『山椒魚』は、高校国語・現代文の授業で学ぶ作品です。「井伏鱒二」という作者が書いたもので、教科書の題材としてよく取り上げられています。
ただ、作中に登場する言葉は辞書に載っていないものも多いです。そこで本記事では、『山椒魚』に出てくる言葉の意味を一覧にしてわかりやすくまとめました。
第一段落の言葉の意味
【山椒魚(さんしょううお)】⇒両生類・有尾目(ゆうびもく)サンショウウオ上科に属する動物の総称。成体に発達した尾があり、四肢が発達している。
【すみか】⇒住んでいる所。住まい。
【岩屋(いわや)】⇒岩壁に自然にできた洞穴。
【つかえる】⇒邪魔なものがあったりして行きづまること。
【もはや】⇒ある事態が実現しようとしているさま。まさに。
【ほの】⇒(動詞や形容詞などに付き、)「かすかに・わずかに」などの意を表す。
【強いて(しいて)】⇒あえて。むりに。
【試みる(こころみる)】⇒ためしにやってみる。
【コロップ】⇒コルクの栓。コルクとはワインなどの栓に使われる樹脂製の保護組織。
【栓(せん)】⇒管や穴、瓶などの口をふさぐもの。
【発育(はついく)】⇒育って大きくなること。
【証拠(しょうこ)】⇒事実を明らかにする根拠となるもの。
【狼狽(ろうばい)】⇒不意の出来事などにあわててうろたえること。
【失策(しっさく)】⇒するべきことを怠ること。
【思いぞ屈せし(おもいぞくっせし)】⇒行き詰まってしまった。
【しばしば】⇒同じ事が何度も重なって行われるさま。たびたび。
【滑らか(なめらか)】⇒物の表面にでこぼこがなく、つるつるしているさま。
【感触(かんしょく)】⇒肌に触れて感じること。
【苔(こけ)】⇒地表や岩の上にはいつくばるように成長して広がる植物的なもの。
【嘆息(たんそく)】⇒悲しんだりがっかりしたりして、ため息をつくこと。
【あたかも】⇒まるで。
【相当(そうとう)】⇒かなりの程度であること。
【道理(どうり)】⇒物事の正しいすじみち。
第二段落の言葉の意味
【杉苔(すぎごけ)】⇒スギゴケ科の蘚類 (せんるい) の総称。
【銭苔(ぜにごけ)】⇒ゼニゴケ科の苔類(たいるい)の総称。
【密生(みっせい)】⇒すきまなく生えること。
【地所取り(じしょどり)】⇒小児の遊戯の一種。
【形式(けいしき)】⇒物事を行うときの一定のやり方。
【繁殖(はんしょく)】⇒動物や植物が生まれてふえること。
【紅色(べにいろ)】⇒鮮やかな赤。
【花柄(かへい)】⇒先端に花をつける小さな枝。
【先端(せんたん)】⇒長い物の一番はしの部分。
【可憐(かれん)】⇒姿・形がかわいらしく、守ってやりたくなるような気持ちを起こさせること。
【隠花植物(いんかしょくぶつ)】⇒花をつけないで胞子で繁殖する植物。シダ類・コケ類・菌類・藻類など、種子植物以外のすべての植物。
【散布(さんぷ)】⇒まきちらすこと。
【間もなく(まもなく) 】⇒時間がさしてたたないさま。ほどなく。
【疎んじる(うとんじる)】⇒嫌って遠ざける。
【しきりに】⇒同じような事が何度も繰り返される様子。
【あまつさえ】⇒そのうえ。おまけに。
【くぼみ】⇒周囲より低く落ち込んでいるところ。
【黴(かび)】⇒有機物の上に生じる菌類またはその菌糸の集まり。
【習性(しゅうせい)】⇒一般的にみられる行動の特性。
【意志(いし)】⇒あることを行いたいという考え。意向。
【谷川(たにがわ)】⇒谷間を流れる川。
【急流(きゅうりゅう)】⇒水の勢いが速い流れ。
【淀み(よどみ)】⇒水や空気などが流れずにたまっている所。
【水底(みずそこ)】⇒湖や川などの水の底。
