相手の人を褒めることを、「称賛」もしくは「絶賛」と言います。さらに、場合によっては「礼賛」と言ったりもします。
これらの言葉は、どのように使い分ければいいのでしょうか?本記事では「称賛」と「絶賛」の違い、さらに「礼賛」についても解説しました。
称賛の意味
まずは、「称賛」の意味からです。
【称賛/賞賛(しょうさん)】
⇒ほめたたえること。賞賛。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「称賛」とは「ほめたたえること」を意味します。
「称賛」は、日常的なシーンから改まったシーンまで幅広く使うことができます。主な使い方としては、以下の通りです。
- 上司が部下を称賛する。
- 監督が選手を称賛する。
- 総理が大臣を称賛する。
上記全てが「ほめる」という意味です。単に「ほめる」という言い方だと、フランクすぎる印象を与える場合があります。
例えば、「監督」や「総理」というのは、おごそかで権力のある役職です。したがって、このような人が主語になる場合は、「ほめる」ではなく「称賛」を使うのです。
「ほめる」という言い方は、どちらかというと「子供をほめる」「友達をほめる」などのようにくだけた場面で使うことが多いです。
絶賛の意味
続いて、「絶賛」の意味です。
【絶賛(ぜっさん)】
⇒絶大な賛美。また、この上なくほめること。
出典:三省堂 大辞林
「絶賛」とは「この上なくほめること」を意味します。つまり、普通にほめるのではなく、「ものすごくほめること」を表した言葉となります。
主な使い方としては、以下の通りです。
- 監督は選手のプレイを絶賛した。
- 多くの人から絶賛された映画だ。
「絶賛」も同様に様々なシーンで使うことができます。したがって、目上の人に限らず子供や学生などが主語になることもあります。
また、場合によっては前に「大」をつけて「大絶賛」という言い方もします。例えば、「彼女の演奏は大絶賛の嵐だった」のような使い方です。
礼賛の意味
最後に、「礼賛」の意味です。
【礼賛(らいさん)】
①ほめたたえること。ほめ尊ぶこと。
②仏を拝み、その功徳をほめたたえること。
出典:三省堂 大辞林
「礼賛」とは「ほめたたえること・ほめ尊ぶこと」という意味です。
「礼賛」は、ただほめるだけではなく相手を尊敬するような場合に使います。例えば、過去に普通の人ではなし得なかった大偉業を達成した人に対して、「偉大な功績を礼賛する」などと言います。
元々この言葉は、仏教の用語からきました。「礼」という字は、「礼儀」「お礼」などがあるように「敬う」という意味があります。したがって、「相手をほめつつ尊敬する」という意味で「礼賛」と言うわけです。
なお、「礼賛」は場合によっては「感謝する・ありがたく思う」などの意味で使うこともあります。できればこの事も頭に入れておくとよいです。
称賛・絶賛・礼賛の違い
ここまでの内容を整理すると、
「称賛」=ほめたたえること。
「絶賛」=この上なくほめること。
「礼賛」=ほめたたえる・ほめ尊ぶこと。
ということでした。
つまり、三者の違いは「ほめる程度」ということになります。
「称賛」は普通にほめる場合に使い、「絶賛」は格別にほめる場合に使います。そして、最後の「礼賛」は、相手を尊敬する程ほめる場合に使うのです。
したがって、それぞれのほめる大きさを記号で表すと、「礼賛」>「絶賛」>「称賛」ということになります。
一般的には、「称賛」と「絶賛」を使うことがほとんどです。対して、「礼賛」を使う場面というのはそれほど多いものではありません。その理由は、「礼賛」は心の底から相手を尊敬するような時にしか使わないためです。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【称賛の使い方】
- 彼の毎日の努力は称賛されるべきである。
- 仕事のできる新入社員なので、上司から称賛されている。
- 「称賛」と「非難」は、紙一重とも言われている。
- 彼の活躍は海外メディアから連日称賛された。
【絶賛の使い方】
- 監督は彼女の巧みな演技を絶賛した。
- 彼の作品は多くの作家から絶賛されている。
- 一流の料理人が絶賛したメニューがこちらだ。
- そこまで絶賛するほどすごい選手ではない。
【礼賛の使い方】
- 彼が残してきた偉業は、礼賛に値する。
- イチローの記録達成は礼賛すべき偉業である。
- 毎日健康でいられることに礼賛する。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「称賛」=ほめたたえること。
「絶賛」=この上なくほめること。
「礼賛」=ほめたたえる・ほめ尊ぶこと。
「使い分け」⇒「称賛」は普通にほめる場合に使い、「絶賛」は格別にほめる場合に使う。「礼賛」は、相手を尊敬する程ほめる場合に使う。
いずれの言葉も、相手をほめる行為を表したものです。ほめる程度の大きさとしては、「礼賛」>「絶賛」>「称賛」だと覚えておきましょう。