「連体修飾語」と「連用修飾語」は、文法の用語としてよく出てきます。ただ、どちらも同じような漢字なので非常にややこしい印象を与えているかと思われます。
そこで今回は、「連体修飾語」と「連用修飾語」の違いや見分け方をなるべく分かりやすく解説しました。
連体修飾語の意味
まず「連体修飾語」とは簡単に言うと「体言を修飾する語」だと考えてください。
「体言(たいげん)」とは「名詞」のことを意味します。
「名詞」というのは「机」「イス」「野球」「テレビ」などのように名前がついているものを指します。そして、「修飾」とは「くわしく説明すること」です。
つまり、名詞をくわしく説明する語のことを「連体修飾語」と言うわけです。
例えば、以下のような文があったとしましょう。
「大きなイスを買う。」
この場合、「大きな」が「イス」という名詞を修飾(くわしく説明)しています。
よって、「大きな」は「連体修飾語」となるわけです。
大事なのは、「連体修飾語」の後ろは必ず「名詞」が来るということです。
「連体」という漢字は「体言に連(つら)なる」と書きます。「連なる」とは「ならんで続く」という意味です。
したがって、「名詞に並んで続く」という意味から、「連体修飾語」→「名詞」という順番に必ずなるわけです。
連用修飾語の意味
続いて、「連用修飾語」です。「連用修飾語」とは「用言を修飾する語」だと考えてください。
「用言」とは「動詞・形容詞・形容動詞」のことです。
「動詞」とは「文字通り動作を表す言葉」を指し、「形容詞」や「形容動詞」とは「モノの状態や様子を表す言葉」を指します。
「形容詞」は最後が「~い」で終わり、「形容動詞」は最後が「~だ」や「~な」で終わります。
こちらも簡単な例文を出しましょう。
- 花が 美しく 咲く
- 私は とても 悲しい
- 彼は 非常に 親切だ
上の赤字の部分が、「連用修飾語」です。
それぞれを説明すると、1は、「美しく」が「咲く」という「動詞」を修飾しています。
2は、「とても」が「悲しい」という「形容詞」を修飾しています。
3は、「非常に」が「親切だ」という「形容動詞」を修飾しています。
このように、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)」を修飾するものを「連用修飾語」と言うのです。
「連用」という漢字は、「用言に連(つら)なる」と書きます。言い換えれば、「用言に続く」ということです。
したがって、こちらも「連用修飾語」→「用言」という順番になるわけです。
練習問題
それでは、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、問題を用意しました。
次の選択肢から当てはまる方を選んでください。
①「体言」を含む文節を修飾するものを、【(ア)連体修飾語 (イ)連用修飾語 】 と言う。
②「用言」を含む文節を修飾するものを、【(ア)連体修飾語 (イ)連用修飾語 】と言う。
※「文節」の意味については、以下の記事を参照して下さい。
①⇒(ア)②⇒(イ)
③次のうち、「用言」に当てはまらないものはどれか?
(ア)形容動詞(イ)動詞(ウ)形容詞(エ)副詞
④次のうち、2語とも体言のものはどれか?
(ア)この・きれいな(イ)高い・まじめだ(ウ)そして・しかし(エ)肉・お金
①⇒(エ)②⇒(エ)
「用言」とは「動詞・形容詞・形容動詞」のことです。一方で、「体言」とは「名詞」のことです。
次の傍線部が「連体修飾語」ならば(ア)、「連用修飾語」ならば(イ)と答えてください。
①どの人が先生でしょうか?
②机の上に手紙をそっと置く。
③彼の話はとてもおもしろい。
④大きな建物でかくれんぼをする。
①⇒(ア)②⇒(イ)③⇒(イ)④⇒(ア)
「体言」の場合は、前の名詞を修飾します。対して、「用言」の場合は後ろの動詞や形容詞、形容動詞を修飾します。
次の文中から、「連体修飾語」と「連用修飾語」を抜き出してください。
①激しい雨が急に降った。
②たくさんの花が庭で美しく咲く。
③友達の後について、市内の学校の前に行った。
①「連体修飾語」⇒激しい 「連用修飾語」⇒急に
②「連体修飾語」⇒たくさんの 「連用修飾語」⇒庭で 美しく
③「連体修飾語」⇒友達の 市内の 学校の 「連用修飾語」⇒後に 前に
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「連体修飾語」=「体言」を修飾する語。
「連用修飾語」=「用言」を修飾する語。
「見分け方」=「連体修飾語」→「名詞」。「連用修飾語」→「動詞・形容詞・形容動詞」という順番に必ずなる。
ポイントは、「体言」と「用言」のどちらを修飾しているか判断することです。「連体修飾語」は、「体言」すなわち「名詞」を詳しく説明します。一方で、「連用修飾語」は名詞以外の「動詞・形容詞・形容動詞」を詳しく説明する語ということになります。