試行錯誤 意味 使い方 例文 類義語 英語訳 対義語

「試行錯誤」という四字熟語をご存知でしょうか?

主に「試行錯誤を重ねる」「試行錯誤を繰り返す」などのように用いられ、ビジネスではよく目にする言葉です。ただ、どのように使えばよいのか分かりにくい言葉でもあります。

そこで本記事では、「試行錯誤」の意味や例文、語源、具体例などを含めなるべく簡単に解説しました。

試行錯誤の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味から紹介します。

【試行錯誤(しこうさくご)】

新しい物事をするとき、試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立てて、解決策や適切な方法を見いだしていくこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

試行錯誤」は「しこうさくご」と読みます。意味は「新しい物事に対して、試みと失敗を繰り返しながら解決策を見出していくこと」です。

例えば、科学の実験などは「試行錯誤」の分かりやすい例でしょう。

科学の実験は、全く失敗をすることなく一度で成功させるというのは非常に難しいです。ゼロの状態から様々な可能性を試し、失敗を繰り返しながら徐々に成功へと近づいていきます。そして、最終的には満足の行く成功を得られるものです。

科学の実験に限らず、新しい状況や問題に直面した際は状況を打破したり問題を解決する手段がすぐに見つかるものではありません。そんな時に、色々と試みて失敗を繰り返すうちに偶然にも成功することがあります。

このように、失敗と挑戦を繰り返しながら、ああでもないこうでもないと解決策を模索することを「試行錯誤」と言うわけです。

なお、「試行」を「思考」と書くのは誤りなので注意して下さい。

「試行錯誤」⇒「」 「思考錯誤」⇒「

成功のために思いや考えをめぐらせることから、「思考」をイメージしてしまいがちだと思います。しかし、実際は正しい漢字表記ではありません。

試行錯誤の語源・由来

 

「試行錯誤」は「試行」と「錯誤」から成る四字熟語です。

まず、「試行」とは漢字の通り「試しに行うこと」を意味します。失敗するか分からないけども、とりあえずはやってみるという行為を表したものです。

そして、「錯誤」とは「誤りや間違い」を意味します。「錯」と「誤」はどちらも「誤り・間違い」を意味する漢字なので、上記のような意味となります。

ここから両者を合わせると、「試行錯誤」=「試しに行って、間違える」という意味になります。

「解決策を見つけていく」という意味は含まれていませんが、それは「試みと失敗を繰り返していると、偶然にも成功することがある」という事実を踏まえているからです。

「成功」とは、言い換えれば「解決すること」です。そのため、「試行錯誤」は現在の「試みや失敗を繰り返して解決策を見つけていくこと」という意味になるわけです。

なお、「試行錯誤」は中国の故事に起原があるような言葉ではありません。正確な由来は不明ですが、日本で日本人により作られた四字熟語だと言われています。

試行錯誤の類義語

試行錯誤 別の言い方 言い換え 同義語

続いて、「試行錯誤」の「類義語」を紹介します。

暗中模索(あんちゅうもさく)】⇒手がかりがないまま、あれこれ試すこと。「暗中」とは「暗闇の中」、「模索」とは「あれこれ手探りで探すこと」を表す。
悪戦苦闘(あくせんくとう)】⇒強敵を相手に苦しい戦いをすること。困難な状況で苦しみながら努力すること。「悪戦」は「不利な戦い」、「苦闘」は「苦しみながら必死に戦うこと」を表す。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)】⇒目的の達成のために苦労し、努力すること。「敗戦の悔しさをバネに、苦労に耐え努力する」という意味の故事。
粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)】⇒物事を成し遂げるために、努力や苦労を積み重ねること。「粒粒」は「穀物の一粒一粒」、「辛苦」は「農民の苦労」を表す。
五里霧中(ごりむちゅう)】⇒手がかりがなくとまどっているさま。また、事情がはっきりしない中、手探りで何かをすること。五里霧(五里四方に立ち込める深い霧)の中にいる意から。

「試行錯誤」を言い換えた語はいくつかありますが、全く同じ意味の言葉(同義語)というのはありません。この中では、「暗中模索」が比較的近い意味だと言えます。

「暗中模索」とは「何も手がかりがないまま、あれこれと物事を試すこと」です。「試行錯誤」との違いは「手掛かりがない」という条件が限定される点です。「試行錯誤」は、手掛かりがあるないに限らず物事を試すような際に使われます。

