味です。転じて、「仲睦まじい夫婦」という意味で使うことができます。

また、②は結婚の誓いを表現するような時に使える表現です。

英語圏の代表的な宗教であるキリスト教では、人が亡くなった後は天国に行くと信じられています。そのため、「死んで天国に行くまでは一緒にいる」という意味でお互いの愛を誓いあうような時に使います。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

They are famous as a happily married couple.(彼らは仲がよい夫婦として有名だ。)

I promised to be there for until death do us part.(私は死ぬまで一緒に居ると約束した。)

補足すると、海綿動物の方の意味だと、「偕老同穴」は「a Venus flower basket」 と言います。こちらは当然、仲がよいという意味ではないので注意してください。

偕老同穴の使い方・例文

 

最後に、「偕老同穴」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

  1. 新郎は新婦に対し、結婚式場で偕老同穴を誓った。
  2. 彼は偕老同穴、今の妻と生涯共に暮らすことを宣言した。
  3. お互いの愛を確かめ合うように、偕老同穴の契りを結んだ。
  4. 亡き妻との偕老同穴の契りを全うし、夫は天国に旅立った。
  5. 偕老同穴のような夫婦を誓い、両者は婚姻届けを提出した。
  6. あの夫婦は結婚して50年も経つのに本当に仲がよい。まさに偕老同穴だ。
  7. 結婚してまだ1年目ですが、今後も偕老同穴でいることが私たちの目標です。

 

「偕老同穴」は、新郎新婦に対して「両者が幸せになれるように結婚を祝う」という意味で使うことが多いです。この場合は、冒頭でも紹介したように、結婚式などお互いが愛を誓い合うような場で使うのが一般的です。

また、新婚夫婦だけでなく、長年付き添った夫婦の仲を表すような時にも使えます。例文だと6が当てはまります。このように、今現在も仲がよい夫婦に対しても使えるので非常に便利な四字熟語だと言えます。

なお、言い回しとしては「偕老同穴の契り」「偕老同穴の誓い」などが多いです。「契(ちぎ)り」は「契約」の「契」と同じ漢字なので、「約束すること」だと考えれば問題ありません。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

偕老同穴」=夫婦が死後までも仲睦まじいことの例え。

語源・由来」=中国最古の詩集である「詩経」から。

類義語」=「百年偕老 ・鴛鴦之契・琴瑟相和・鳳凰于飛・比翼連理」

英語訳」=「a happily married couple」「until death do us part」

「偕老同穴」という四字熟語は結婚式・披露宴など改まった場で使うことができます。意味を覚えたからには、これを機にぜひ使ってみてはどうでしょうか?