【一叢(ひとむら)】⇒1か所に集まりまとまっているもの。ひとかたまり。
【藻(も)】⇒海水・淡水中で生育する植物。
【朗らか(ほがらか)】⇒広く開けているさま。
【遂げる(とげる)】⇒最後にそのような結果となる。
【のぞかせる】⇒物の一部分が外から見えるようにする。
【よろめく】⇒ふらついて安定を失う。
【ことごとく】⇒残らず。すべて。
【先途(せんど)】⇒勝敗・運命などの大事な分かれ目。せとぎわ。(多く「ここを先途と」の形で用いる)
【遁走(とんそう)】⇒逃げ出すこと。逃がれ去ること。
【甚だ(はなはだ)】⇒たいへん。非常に。
【嘲笑(ちょうしょう)】⇒あざけり笑うこと。バカにして笑うこと。
【不自由千万(ふじゆうせんばん)】⇒不自由極まりない。不自由で不自由でしようがない。「千万」は「程度がはなはだしい」という意味。
【緩慢(かんまん)】⇒動きがゆったりしてのろいこと。
【渦(うず)】⇒螺旋 (らせん) 形に巡る激しい水の流れ。
【花弁(かべん)】⇒花びら。
【円周(えんしゅう)】⇒円を形づくる線。
【速力(そくりょく)】⇒物体の進む速さ。スピード。
【極めて(きわめて)】⇒この上なく。非常に。
第三段落の言葉の意味
【真っただ中(まっただなか)】⇒真っ最中。まっ盛り。
【すずめのひえ】⇒イネ科の多年草。
【抱える(かかえる)】⇒胸にだくようにして持つ。
【触手(しょくしゅ)】⇒無脊椎(むせきつい)動物の口の周囲にある小突起。
【了見(りょうけん)】⇒考え。
【巧み(たくみ)】⇒物事を手際よく、上手に成し遂げるさま。
【宙返り(ちゅうがえり)】⇒空中で身体を回転させること。
【すがりつく】⇒しっかりとつかまる。
【衝動(しょうどう)】⇒心に働きかけ、行動に駆り立てる刺激のこと。
【身持ち(みもち)】⇒妊娠すること。
【同然(どうぜん)】⇒同じであること。
【相違ない(そういない)】⇒まちがいない。確実である。
【さもなければ】⇒そうでなければ。
【物思いにふける(ものおもいにふける)】⇒悩み事や心配事などについて、一心に考え込むこと。
【得意気(とくいげ)】⇒誇らしそうな感じ。さも得意そうにしているさま。
【屈託(くったく)】⇒くよくよすること。ある一つのことばかりが気になり他のことが手につかないこと。
【冗談事(じょうだんごと)】⇒ふざけてすること。あそびごと。
【突進(とっしん)】⇒一気に突き進むこと。
【それゆえ】⇒そのため。だから。
【おびただしい】⇒ひどい。激しい。
【並大抵(なみたいてい)】⇒普通に考えられる程度であること。※多く打消しの語を伴って用いる。
【棍棒(こんぼう)】⇒相当な長さのある木の棒切れ。
【一端(いったん)】⇒一方のはし。片はし。
【失笑(しっしょう)】⇒思わず笑い出してしまうこと。
第四段落の言葉の意味
【徒労に終わる(とろうにおわる)】⇒苦労して頑張って行いが無駄に終わること。「徒労」とは「むだな骨折り・無益な苦労」を指す。
【穴蔵(あなぐら)】⇒地中に穴を掘り、物を蓄えるようにした所。
【横暴(おうぼう)】⇒権力や腕力にまかせて乱暴な行いをすること。
【諸君(しょくん)】⇒きみたち。みなさん。対等かそれ以下の多数の相手に対して、親しみを込めていう語。
【発狂(はっきょう)】⇒精神に異常をきたすこと。
【暗黒な浴槽(あんこくなよくそう)】⇒ここでは、「頭がつかえて出られない岩屋」を言い換えたもの。
【了解(りょうかい)】⇒物事の内容や事情を理解して承認すること。
【瘋癲(ふうてん)】⇒精神の状態が正常でないこと。
【病者(びょうしゃ)】⇒病気にかかっている人。病人。
