「是が非でも」という慣用句をご存知でしょうか?
使い方としては、
「是が非でもお願いしたい」「是が非でも手に入れたい」などのように言います。
普段の会話やビジネスなどで
何気なく使っているという人も多いかと思います。
ところが、この言葉の具体的な使い方や
成り立ちまで知っている人はごく少数かと思われます。
そこで今回は、「是が非でも」の意味や読み方・由来・類語などを分かりやすく解説しました。
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是が非でもの意味・読み方
まずは、基本的な意味と読み方からです。
【是が非でも(ぜがひでも)】
⇒善悪にかかわらず。なにがなんでも。「是が非でもやりとげたい」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「是が非でも」は、「ぜがひでも」と読みます。
意味は「善悪にかかわらず。何が何でも」という意味です。
この場合の「善悪にかかわらず」とは、
「例え悪いことをしても」という解釈で考えれば問題ありません。
実際に悪いことを行うというわけではありませんが、
悪いことを行ってもいい覚悟があるくらい必死だということです。
例えば、将来どうしても目標の大学に
合格したいと考えている受験生がいたとしましょう。
他の大学では自分の夢は叶わないので、
そこの大学以外は考えられないようなイメージです。
このような時に、
「是が非でも、○○大学に合格したい」などと言うわけです。
つまり、「是が非でも」とは
その人の強い願望や意志を表す時に使う言葉ということですね。
一般的には、「是が非でも」は、
後ろに「~~したい」など願望を表す語句が来ることが多いです。
是が非でもの語源・由来
「是が非でも」という言葉は、
「是」と「非」の2つの漢字から成る慣用句です。
「是」とは「正しいこと・道理にかなっていること」を意味します。
これは元々、「是」という字が
「まっすぐ伸びた柄のあるさじ(スプーン)」と「立ち止まる足」
を表す象形文字から成ることに由来します。
そして「非」とは
「間違っていること・道理に反していること」という意味です。
「非」という字は「非常識」「非行」などの熟語があるように、
前に付けることで「間違い・誤り」を表すことができます。
そのため、ここでは「間違いそのもの」を示しているのです。
以上の事から考えると、「是が非でも」を直訳すると
「正しいことでも間違っていることでも」という意味になります。
転じて、
「善悪にかかわらず」⇒「どうしても」
という意味になるということです。
比較しても分かるように、
「是」と「非」はお互いが正反対の意味を持っています。
その正反対の言葉を合わせることで、
相手への願望を強調したものが「是が非でも」なのです。
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是が非でもの類義語
続いて、「是が非でも」の「類義語」を紹介します。
【是非とも(ぜひとも)】⇒どうあっても。何があっても。必ず。
【否が応でも(いやがおうでも)】⇒承知・不承知に関わらず。何が何でも。
【しゃりむり】⇒無理やり。何が何でも。
【石にかじりついても】⇒どんな困難や苦労があっても。
【理が非でも(りがひでも)】⇒何が何でも。無理にでも。
【万難を排して(ばんなんをはいして)】⇒必ず。何があっても。
どれも「是が非でも」と同じような意味として使えますが、
最後の2つについては補足を入れておきましょう。
「理が非でも」の「理」は、
「道理」「論理」などの熟語があるように
「正しい」という意味があります。
そのため、「是が非でも」の「是」と同じ意味として使うことが可能です。
また、「万難」を排しての「万難」とは、
「あらゆる困難」という意味です。
「あらゆる困難を排除してでも達成したい」
ということからその人の強い意志を表した表現となります。
その他、簡易的な言葉ならば、
「絶対に」「必ず」などで言い換えることも可能です。
なお、「四字熟語」だと
「是々非々(ぜぜひひ)」という言葉もあります。
「是々非々」とは、
「良いことは良い、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること」です。
この言葉自体はよく使われますが、
「是が非でも」とはまた異なる意味なので注意してください。
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是が非でもの対義語
一方で、「是が非でも」の「対義語」としては、
以下のような言葉が挙げられます。
- なるべく
- できるだけ
- 極力
- 可能な限り
- 可能であれば
- やれるだけ
「対義語」の場合は、
「可能な範囲でできることをする」という意味の言葉となります。
「是が非でも」自体が強い願望を表す言葉なため、
「反対語」の場合はかなり消極的な意味を示すものとなります。
自分の中で確固とした信念が定まっていなかったり、
目標を強く目指すことができないような時に使う言葉です。
是が非でもの英語訳
続いて、英語訳です。
「是が非でも」は英語だと次のように言います。
①「by all means(すべての手段を使って)」
②「at all cost(どんな犠牲を払っても)」
③「whether someone likes it or not(好きだろうとなかろうと)」
①の「by」は「~によって」という意味の前置詞です。
「手段」を表す「mean」と「all(すべての)」を合わせることで、
「すべての手段によって」という意味になります。
また、②の「at all cost」は
「どんなに犠牲を払っても」という意味の熟語です。
「cost」には「費用・損失・犠牲」などの意味があるため、
このような意味となります。
また、③は直訳すると、
「誰かが好きであろうとそうでなかろうと」という意味です。
「自分の感情が関係ないほど、意思が強い」
という意味で「是が非でも」と訳すことができます。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
I’ll do it by all means.(是が非でも、私はやるつもりです。)
We must save him at all cost.(私たちは是が非でも彼を救わなければならない。)
She is going to answer me whether she likes it or not.(彼女は是が非でも私に応答させるつもりだ。)
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是が非でもの使い方・例文
では、最後に「是が非でも」の使い方を
例文で確認しておきましょう。
- 御社との契約を是が非でもお願いしたいです。
- この件については、是が非でも当社を指名して頂きたい。
- フランスのパリは、今年中に是が非でも行きたい場所です。
- 今日の食事会は、是が非でも参加させて頂きたいです。
- 是が非でも手に入れたい品物をようやく入手することができた。
- 高所恐怖症なので、バンジージャンプは是が非でもやりたくない。
「是が非でも」は、上記のように様々な場面で使える言葉です。
普段の会話、仕事上の会話など場面を問いません。
ただ、一般的にはビジネスで使われることが多いと言えます。
ビジネスでは「何が何でも」や「どうしても」などの
簡易的な言葉よりも形式的な言葉の方が好まれて使われます。
これは相手に丁寧な印象を与えたり、
不快感を与えたりしないためといった目的です。
そのため、相手に熱意や強い願望を伝えるような時は、
「是が非でも」という慣用句を使うことが多いのです。
まとめ
以上、内容をまとめると下記のようになります。
「是が非でも」=善悪にかかわらず。何が何でも。
「語源・由来」=是(正しいこと)でも、非(間違っていること)でも。
「類義語」=「是非とも・否が応でも・理が非でも・万難を排して」など。
「対義語」=「なるべく・できるだけ・可能な限り・やれるだけ」など。
「英語訳」=「by all means」「at all cost」「whether someone likes it or not」
「是が非でも」という言葉の中には、
「悪いことをしても」という一種の極端な意味が含まれています。
それほど強い気持ちや願望を表した言葉だと覚えておきましょう。
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国語力アップ.com管理人
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