積算 見積 違い 意味 建築 建設

家やビルなどの建物の工事をする際に、「積算」と「見積」が使われます。

どちらも「積算書」「見積書」などの言い方をし、建築業界ではよく用いられています。ただ、この2つの違いは非常に分かりにくいです。

そこで本記事では、「積算」と「見積」の意味の違いをなるべくわかりやすく解説しました。

積算と見積の意味

 

まず、両者の意味を簡潔に述べると以下のようになります。

積算(せきさん)」=必要な費用を見積もって計算すること。

見積(みつもり)」=積算された金額に対して利益を積み足すこと。

「積算」とは工事などに必要な費用を見積もり、その金額を計算することです。対して、「見積」とは計算された積算額に対して利益分をプラスアルファしたものです。

つまり、式で表すと「積算額」+「利益額」=「見積額」ということになります。別の言い方をするならば、「積算」から「見積」を引いた額が会社の儲け、すなわち「利益」になるということです。

では、大まかな違いが分かった所で両者の意味を詳しく見ていきます。

積算の意味とは

積算 意味は

積算」とは「必要な費用を見積もって計算すること」を表します。簡単に言えば、「費用を足していくこと」だと考えて下さい。

例えば、一戸建てを建築するハウスメーカーなどでは、建物を完成させるまでに様々な費用が発生します。

  • 基礎工事を行ったり足場を組んだりする費用
  • 水道管・ガス管・電気配線などを引き込む費用
  • 屋根・外壁・クロス・タイル・窓などを作る費用
  • キッチン、トイレ、バス、給湯器などを整備する費用
  • 庭の木、砂利、インターホンなどを整備する費用

これらの工事をすべて自社内で行うというのは、通常、時間や手間もかかるため行いません。そこで、下請け業者などにそれぞれの工事を発注して契約を結ぶことになります。

この時に行われるのが、「積算」です。

つまり、「外壁工事はいくらかかるのか?」「キッチンの新設はいくらかかるのか?」といった費用を出すために各業者へ金額を出してもらうということです。

現在では、積算用ソフトなどもあるため、あらかじめ業者と決められた金額であればその金額を打ち込むだけで金額が出せるようになっています。

ただ、毎回同じ業者であったとしても、実際に出される金額は建物の広さや間取り、立地、材料費などによっても異なってきます。そのため、各建物ごとに正確な金額を出してもらう必要があるということです。

最終的に、各業者からそれぞれの金額が出され、一つの建物を完成させるために必要な費用が出揃ったとします。この時の費用をすべて足したものを「積算額」と言うのです。

会社などにもよりますが、「積算額」が記された書類は「積算書」と呼ばれます。「積算書」は、建物の管理をしている現場責任者、建物を売る営業などに情報として共有されることになります。

見積の意味とは

見積 意味は

見積」とは「積算額に対して利益を足すこと」を意味します。

先述した様に、各業者から出された金額をすべて合計したものが「積算額」ということでした。この積算額のまま顧客に建物を売るとなると、会社としての利益がゼロになるため元も子もありません。

そこで、顧客に対しては一定の金額を上乗せした価格で家を売ることとなります。この時の上乗せ分が「会社の利益額」であり、利益額を積み足すことを「見積」と言うのです。

実際に私たちが家を購入する際によく目にするのが、「見積書」と呼ばれるものです。

「見積書」とは、「家を購入する際に具体的にいくらかかるのか?」といった項目を詳細に記したものです。主に営業の人が顧客に対して渡すのが一般的です。

見積書の中身は、建物の各工事の金額以外だと、印紙代や登記費用、仲介手数料なども含まれます。これらの金額を詳細に顧客に提供することで、「会社と顧客の間でいくらで契約する」ということが分かるようになっています。

見積書には当然、顧客には分からないように会社の利益額が上乗せされています。そのため、「見積額」の方が必然的に当初の「積算額」よりは大きいものとなります。

積算と見積の違い・使い分け

積算 見積 違い 使い分けは

以上の解説を踏まえますと、両者は次のように定義することができます。

積算」=建物を建てる上で必要な費用をすべて計算すること。

見積」=出された積算価格に対して利益を上乗せすること。

「積算」は、建物を建てる上でかかる費用をすべて計算することです。

具体的には、下請け先に払う材料費や人件費、工事費など必要な費用が諸々すべて含まれます。これらの諸費用を発注者側が計算し、建物を建てる上で最終的に利益が出るように行っていきます。

一方で、「見積」の方はその積算価格に対して利益を上乗せすることです。

「見積」は「積算」をした後で、初めて行うことができます。逆に言えば、積算額を先に決めないと、どれくらいの金額を利益として計上すればよいのかはっきりと決められないということになります。

会社の最終的なゴールは、成果物を顧客に提供して利益を出すことです。

そのためには、顧客に提供する見積書をまず作成しなければいけません。見積書を作るためには、一つずつ費用を積み上げて計算しなくてはいけないため、その前に「積算」という工程を行う必要があるということです。

一般に私たちが目にするのは「見積書」なので、「見積」という作業の方が重要かつ複雑のように見えるかもしれません。しかし、実際には積算業務の方が工事の進捗や費用を左右するため、会社にとっては責任の重い任務なのです。

本記事のまとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

積算」=必要な費用をすべて見積もって計算すること。

見積」=積算された金額に対して利益を積み足すこと。

【両者の関係性】⇒「積算額」+「利益額」=「見積額」

「積算」は社内でかかる費用を合計するための作業です。対して、「見積」はお客と契約して利益を出すための作業です。

したがって、お客に「見積書」を提出することはあっても「積算書」を提出するということはありません。「積算書」は社内で完結する書類ですが、「見積書」の方は社外にも提出する書類となります。