「テクノロジー」という言葉は、日々のニュースでよく耳にします。また、現代文や科学の用語として使われることもあります。
ただ、実際にはこの言葉の意味が分かりにくいと感じる人も多いです。そこで今回は、「テクノロジー」の意味や具体例、問題点などをなるべく簡単にわかりやすく解説しました。
テクノロジーの意味
まず、「テクノロジー」を辞書で引くと次のように書かれています。
【テクノロジー】
⇒科学技術。科学的知識を各個別領域における実際的目的のために工学的に応用する方法論。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「テクノロジー」は、一般に「科学技術」と訳されることが多いです。
「科学技術」は「科学」と「技術」が組み合わさってできた言葉で、「科学」とは簡単に言うと「理科的な知識のこと」を意味します。
例えば、以下のような知識は「科学」だと言えます。
- コンピュータ内部の仕組み。
- 物体が落ちてくる時の速度。
- 動物・植物の細胞の仕組み。
- 自動車内部の機械の構造。
- おしべとめしべの仕組み。
- 水素と酸素が結合する法則。
そして、「技術」とは「科学を生かして人間の生活に役立たせる方法」のことを表します。念のため「技術」の意味も調べると次のように書かれています。
【技術(ぎじゅつ)】
①物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。
②科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
上記②の意味が「科学技術」の「技術」に該当します。
つまり、「理科的な知識を使って人間の生活を役立たせるもの」を「科学技術(テクノロジー)」と呼ぶわけです。
なお、辞書の説明にはありませんが、「テクノロジー」は広い意味では「人間の使う技術全般」のことも指します。ただし、一般的には「科学技術」のことを指すと考えて問題ありません。
テクノロジーの具体例
私たちにとって、身近な「テクノロジー」は何があるでしょうか?
最も分かりやすいものとしては、「スマートフォン」が挙げられるでしょう。
「スマートフォン」の内部は電気回路が含まれており、まさに理科の知識によって設計されています。その結果、私たちはネット接続、電話回線、GPSなど多くの便利な機能を使うことができます。
今や小学生ですらスマホを持つ時代であり、「スマホ」は言わば生活必需品です。よって、「スマートフォン」は「テクノロジー」と呼べるのです。
また、「テレビ」や「車」なども「テクノロジー」として挙げられます。テレビや車の内部も、スマートフォンと同様に理科の知識を使って設計・製造されています。
理科の知識で作られていることで、私たちは情報を得たり長距離を移動することができ、日々の生活を便利にする恩恵を受けられているのです。
他には、「SNS」なども「テクノロジー」の一部だと言えるでしょう。
例えば、「Twitter」や「Facebook」「Instgram」などのSNSは、プログラマーという人達が作ったコンピュータプログラムによって設計・構築されています。プログラミングなどはまさに科学の領域です。
これらの理科の知識により、私たちは日々様々な人から情報を得たり、逆に情報を発信したりすることで日々の生活を豊かにしています。そのため、SNSもまぎれなく「テクノロジー」と言えます。
いずれも身近にある例ですが、理科の知識によって生活が便利になるものであれば、それは間違いなく「テクノロジー」と呼べるのです。
テクノロジーの主な種類
「テクノロジー」には様々な種類があります。以下によく使われる代表的なものを3つ挙げました。
バイオテクノロジー
「バイオテクノロジー」とは「生物工学」のことを意味します。
「生物工学」とは「生物を使って薬や食料の生産など人間の役に立つことをする技術」のことです。
例えば、新しい薬を開発したとして、それがどれくらい効果や副作用があるか実験したいとします。
しかし、いきなり人間にその薬を使ってしまうと、後々、大きな悪影響を与えてしまうかもしれません。
そこで、人間に近い生物であるマウスに薬の実験投与を行い、あらゆるデータを取得したとします。
このような技術を「生物(バイオ)を使った技術」という意味で「バイオテクノロジー」と言うのです。
ハイテクノロジー
