重箱読み 湯桶読み 違い 見分け方 練習問題

漢字の読み方で、「重箱読み」と「湯桶読み」の二つがあります。特に中学国語ではこの漢字の種類について勉強したのではないでしょうか。

ただ、両者をいざ使い分けるとなると難しく感じる人も多いと思われます。そこで今回は、「重箱読み」と「湯桶読み」の違いや見分け方などを簡単に分かりやすく解説しました。

重箱読みとは

 

最初に、「重箱読み」についてです。

【重箱読み(じゅうばこよみ)】

漢字2文字により構成される熟語で、前が音読み、後ろが訓読みのもの。日本語における熟語の変則的な読み方の一つ。

出典:Wiktionary

重箱読み」とは「前が音読み・後ろが訓読みの熟語のこと」を言います。

まず、「音読み」と「訓読み」の意味から説明すると、漢字というのは元々中国で作られました。「音読み(おんよみ)」とはその中国の発音を元にした読み方を表します。

「音読み」の特徴は、「聞いただけでは意味がわからないこと」です。

例えば、「赤(せき)」「海(かい)」「手(しゅ)」などが挙げられます。いずれの言葉もイメージがわかないことが分かるかと思います。

一方で、「訓読み(くんよみ)」とは「日本で作られた独自の読み方のこと」です。

「訓読み」の特徴は、「聞いただけで意味が分かること」です。

例えば、「赤(あか)」「海(うみ)」「手(て)」などが挙げられます。こちらは先ほどと違い、聞いただけで意味が分かるでしょう。

では、「重箱読み」の説明に戻ります。

「重箱」の「じゅう」は「音読み」です。一方で、「重箱」の「はこ」は「訓読み」です。

つまり、「重箱」という熟語は、「音読み+訓読みの順番で構成されたもの」だと言えます。このような熟語を、「重箱読み」と呼ぶわけです。

「重箱読み」の例としては、他に以下のような熟語が挙げられます。

  • 「先手(せんて)」
  • 「団子(だんご)」

それぞれの音読み・訓読みも確認しておくと次のようになります。

  • 」⇒音「せん」訓「さき」「手」⇒音「しゅ」訓「て」
  • 」⇒音「だん」訓「かたまり」「子」⇒音「し」訓「こ(ご)」

湯桶読みとは

 

続いて、「湯桶読み」です。

【湯桶読み(ゆとうよみ)】

漢字2文字により構成される熟語で、前が訓読み、後ろが音読みのもの。日本語における熟語の変則的な読み方の一つ。

出典:Wiktionary

湯桶読み」とは「前が訓読み・後ろが音読みの熟語のこと」を言います。

こちらは先ほどとは逆に、今度は「訓読み」が先頭に来ます。「湯桶」の「」は「訓読み」、「湯桶」の「とう」は「音読み」です。

このような熟語を「湯桶読み」と呼ぶわけです。

「湯桶読み」の例としては、以下のような熟語があります。

  • 場所(ばしょ)
  • 梅酒(うめしゅ)

それぞれの読みも確認しておくと、

  • 」⇒音「じょう」訓「ば」「」⇒音「しょ」訓「ところ」
  • 」⇒音「ばい」訓「うめ」「」⇒音「しゅ」訓「さけ」

となります。

重箱読みと湯桶読みの見分け方

ここまでの内容を整理すると、

重箱読み」=前が音読み・後ろが訓読みの熟語。

湯桶読み」=前が訓読み・後ろが音読みの熟語。

ということでした。

まず、両者を分かりやすくするために熟語の全体像を把握しておきましょう。「熟語」の読み方としては、全部で以下の4つに分けられます。

①音読み+音読み

②訓読み+訓読み

③音読み+訓読み(重箱読み

④訓読み+音読み(湯桶読み

この内、①と②は名前がついてませんが、大半の熟語はこの①と②のどれかに当てはまります。

つまり、「重箱読み」と「湯桶読み」はどちらも変則的な読み方ということです。

別の言い方をすれば、「手本」となるような正しい読み方ではないということになります。

これを踏まえた上で、両者の見分け方を簡単に解説していきます。

まず、大事なのは「音読みか訓読みかを判別すること」だと言えるでしょう。以下は、大まかな判断材料です。

【音読みの特徴】

聞いただけでは、意味が分からない。

【例】「頭(ず)」「白(はく)」「卵(らん)」など。

これはすでに説明した通り「聞いただけでは意味が分からなかったりイメージがつかなったりする」という特徴です。

「ん」で終わる。

【例】「本(ほん)」「点(てん)」「円(えん)」など。

昔の日本語には、「ん」という文字がありませんでした。したがって、「ん」で終わる漢字は中国由来の「音読み」になるのです。

読み方が一つのみ。

【例】「肉(にく)」「区(く)」など。

読み方が一つしかない漢字もあります。「訓読み」というのは、必要に応じて後から付け加えられました。

そのため、必要がない場合は、「訓読み」自体が存在しない漢字もあるのです。

【訓読みの特徴】

聞いただけで意味が分かる。

【例】「山(やま)」「家(いえ)」「犬(いぬ)」など。

送り仮名がつく。

【例】「話す」「送る」「高い」 など

「送り仮名」は、中国には存在しない日本独自のものです。したがって、送り仮名がついていれば「訓読み」、すなわち日本由来の読み方ということになります。

以上が、主な判別方法となります。

もちろん、これだけで完璧に判別できるわけではありません。あくまで一つの大まかな方法だと思ってください。

練習問題

 

では、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。

以下に、練習問題を用意しました。

問題1

以下の語は、「音読み」か「訓読み」のどちらか?

①川(かわ)

②本(ほん)

③新(しん)

④目(もく)

⑤空(そら)

解答

①⇒「訓読み」②⇒「音読み」③⇒「音読み」④⇒「音読み」⑤「訓読み

意味が通じるのが「訓読み」、通じないのが「音読み」でした。ただし、「本」や「新」のように最後が「ん」になるのは「音読み」となります。

問題2

以下の熟語は、「重箱読み」と「湯桶読み」のどちらか?

①残高(ざんだか)

②豚肉(ぶたにく)

③敷金(しききん)

④見本(みほん)

⑤本棚(ほんだな)

解答

①⇒「重箱読み」②⇒「湯桶読み」③⇒「湯桶読み」④⇒「湯桶読み」⑤⇒「重箱読み

「重箱読み」は「音+訓」、「湯桶読み」は「訓+音」でした。

「本」「金」などは最後が「ん」で終わるので、「音読み」になります。また、「肉」も読み方が一つだけなので「音読み」です。

一方で、「高(たか)い」「敷(し)き」「見(み)る」は、送り仮名がつくので「訓読み」となります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

重箱読み」=前が音読み・後ろが訓読みの熟語。

湯桶読み」=前が訓読み・後ろが音読みの熟語。

【音読みの特徴】⇒①聞いただけでは意味が分からない。②「ん」で終わる。③読み方が一つのみ。

【訓読みの特徴】⇒①聞いただけで意味が分かる。②送り仮名がつく。

実際にはそれぞれの読み方を問う問題はあまり出ません。ただし、最低限どのような意味かを知っておく必要はあると言えるでしょう。