「世情」という言葉は、主に普段のニュースやビジネスシーンなどで使われています。ただ、具体的な意味が分かりにくい言葉でもあります。
そこで今回は、「世情」の意味や読み方・使い方・類語などを簡単にわかりやすく解説しました。
世情の意味・読み方
最初に、「世情」を辞書で引いてみます。
【世情(せじょう)】
①世の中の事情・ありさま。
②世間一般の人の考え。俗人の考え。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「世情」は「せじょう」と読みます。
まれに「せいじょう」と読むこともありますが、多くの場合「せじょう」と読みます。
意味としては2つあります。
1つ目は、「世の中の事情・ありさま」という意味です。
【例】⇒彼は世情に疎い男だ。こんなに無知だとは思わなかったよ。
この場合はつまり、「彼が世の中のことを全く知らない」という意味です。
具体的に言うと、
- 「今、世の中で話題になっている事柄を知らない」
- 「毎日ニュースになっている社会問題を知らない」
といったことです。
そして2つ目は、「世間一般の人の考え・俗人の考え」という意味です。
「俗人(ぞくじん)」とは「(僧侶に対する)一般人のこと」を指します。
【例】⇒世情を捨てて、寺の僧侶となることにした。
この場合は、「一般人としての考えを捨てた」ということです。
以上、2つの意味を紹介しましたが、ほとんどの場合は1つ目の意味として使われます。
そのため、「世情」=「世の中の事情・ありさま」と考えても問題ありません。
世情の主な使い方
「世情」という言葉は様々な使い方ができます。以下に、代表的なものを4つ挙げました。
世情の中・世情により
「世情の中」「世情により」とは「今の世間の状況の中・今の世間の状況により」という意味です。
現状の世の中の情勢を遠回しに伝えるような時に使います。
- このような世情の中、本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。
- 昨今の世情により、弊社のイベントは中止させて頂く運びとなりました。
- こんな世情の中だからこそ、周囲の人たちの励ましの言葉が心に響きました。
上記のように、個人の主観的な感情などではなく、世の中の状況を客観的に表すよう時に使う表現です。
世情が落ち着く
「世情が落ち着く」とは「世の中の状況が落ち着く」という意味です。
主に、社会情勢が混乱した時などに使われる表現です。
- 世情が落ち着くまで、イベントは中止する予定です。
- 世情が落ち着いたら、またこちらからご連絡致します。
- 世情が落ち着く頃には、コンサートは開催するでしょう。
上記の文は、新型コロナウイルスが蔓延して世間を賑わせた頃によく使われた文例です。
世情に明るい・世情に疎い
「世情に明るい」「世情に疎い」という表現もよくされます。
前者は「世間のことをよく知っている」、後者は「世間の事をよく知らない」という意味です。
ここでの「明るい」とは、光などがあって明るいという意味ではなく、「~のことをよく知っている」という意味です。
- 彼は世情に明るい評論家で、何でも知っている。
- あいつは社会のことを何も知らない世情に疎い男だ。
- 田舎に引っ越してから、世情に疎い人間になった。
一般的には、「世情に明るい」は肯定的な意味として、逆に「世情に疎い」は否定的な意味として使われます。
世情に通じている
「世情に通じている」という言い方をする場合は、2つの意味に分かれます。
1つ目は「世の中をよく知っている」という意味です。
この場合は「世情に明るい」とほぼ同じ意味だと考えて問題ありません。
そして2つ目は、「一般の考え・俗人の考えを分かっている」という意味です。
こちらは「一般人としての考えや価値観に近い状態」を表した意味です。
例文だと、それぞれ次のようになります。
- 世情に通じている経験豊富な記者である。
- 彼は出家をしてから世情に通じなくなった。
世情の類義語
「世情」の類義語は、以下の通りです。
- 「世の中」
- 「実社会」
- 「時流」
- 「潮流」
- 「風潮」
- 「世論」
- 「社会情勢」
- 「社会状況」
- 「社会風土」
- 「市井(しせい)」
- 「巷(ちまた)」
- 「世上(せじょう)」
「世情」の類義語は多くありますが、全体的なイメージとしては「社会全体の様子や雰囲気」を表した言葉と考えるとよいでしょう。
例えば、「社会情勢」や「社会状況」などは、まさに社会全体の様子を表した言葉だと言えます。
さらにそこから派生して、社会の流れや動きを意味する「時流・潮流」なども類義語に含まれます。
なお、最後の「世上(せじょう)」は「世の中・世間」という意味です。
読み方が同じなのでまぎらわしいですが、全く同じ意味の言葉というわけではありません。
「世上」はただ単に「世の中」や「世間」を表す言葉なのに対し、「世情」はそこに「様子」という意味が加わります。
したがって、「世上」に細かい雰囲気や様子を加えた言葉が「世情」ということになります。
世情の英語訳
「世情」は、英語だと次のように言います。
①「the world」
②「what is going on in the world」
①は直訳すると「世の中」という意味です。「world」には「世界」だけでなく「世の中」という意味もあります。
そして、②は「世界で起こっていること」という意味です。「what is going on」で「何かが起こっている」と訳し、さらに「in the world(世界の中で)」を付けることで、「世界の中で何かが起こっている」⇒「世情」となります。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
She knows the world.(彼女は世情に通じている。)
They know what is going on in the world.(彼らは世情に通じている。)
英語では前に「know(~を知っている)」をつけて「通じている」と訳すことが多いです。
世情を例文で確認
最後に、「世情」の使い方を具体的な例文で確認しておきましょう。
- 彼は世情に明るいジャーナリストとして知られている。
- 世情に疎いので、最近のニュースはあまりよく分かりません。
- 世情に通じているコメンテーターは、遠慮なく自分の思いを発言した。
- 混沌とする世情の中、政府は具体的な経済対策をついに発表した。
- 世情を鑑み、今回のスポーツイベントは自粛することにしました。
- 世情が落ち着いてきたこともあり、ようやく経済が回りだした。
「世情」は、「世の中のありさま」を表す言葉ということでした。
実際の用例としては、コメンテーターやジャーナリストなど世の中に対して明るい人を主語とする場合と、一般人や素人など社会情勢に詳しくない人を主語とする場合があります。
あるいは、人自体を主語にせず、単に社会情勢を客観視するような時にも使います。状況に応じてうまく使い分けるようにしてください。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「世情(せじょう)」=世の中の事情・ありさま。
「使い方」=「世情の中・世情に明るい・世情に疎い・世情が落ち着く」など。
「類義語」=「社会情勢・社会状況・時流・潮流・世上」など。
「英語訳」=「the world」「what is going on in the world」
「世情」という言葉は様々な場面で使えて非常に便利です。語彙力を増やすためにも、今後の文章でぜひ使って頂ければと思います。