「ハイテクノロジー」とは「先端的な科学技術のこと」を意味します。
「先端的」というのは「流行の先を行く」という意味です。
例えば、GoogleやAmazonといったアメリカの巨大企業はまさに世界の最先端を行っています。
GoogleはYouTubeを運営している企業ですし、Amazonは宅配業界において常に先をいっています。
このような企業を、「時代の先をいっている企業」という意味で「ハイテク企業」などと呼ぶことがあります。
基本的には、時代の先を行く技術であれば、それは「ハイテクノロジー」だと言えます。
そのため、広い意味では「バイオテクノロジー」なども「ハイテクノロジー」に含まれる場合があります。
インフォメーションテクノロジー
「インフォメーションテクノロジー」とは「コンピュータ技術全般のこと」を指します。
英語だと「Information Technology」と言い、略して「IT」とも呼びます。日本語では「情報技術」とも訳されている言葉です。
「インフォメーションテクノロジー」は、パソコンやスマホなどの機器が当てはまります。
その他、アプリやAIなどコンピュータをベースとした技術は、全て情報技術に含まれることになります。
どれも私たちの生活に役立つものですが、3つの中では一番「IT」がなじみがあるでしょう。
テクノロジーの問題点
「テクノロジー」の語源は、ギリシア語の「テクネ―」から来ています。
その意味は「よく生きるための術」で、道具を用いた技術だけではなく、詩や絵画などの芸術的要素も含んでいました。必ずしも「技術」=「科学技術」ではなかったのです。
ところが、近代に入り、国家が先導する軍事産業などの発達を受け、技術は急速に科学と結びつくようになりました。
そして、今日の科学技術の発達は、人々の暮らしを豊かにする反面、今や人間が制御できないほどに巨大化し、なおかつ複雑化しました。
例えば、原発事故などのように、人々に不安と恐怖をもたらすようになったものが分かりやすい例です。この点は、テクノロジーの見逃せない問題点だと言えます。
また、「科学」というのは抽象的な理論の体系ですが、「テクノロジー」は具体的なモノとなって私たちの目の前に現れます。
そして私たちは、例えば「スマートフォンの仕組み」という科学的な知識なしに、「スマートフォン」というテクノロジーを使い、それに依存しています。
しかも、スマートフォンやインターネットなどは私たちの生活や人間関係、そして世界観を劇的に変えてしまいました。
今や世の中の多くの人々が、「ネットがなければ生きられない」と考えています。
テクノロジーの影響は、日々の生活だけでなく、人間の精神や感覚にまで深く及んでいるのです。こうした点もテクノロジーの問題点だと言えます。
テクノロジーの使い方・例文
最後に、「テクノロジー」を使った例文を紹介しておきます。
- 文字や言語についても、広い意味ではテクノロジーと呼ぶことができる。
- 最近の技術の進化は目覚ましく、もはやテクノロジーなしにはビジネスは成り立たない。
- 現代のテクノロジーは多くの科学と結びついているため、両者は切っても切り離せない関係である。
- インフォメーションテクノロジーの発達により、コンビニのレジは将来的に全て無人化される予定だ。
- 遺伝子組み換えや細胞融合など、私たちが生きる時代はバイオテクノロジーの全盛期である。
- 今日の日経平均株価は、ハイテク株を中心に売り注文が殺到したため、全面的に下落した。
- アメリカのテクノロジー企業はグーグル・フェイスブック・アマゾンなどが代表的である。
「テクノロジー」は、現代文のテーマやビジネスシーン、日々の経済ニュースなど様々な場面で使うことができます。テクノロジー単体でも使うことができますが、他の語と組み合わせて使われることが多いです。
なお、「ハイテク」とは「ハイテクノロジー」の略です。主に「ハイテク株」「ハイテク企業」などの使い方をします。
まとめ
以上、今回は「テクノロジー」について解説しました。
「テクノロジー」=科学技術。広い意味で「技術全般」のこと。
「科学技術」=理科的な知識を使って生活を役立たせるもの。
「身近な例」=スマホ・車・テレビ・SNSなど。
「使い方」=バイオテクノロジー・ハイテクノロジー・インフォメーションテクノロジーなど。
私たちの生活は「テクノロジー」にあふれています。これを機に世の中にどんなテクノロジーがあるのか注目してみてはいかがでしょうか?