立て板に水 意味 使い方 語源 由来 英語訳

「立て板に水」ということわざをご存知でしょうか?

主に、「立て板に水のごとく~」「立て板に水を流すように~」などのように用いられます。ただ、このことわざを良い意味と悪い意味のどちらで使うか迷うという人も多いと思われます。

そこで本記事では、「立て板に水」の意味や語源、類義語・英語などを含め詳しく解説しました。

立て板に水の意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【立て板に水(たていたにみず)】

よどみなく、すらすらと話すことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

立て板に水」は、「たていたにみず」と読みます。意味は、「よどみなく、すらすらと話すこと」を表したものです。

例えば、周囲の人からすると思わず聞き入ってしまうほど話が上手い人がいたとします。具体的には、すらすらと色々な単語が出てきたり、途切れることなく流暢に話したりといったことです。

このような人は、よどみなくすらすらと話しているので、「立て板に水のごとく話す」などのように用いられます。つまり、弁舌が巧みで、話し上手な様子のことを「立て板に水」と表現するわけです。

イメージとしては、頭の回転が早い人を想像すると分かりやすいでしょう。台本も何も持たずに、どんどんとすぐに言葉が出てくるような人です。

ここで一点だけ気をつけることがあります。それは、「立て板に水」は「おしゃべりでうるさい人」のような悪い意味では使わないという点です。

意味だけをみると、何となく「うるさくてやかましい人」のようなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、そのような否定的な意味は含まれないので注意して下さい。

立て板に水の語源・由来

 

「立て板に水」の語源はどこから来ているのでしょうか?

まず、「立て板」という言葉は文字通り「立てられた板」という意味です。そこに「水」が加わるというのは、「板から水が流れてくる様子」を表すことになります。

板に水をかけると、水は重力によってきれいに流れ落ちていきます。転じて、「人がよどみなく話す様子」を表すようになったと言われています。

考えてみれば、「水」という物質は常に流れていく性質を持っています。自然界だと、川などが分かりやすいでしょう。「立て板に水」は、そのような流れ出す水の性質を表したことわざということになります。

なお、「立て板に水」は「手ごたえがない・張り合いがない」という意味で使うのは誤用です。一見すると、「板に水を流すこと」は意味のない行為にも見えます。確かに洗い物でもしない限り、無意味な行為にも見えるでしょう。

しかし、このことわざは単に水が流れ落ちる現象を表したものです。人が水を流すような行為を表した言葉というわけではありません。

立て板に水の類義語

立て板に水 類義語 別の言い方 対義語 反対語

「立て板に水」は、次のような類義語で言い換えることができます。

竹に油を塗る(たけにあぶらをぬる)】⇒弁舌の達者なことの例え。竹に油を塗るとよくすべることから。
懸河の弁(けんがのべん)】⇒とどこおりなく弁舌を振るうこと。「懸河」とは「勢いよく流れる川のこと」を指す。
一瀉千里(いっしゃせんり)】⇒文章や弁舌などが巧みでよどみのないこと。「瀉」は「水がそそぐこと」。あふれ出た水がすごい勢いで千里を流れることから。

慣用句や四字熟語などを紹介しましたが、共通しているのは「弁舌が巧み・達者」という意味です。

その他、「口達者・雄弁・話し上手」などの語で言い換えることもできます。「話がうまい」という意味であれば、基本的に類義語に含まれます。

立て板に水の対義語

 

逆に、「対義語」としては次のような言葉が挙げられます。

横板に雨垂(よこいたにあまだれ)】⇒詰まりながらしゃべる様子。横にした板に雨しずくが落ちても、なかなか流れてはいかないことから。
訥弁(とつべん)】⇒話し方がなめらかでないこと。「訥」は「どもる・口ごもる」などを意味する漢字。

反対語は、つかえながら物事を話したり話し方がなめらかでない様子を表したものとなります。主に口下手な人を対象とするので、否定的な意味として使われます。

立て板に水の英語訳

 

「立て板に水」は、英語だと次のように言います。

Your tongue runs nineteen to the dozen.」(十二語で済むことを、十九語で話す)

To speak nine words at once.」(一度に九語しゃべる)

前者の「nineteen to the dozen」は、「絶え間なくしゃべる」という意味です。本来は十二語くらいを話す時間内に、十九語も話すのはかなりの早口です。そのため、「弁舌が巧み」という意味になります。

また、後者の「at once」は「一度に・すぐに」という意味の熟語です。こちらも物事の素早さを表すような際に使われます。

その他、簡易的な表現だと次のような言い方もできます。

He speaks fast and fluently.」(彼は早く流暢に話す。)

He talks a mile a minute.」(彼は早口にしゃべる。)

立て板に水の使い方・例文

 

最後に、「立て板に水」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 立て板に水を流すように流暢な解説だった。彼の話し方は聞き入ってしまう。
  2. 弁論部の人たちはみんなすごかったね。まさに立て板に水の勢いだったよ。
  3. 立て板に水の如くすらすらと演説を開始するなんて、彼女はさすがである。
  4. さすが何度も講演会に出てるだけあるね。今日の彼は立て板に水のようだったよ。
  5. 今後の将来について、生徒たちは立て板に水を流すようによどみなく語り始めた。
  6. 立て板に水のごとく話すプレゼンだったね。あんなにスラスラと言葉は出てこないよ。

 

「立て板に水」は、例文のように褒め言葉として使うのが基本です。

使う場面としては、「一対一」での会話でも使えますし、「一対不特定多数」のような場面でも使うことができます。とにかく、すらすらと話せる人であれば、基本的に対象となり得ます。

最近では、ビジネスでのプレゼンや講演会のスピーチなどでもよく使われていますので、そういった場面で使うのもよいでしょう。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

立て板に水」=よどみなく、すらすら話すこと。

語源・由来」=立てた板から水がきれいに流れ落ちる様子から。

類義語」=「竹に油を塗る・懸河の弁・一瀉千里」

対義語」=「横板に雨垂・訥弁」

英語訳」=「Your tongue runs nineteen to the dozen.」「To speak nine words at once.」

いつの時代も話しがうまい人は必ず存在します。あなたの身の回りにも、頭の回転が早くてほれぼれするような人がいるはずです。そんな時は、ぜひ「立て板に水」を使ってみてください。