知識のシステムをつくる 100字要約 現代の国語 意味調べノート 漢字

『知識のシステムをつくる』は、今井むつみによる評論文です。高校教科書・現代の国語においても掲載されています。

ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『知識のシステムをつくる』のあらすじや要約、意味調べなどを含め簡単に解説しました。

『知識のシステムをつくる』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①ことばの意味を学ぶということは、その単語が指し示す意味の範囲を知ることである。各単語の境界は、その領域に属する他の単語との関係によって決まる。つまり、語彙は膨大な数の単語からなるシステムなのである。システムとしての語彙を身につけるためには、単語同士の関係を学び、システムをつくっていく必要がある。子どもはどのようにシステムを構築しているのだろうか。

②大人の場合、新しい語に触れると、自分が知っている概念と対比しながら、意味を考える。これは大人が、一つの単語は別の単語と区別される意味を持つという大事な性質を知っているからだ。ことば同士の関係には、対比の関係、包括的なカテゴリーなどがある。子どもは、これらのことば同士が、どのような関係にあるかを見極めなければならない。二歳くらいの子どもは、語彙の一般的な性質に気付き、その知識を、初めて聞く単語の意味を推測するときに使う。

③子どもの推論した意味がいつも正しいとは限らない。実際、子どもは新しいことばを聞くと、そのことばの意味を考えるだけでなく、そのことばと関係する、すでに知っていることばの意味も一緒に考える。また、必要があれば、すでに「知っていた」ことばの意味を修正し、アップデートする。

④子どもは、新しいことばを覚えると、そのことばをさらに新しいことばの意味を推測するために使う。また、すでに知っていたことばの意味の修正にも使う。子どもは小さいときからすでに、単語が語彙というシステムの中の要素であることを理解している。子どもが母語をすぐに使えるようになるのは、知識の増やし方を見つけながら、統合されたシステムをつくり上げているからである。

『知識のシステムをつくる』の要約&本文解説

 

100字要約言葉の意味は単独ではなく、他の言葉との関係の中で理解される。子どもは新しい言葉に出会うと、既知の言葉と比較しながら意味を推測し、修正する。こうして語彙のシステムを構築し、母語を習得していくのだ。(97文字)
200字要約言葉の意味は、他の言葉との関係によって決まる。子どもは新しい言葉を学ぶ際、既知の言葉と比較しながら意味を推測する。さらに、新しい言葉を知ることで、すでに持っている言葉の意味を修正し、語彙のシステムを作り上げる。このように、言葉の習得は単語を個別に覚えるのではなく、言葉同士のつながりを理解しながら進む。子どもが母語をすぐに使えるようになるのは、このシステムを構築し、知識を統合していくからである。(198文字)

本文は、「言葉の意味の学び方」と「語彙がシステムであること」の二つをテーマとしています。

筆者は、言葉の意味は単独で存在するのではなく、他の言葉との関係の中で決まると述べています。つまり、私たちは単語を覚えるとき、それが他の単語とどう違い、どんなグループに属するのかを考えながら理解しているのです。

例えば、「犬」という言葉を学ぶとき、子どもは「猫」や「動物」との違いや共通点を考えます。このように、新しい言葉を学ぶ際には、すでに知っている言葉と比較しながら意味を推測します。

また、子どもは新しい単語に出会うと、その意味を考えるだけでなく、すでに知っている単語の意味も修正しながら学びを深めます。例えば、「果物=りんご」と思っていた子どもが、「いちご」も果物だと知ることで、「果物」という概念を広げていきます。

さらに、子どもは学んだ言葉を使って、新しい言葉の意味を推測し、知識を更新しながら語彙のシステムを構築していきます。このシステムが確立されることで、子どもは母語をスムーズに習得していくのです。

このように、筆者は言葉を学ぶことは単なる単語の暗記ではなく、他の言葉との関係を理解することが重要だと主張しています。

『知識のシステムをつくる』の意味調べノート

 

【慣習(かんしゅう)】⇒ある社会で古くから受け継がれてきている生活上のならわし。

【膨大(ぼうだい)】⇒きわめて数量の多いさま。

【訝しい(いぶかしい)】⇒疑わしい。※「いぶかしく」で「疑わしく」という意味。

【概念(がいねん)】⇒物事の意味内容。ある物事に対する大まかな理解やイメージ。

【対比的(たいひてき)】⇒二つのものが互いに違いを際立たせるような関係にあるさま。

【カテゴリー】⇒範疇 (はんちゅう)。 同じような性質のものが含まれる範囲。

【包括的(ほうかつてき)】⇒すべてをひっくるめているさま。

【普通名詞(ふつうめいし)】⇒一般的な物事の名称を表す単語。

【固有名詞(こゆうめいし)】⇒ただ一つしかないものの名称を表す単語。

【枚挙にいとまがない(まいきょにいとまがない)】⇒多すぎて、数えきれない。

【典型的(てんけいてき)】⇒その類の特徴をよく現しているさま。

【解釈(かいしゃく)】⇒言葉の意味を自分なりに理解し、判断すること。

【収まりが悪い(おさまりがわるい)】⇒しっくりこない。納得できない。

【整合性(せいごうせい)】⇒物事のつじつまが合っていて、矛盾がないこと。

【端緒(たんしょ)】⇒いとぐち。手がかり。

【統合(とうごう)】⇒二つ以上のものを合わせて一つにすること。

『知識のシステムをつくる』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①理論をコウチクする。

②土地のキョウカイ

マイキョにいとまがない。

モヨウがそっくりな物。

⑤言葉をカイシャクする。

タンショを開く。

解答①構築 ②境界 ③枚挙 ④模様 ⑤解釈 ⑥端緒
問題2「その単語が指し示す意味の範囲」とあるが、ここでの意味の範囲とは何によって決まるか?
解答同じ領域に属する、他の単語との関係によってできる境界。
問題3筆者は「ことばの意味を学ぶ」には、何が必要だと述べているか?
解答単語同士の関係を学び、システムをつくっていくこと。
問題4子どもが、『ネコもウシもライオンも「ワンワン」と呼ぶことは頻繁に見られる。』とあるが、なぜか?
解答形が似た他のモノに対して、同じ普通名詞が使えると考えるから。
問題5「その端緒を自分で見つけ、」とあるが、ここでの「端緒」とは何を指すか?
解答ことばに関する知識を、システムの中に位置づけるための手がかり。

まとめ

 

今回は、『知識のシステムをつくる』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。