「ラズベリー」と「フランボワーズ」は、どちらもお菓子などを作る際に使われる言葉です。
この2つには明確な違いはあるのでしょうか?あるとしたら一体どちらを使えばよいのか気になる所だと思います。
本記事では、「ラズベリー」と「フランボワーズ」の意味の違い、使い分けなどについて詳しく解説しました。
ラズベリーの意味
まずは、「ラズベリー」についてです。「ラズベリー」とは「バラ科キイチゴ属の植物のこと」を意味します。
主に紫色や白色、暗紅色などをしており、夏に熟しヨーロッパや北アメリカでよく栽培されています。
「ラズベリー」は英語だと「raspberry」と表記し、日本語に翻訳すると「木苺(きいちご)」と訳されます。
「木苺」とは、その名の通り「木」に付いている「苺」のことで、私たちが普段食べている苺(ストロベリー)とは少し性質が異なります。
日本でも「ラズベリー」は販売されていますが、現在日本に出回っているもののほとんどが輸入物です。
国内だと北海道や宮城県、長野県、福岡県などで自家栽培をしていますが、全体でもその量は1%程度しかありません。
このような「ラズベリー」はスーパーなどの店頭には置いておらず、農園での木苺狩りや提携先のレストランなど限定で販売されています。
なお、日本にも「ラズベリー」と同じ種類の野生の木苺があります。
これは「野いちご」とも呼ばれ、「ラズベリー」と比べると果実の大きさが小さく、赤黒い色をしていて甘みの強さなども異なります。山登りなどをしたことがある人なら、一度は見たことがあるかもしれません。
このような日本原産の木苺も広い意味では「ラズベリー」と言うことができます。
フランボワーズの意味
続いて、「フランボワーズ」の意味です。
「フランボワーズ」はフランス語で「framboise」と表記し、日本語だと「木苺」のことです。
つまり、「ラズベリー」と同じ意味ということになります。
同じ種類を指しているので、その色や見た目、生息地、旬の時期なども当然同じということになります。
元々、野生の「木苺」というのは石器時代の頃からヨーロッパ~アジア辺りに生息しており、人類はそれを採取して食用としていました。
野生の木苺を本格的に栽培化するようになったのは、今から約300年ほど前の16世紀~17世紀頃だと言われています。
当時のヨーロッパ諸国は、温暖で湿潤な気候を生かし、野生の苺の種を持ち帰り畑で栽培を始めました。そして、実際に栽培化に成功した後、日本やアメリカなどの各国にも広がっていったということです。
現在、日本で「フランボワーズ」が使われているのは、フランスで木苺が栽培化されていたからというわけではなく、フランスが世界でも有数の美食大国であるからだと言えます。
フランスはお菓子のおいしい国として有名で、マカロンやチョコ、エクレアなど数多くの種類のお菓子を作っています。今もなお日本のお菓子作りのレシピは、フランスの影響を受けているものが多くあります。
この事から、日本では英語由来の「ラズベリー」だけでなく、フランス語由来の「フランボワーズ」も使われているということです。
ラズベリーとフランボワーズの違い
以上の解説を踏まえますと、「ラズベリー」と「フランボワーズ」は意味自体に大きな違いはないという結論になります。
「ラズベリー」は、英語の「raspberry」を日本語表記のカタカナにしたものです。
一方で、「フランボワーズ」はフランス語の「framboise」を日本語表記のカタカナにしたものです。
どちらも「木苺」を指していることには変わりはありません。したがって、どちらも同じ意味ということになるのです。
ただ、その用途によっては使い方が異なってくる場合もあります。
例えば、フランス製のお菓子の一部として木苺を使う際は、レシピの中に「フランボワーズ」と表記されることが多いです。
他には、日本に存在する高級フランス料理店などでは、「ラズベリー」ではなく「フランボワーズ」と表記しているお店が多いです。
これは言葉本来の由来に沿った表記をすることにより、そのお店の格や品位などを高く保っているからだと言えます。
ゆえに、本来の言語に忠実に従うならば、「フランボワーズ」の方を使う方が望ましいというケースもあるのです。
しかし、実際にはこのようなケースで英語表記の「ラズベリー」の方を使っても何か問題があるわけではありません。
なぜなら、言葉の表記の違いこそあれど、結局はどちらも木苺の事を指していることに変わりはないからです。
お客の側としても両者の言葉の違いにそこまで精通している人ははっきり言っていないでしょう。
そういう意味では、「ラズベリー」と「フランボワーズ」を意識して書き替えるのは使う側の自己満足といった側面もあるのかもしれません。
本記事のまとめ
以上、本記事のまとめです。
「ラズベリー・フランボワーズ」=バラ科キイチゴ属の植物。日本語だと「木苺」。
「違い」=「ラズベリー」は英語をカタカナにしたもの。「フランボワーズ」はフランス語をカタカナにしたもの。
「使い分け」=どちらを使っても構わない。
「ラズベリー」と「フランボワーズ」は、意味自体に違いはありません。現在の日本においてはどちらも使うことができます。
ただ、それぞれどこの国の言語から来たものなのか?くらいは知っておいて損はありません。ぜひこの記事によって両者の違いを理解して頂ければと思います。