その他、四字熟語以外だと例えば、「物は試し」なども類義語に含まれます。

「物は試し(ものはためし)」とは、「何事もやってみないと分からないので、まずはとにかくあきらめずにやってみるべきだ」という意味のことわざです。人生における教訓を目下の者に伝えるような際に使われます。

試行錯誤の対義語

 

「試行錯誤」の「対義語」は次の通りです。

熟慮断行(じゅくりょだんこう)】⇒じっくりとよく考えてから、思い切って行動すること。「熟慮」は「よく考えること」、「断行」は「思い切って実行すること」を表す。
即断即決(そくだんそっけつ)】⇒その場ですぐに物事を決めること。「即断」と「即決」ともに「すぐに決断を下すこと」を表す。
猪突猛進(ちょとつもうしん)】⇒目標に対して、向こう見ずに突き進むこと。「イノシシ」がまっすぐ突進する様子を例えた言葉。
軽率短慮(けいそつたんりょ)】⇒よく考えずに、軽はずみに物事を決めること。「軽率」は「よく考えずに軽はずみなこと」、「短慮」は「せっかちで慎重さに欠けること」を表す。

いずれも明確な意味での「対義語」と呼べるようなものではありません。ただ、それに近い言葉ではあります。

失敗や間違いを繰り返しながら答えを出すのが「試行錯誤」なので、それらの失敗をせずに物事を解決しようとする言葉が反対語となります。

試行錯誤の英語訳

 

「試行錯誤」は、「英語」だと次のように言います。

trial and error(試みと間違い)」

learn from a mistake(失敗から学ぶ)」

「trial」は「試み・ためし」、「error」は「間違い・誤り」という意味の名詞です。また、「learn」は「学ぶ」という意味の動詞、「mistake」は名詞で「失敗」を表します。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

It is a process of trial and error.(それは試行錯誤の繰り返しです。)

We must learn from mistake.(私たちは失敗から学ばなければならない。)

「trial and error」は、日本語の会話の中で「try and error」のように使われることがよくあります。「トライアンドエラーで頑張ろう」などの言い方が主な用例です。

ただ、「try and error」は正確には和製英語なので英語の表現としては誤りということになります。正しくは「try」ではなく「trial」を用います。

試行錯誤の使い方・例文

 

最後に、「試行錯誤」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 今回の新商品は、試行錯誤の末に完成した弊社の自信作です。
  2. 試行錯誤を繰り返した結果、ようやく実験を成功させることができた。
  3. 難しい研究なので、チームみんなで試行錯誤を重ねることが重要である。
  4. 手ごわい相手でも、試行錯誤を繰り返すことで勝利への道が見えてくる。
  5. 先日作り上げたわが社のシステムは、開発者の試行錯誤のたまものである。
  6. 今は失敗ばかりですが、試行錯誤しながら答えを見つけていくつもりです。
  7. ゲームというのは、その都度試行錯誤しながら徐々に進めていくものである。

 

「試行錯誤」は、主にビジネスにおいて使われる言葉です。ビジネスでは、「どの方法や手段で進めていけば正解か?」というのが分かりにくいのが常です。

そのため、とりあえずはやってみて、その後で徐々に方向転換をしていくというのが正攻法です。失敗をしてしまうかもしれませんが、その失敗を生かして最終的に成果を出すのがビジネスの世界だと言えます。

他には、最後の例文だと「ゲーム」が当てはまります。ゲームの種類は多くありますが、例えば「RPG」などは試行錯誤することが要求されるものです。

主人公を強くしたり仲間や増やしたりして、あらゆる方法を試し、失敗しながらもクリアを目指すのは、まさに「試行錯誤」だと言えます。

まとめ

 

以上、今回のまとめです。

試行錯誤」=新しい物事に対して、試みと失敗を繰り返しながら解決策を見出していくこと。

語源・由来」=試して間違えることで、解決策を見い出すことから。

類義語」=「暗中模索・悪戦苦闘・臥薪嘗胆・粒粒辛苦・五里霧中」

対義語」=「熟慮断行・即断即決・猪突猛進・軽率短慮」

英語訳」=「trial and error」「learn from a mistake」

新しい問題に直面した時、打開する方法を見つけるのはとても大変です。しかし、失敗があるからこそ人は成長することができます。ぜひ今後の人生において、積極的な試行錯誤を行って頂ければと思います。