【幽閉(ゆうへい)】⇒ある場所に閉じこめて外に出さないこと。
【囚人(しゅうじん)】⇒ろうやにつながれている者。罪人。
【やくざ】⇒役に立たないこと。価値のないこと。
【身の上(みのうえ)】⇒その人の境遇。
【みずすまし】⇒甲虫目ミズスマシ科の昆虫。川や池の水面をくるくる回って泳ぎ、体長7ミリほど。
【唐突(とうとつ) 】⇒予期しないことが起こること。突然。
【活発(かっぱつ)】⇒元気で勢いのよいさま。行動・活動などが生き生きとして盛んなさま。
【瞳(ひとみ)】⇒目のこと。
【避ける(さける)】⇒離れるようにする。近づかないようにする。
【ブリキの切りくず】⇒ここでは「全く役に立たないもの・不必要なもの」という意味の例え。「ブリキ」とは薄い鋼板に錫 (すず)をメッキしたもので、玩具や缶詰などに用いられる。
【懐手(ふところで)】⇒人に任せて自分は何もしないこと。※懐とは着物の胸の内側部分を指し、袖から手を出さずに懐に入れていることが由来。
【チョッキ】⇒袖(そで)なしの短い胴着。
【胴(どう)】⇒腹部のあたり。
【拭う(ぬぐう)】⇒ふいてきれいにする。
【各々(おのおの)】⇒それぞれ。
【なんとなれば】⇒なぜならば。
【合点がいく(がてんがいく)】⇒納得がいく。※「合点がゆかない」で「納得がいかない」の意。
【際限(さいげん)】⇒かぎり。
【深淵(しんえん)】⇒奥深く、底知れないこと。
【没頭(ぼっとう)】⇒一つの事に熱中して他を顧みないこと。
【軽蔑(けいべつ)】⇒ばかにして見下すこと。
【牢獄(ろうごく)】⇒罪人を入れておく所。牢屋。
【気難しい(きむずかしい)】⇒不機嫌である。機嫌が悪い。
【終身(しゅうしん)】⇒命を終えるまでの間。生涯。一生。
【懲役(ちょうえき)】⇒刑事施設に入り、一定の労役に服させる刑罰。
【いたずらに】⇒無駄に。何も目的や理由がないのに、物事をしたりさま。
【すすり泣き】⇒鼻をすするようにして泣くこと。鼻で細かく息を吸うように泣くこと。
第五段落の言葉の意味
【悲嘆(ひたん)】⇒悲しみなげくこと。
【よし悪し(よしわるし)】⇒よいとも悪いともすぐには判断できかねる状態であること。良し悪し。
【性質(せいしつ)】⇒その事物に本来そなわっている特徴。
【帯びる(おびる)】⇒ある性質や傾向などを含み持つ。
【往来(おうらい)】⇒行ったり来たりすること。
【悪党(あくとう)】⇒悪者。
【痛快(つうかい) 】⇒たまらなく愉快なこと。すっきりして非常に気持ちがよいこと。
【効験(こうけん)】⇒ききめ。効果。
【注意深い(ちゅういぶかい)】⇒慎重である。
【口論(こうろん)】⇒口げんか。言い争いをすること。
【幾度となく(いくどとなく)】⇒何度も。
【初夏(しょか)】⇒ 夏のはじめ。
第六・七段落の言葉の意味
【鉱物(こうぶつ)】⇒天然の作用により生成される結晶質の物質。
【生物(せいぶつ)】⇒動物・植物・微生物など生命をもつものの総称。
【肥大(ひだい)】⇒生体の一部の容積が増すこと。
【不注意(ふちゅうい)】⇒注意が足りないこと。うかつなこと。
【漏らす(もらす)】⇒感情を思わず表情や声に出す。
【光景(こうけい)】⇒目前に広がる景色。眺め。
【そそのかす】⇒その気になるように仕向ける。特におだてて悪いほうへ誘い入れる。
【鞭撻(べんたつ)】⇒努力するように励ますこと。
まとめ
以上、本記事では『山椒魚』に登場する言葉を一覧にしてまとめました。一つ一つの言葉の意味が分かれば、本文も理解しやすくなるはずです。ぜひ定期テストのためのノート代わり、ワークシート代わりにして頂ければと思います。