「二転三転」という四字熟語を聞いたことがあるでしょうか?
主にビジネスで使われる言葉で、特にメール文などの中ではよく用いられます。ただ、具体的にどう使えばよいのか分かりにくい言葉でもあります。
そこで本記事では、「二転三転」の意味や使い方、類語・英語などを含め詳しく解説しました。
二転三転の意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【二転三転(にてんさんてん)】
⇒物事の内容・状態・成り行きなどが、何度も変わること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「二転三転」は、「にてんさんてん」と読みます。意味は「物事の内容や状態などが何度も変わること」です。
例えば、ある人の発言がコロコロと変わるというのはよくあります。
さっきは「A」と言っていたのに、急に「B」と言い出す。今度は「B」と言ったら、やっぱり「C」と言い出したり。といったことです。
このような人は、物事の内容(発言)が何度も変わっていると言えます。よって、「二転三転している」などと言うわけです。
つまり、「二転三転」とは物事の内容や状況が一定に定まらずに、コロコロと変わることを表す四字熟語ということになります。もっと簡単に言えば、「次々と変わること」です。
二転三転の語源・由来
「二転三転」は、「二転」と「三転」から成る四字熟語です。
まず「二」と「三」は、文字通り回数を示します。そして、「転」はここでは「転ぶ・転がる」などの意味を表しているわけではありません。
「転」は「転移」「転校」などの熟語があるように、「変わる・移る」という意味があります。つまり、「二回・三回移り変わる」ということです。
以上の事から考えますと、「二転三転」は「一回だけでなく、二回も三回も移り変わる」という意味が込められていることがわかります。したがって、「物事の状態や成り行きが何度も変わる」という意味になるわけです。
なお、「二転三転」は中国の故事に由来するような四字熟語ではありません。正確な起源は不明ですが、辞書には載せられているので日本で作られた言葉であると考えられます。
ビジネスでの使い方
「二転三転」は、ビジネスにおいてよく用いられます。ビジネスでは、相手に対して謝罪をする場面で使うのが一般的です。
【例】
- 「二転三転してすみません。」
- 「二転三転してしまい申し訳ありません。」
- 「二転三転したことをお詫び申し上げます。」
上記の例文は、「状況がコロコロ変わってしまい、申し訳ないです」という意を相手に伝えているものです。ビジネスにおいて何よりも重要な要素は、「信頼関係」です。
例えば、取引先の会社と契約を結ぶとなった場合、その契約内容や段取りなどが何度も変わってしまうと、相手からすると不信感を得る要因になってしまいます。なぜなら、一度決まったことを変更するとなると、余計な時間や労力が必要とされるからです。
状況が定まらないというのは、ビジネスを行っていく上でそれほど経済的な損失があるということです。最悪の場合、相手への不信感から契約自体を解消されてしまうかもしれません。
そのため、ビジネスでは、迷惑をかけたことを謝罪し信頼を取り戻すために「二転三転してすみません」などと言うわけです。
ビジネスで「二転三転」を用いる場合は、メールなどの文面において用いることが多いです。会話の中の表現として使うことも可能ですが、大抵の場合は文書の中の一部として使われます。
二転三転の類義語
「二転三転」の「類義語」は以下の通りです。
四字熟語には、完全な「同義語」だと言えるものはありません。この中では、「朝令暮改」は比較的意味が近い言葉だと言えます。ただ、「朝令暮改」は上から下へ命令したものがコロコロと変わるような時に使われます。
他には、「一貫性(いっかんせい)がない」などの表現も類義語です。
「一貫性」とは「始めから終わりまで方針や考えが同じこと」を表し、主に「言うことに一貫性がない」などのような使い方をします。否定の「ない」を付けることで、発言がコロコロ変わる様子を表すことができます。
二転三転の英語訳
「二転三転」は、英語だと次のように言います。
「change again and again」(二転三転)
「change」は「変化」、「again」は「再び」という意味の名詞です。
「again and again」は「再び」という意味を強調することから、「何度も何度も」「再三」などの訳となります。そのため、「何度も何度も変化する」⇒「二転三転」となります。
例文だと、次のような言い方です。
The situation changed again and again.(状況は二転三転した。)
その他には「again and again」ではなく、「repeatedly」を使う方法もあります。
「repeatedly」は「何度も・たびたび」という意味の副詞です。こちらも「change repeatedly」とすることで、「何度も変化する」⇒「二転三転」と訳すことができます。
The situation changed repeatedly.(状況が二転三転した。)
二転三転の使い方・例文
最後に、「二転三転」の使い方を例文で紹介しておきます。
- あいつの証言は二転三転しているので信用できない。
- 二転三転の末に、ようやく彼は配属先が決まったようだ。
- 会議の日程が二転三転して決まらないので、他の予定が立てづらいです。
- すでに決まったイベントの内容が二転三転し、スタッフは混乱していた。
- 私の確認不足で食事会の場所が二転三転してしまい、申し訳ありません。
- 今回のスケジュールが二転三転してしまったことを深くお詫び申し上げます。
- 校長の説明が二転三転したことで、保護者たちからの批判が殺到した。
例文をみて分かるように、「二転三転」は物事が突然変わったことへの不満や不信感などを込めて使われることが多いです。特に、信頼していた相手に対して使う際はこの傾向が強くなります。
一方で、自らが「二転三転」させてしまった時は謝罪や罪悪感の気持ちを表して使われることが多いです。これはすでに説明した通り、ビジネスでの用例がほとんどです。
いずれにせよ、物事が二転三転するというのは好ましい状況ではありません。そのため、「二転三転」が良い意味で使われることは基本的にはないと考えていいです。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「二転三転」=物事の内容や状態などが何度も変わること。
「語源・由来」=一回だけでなく、二回も三回も移り変わることから。
「ビジネスでの用例」=「二転三転してすみません・二転三転してしまい申し訳ありません・二転三転したことをお詫び申し上げます」など。
「類義語」=「朝令暮改・千変万化・紆余曲折・支離滅裂・再転」
「英語訳」=「change again and again」「change repeatedly」
ビジネスでは失った信用を取り戻すのは容易ではありません。そのため、なるべく二転三転しないよう慎重な発言や行動を心がけたいものです。意味を理解したからにはぜひその事も頭に入れて頂ければと思います。