ものと記号 定期テスト問題 学習の手引き 語句 漢字 教科書 ノート

『ものと記号』は、教科書・現代の国語に収録されている文章です。ただ、実際に本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。

そこで今回は、『ものと記号』のあらすじや要約、語句の意味などを含め簡単に解説しました。

『ものと記号』のあらすじ

 

本文は、内容により3つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①我々の文化的な営みには、「言葉」以外の「言葉らしいもの」が関与している。モールス信号や手旗信号などは、普通の音声や文字で表すことの代用である。また、コンピュータ言語や交通信号なども、何らかの特定の情報を伝達する記号体系である。礼儀作法として、挨拶の代わりにお辞儀をすることなども言葉らしいものである。

②ここでもう少し、「言葉らしいもの」の概念を広げてみる。一つは、表現や伝達の意図という条件を取り除いてみることである。例えば、「制服」などは、ある職掌に関わる人であることを明示するたため、言葉らしいものと解することができるが、衣服などは文化圏が異なるとそれが衣服だと分からないことがある。つまり、我々は「もの言う記号」のほかに、「もの言わぬ記号」に取り囲まれているわけである。

③さらにもう一つ、言葉らしいものの概念を広げる要素として「記号を使う主体としての人間は解釈をする」ということが挙げられる。例えば、電車の中で座っている人の服装から、その人の情報を読み取り、解読することは可能だ。また、占い師も自分の経験に基づき、お客の服装からその人の情報を解読することもできる。ここから、人間には「モノ言わぬもの」まで「もの言う記号」に仕立てる能力があると言える。我々は、あらゆる種類のものを記号として意味付けながら生活している。そして、その意味付けは文化そのものにほかならない。記号を作り出すということは、要するに人間の基本的な文化的営みなのである。

『ものと記号』の要約&本文解説

 

200字要約私たち人間は、「もの言う記号」の他に「もの言わぬ記号」に取り囲まれて生活しており、さらに、記号を使う主体として解釈もする。つまり、人間には「もの言わぬもの」まで一挙に「もの言う記号」に仕立ててしまう力があるのだ。私たちはあらゆる種類のものを記号として意味付けながら生活しているが、そのような意味付けは文化そのものにほかならない。記号を作り出すということは、人間の基本的な文化的営みなのである。(196文字)

筆者はまず、第一段落で「言葉らしいもの」について述べています。これは、モールス信号や手旗信号、交通信号、コンピュータ言語などのように、社会的に対応する意味が決められている記号のことです。私たちが挨拶の代わりに行うお辞儀なども含まれます。

次の第二段落では、「もの言う記号」と「もの言わぬ記号」について述べています。「もの言う記号」とは、制服のように私たちに対して一定の職掌であることを表現し、伝達する記号のことです。

一方で、「もの言わぬ記号」とは、表現や伝達の意図といった条件を持たない記号のことです。例えば、衣服や道具などのように、空間的・時間的に隔たった文化圏に行くと、意味が分からなくなるような記号のことです。

そして最後の第三段落では、「解釈する記号」について述べています。私たち人間は、あらゆる種類のものを記号として意味づけながら、解釈を行っています。

例えば、電車の中でたまたま向かいに座っている人の服装を見て、この人はどのような職業で、趣味は何で、これから何をしに行くのだろうか、といった色々な意味を読み取ることができます。占い師なども、見ず知らずのお客の服装や表情から、その人がどういう人物かを解読することができます。

このように、私たち人間には「もの言わぬもの」まで「もの言う記号」に仕立てる能力があるのだと筆者は言います。そして、この記号を作り出すという行為は、実は人間の基本的な文化的営みなのだと結論付けているわけです。

全体を通して筆者が主張したい内容は、最後の第三段落に集約されていると言えます。

『ものと記号』の意味調べノート

 

【営み(いとなみ)】⇒物事をすること。行為。

【代用(だいよう)】⇒あるものに代えて別のものを使うこと。

【派生(はせい)】⇒もとのものから分かれて生じること。

【依存(いぞん)】⇒他に頼って存在していること。

【記号(きごう)】⇒何らかの物事を代理・代行して指し示すもの。

【類い(たぐい)】⇒同じ種類のもの。

【機械的(きかいてき)】⇒機械が動くように、意思を持たずに決まった動きをするさま。

【理想的(りそうてき)】⇒理想にかなうさま。

【慣習(かんしゅう)】⇒ある社会で古くから受け継がれてきている生活上のならわし。しきたり。

【相補(そうほ)】⇒互いに不足を補いあうこと。

【概念(がいねん)】⇒個々の事物から共通する性質を抜き出して構成される意味内容。

【適用(てきよう)】⇒あてはめて用いること。

【職掌(しょくしょう)】⇒担当している仕事。

【明示(めいじ)】⇒はっきり示すこと。

【隔たる(へだたる)】⇒間に距離があって離れる。時間的に離れる。

【遺跡(いせき)】⇒過去の人類が残した生活・活動のあと。

【発掘(はっくつ)】⇒埋もれた遺跡を掘り出す作業。

【考古学(こうこがく)】⇒遺跡や遺物によって人類史を研究する学問。

【文献学(ぶんけんがく)】⇒文献の真偽の考証などを行い、民族や文化を歴史的に研究する学問。

【飛躍的(ひやくてき)】⇒急激に発展するさま。

【対照(たいしょう)】⇒違いが著しく際立っていること。

【厳正(げんせい)】⇒規準に厳格に従い、公正に取り扱うこと。

【典型的(てんけいてき)】⇒ある種のものの特徴をよく表しているさま。

【年輩(ねんぱい)】⇒およその年齢。年のほど。

【一挙(いっきょ)】⇒物事を一度に行うこと。

【とりもなおさず】⇒すなわち。要するに。

『ものと記号』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①新たな問題がハセイする。

②先生にアイサツする。

③無駄なテイコウはしない。

④遺跡をハックツする。

ヒヤク的に大きくなる。

⑥新しいテイアンをする。

解答①派生 ②挨拶 ③抵抗 ④発掘 ⑤飛躍 ⑥提案
問題2「このよう礼儀作法は、ちょうど言葉に使い方が決まっているのと同じように、どのような場合にそれをするかが社会的に決まっている。」とあるが、「それ」とは何を指すか?
解答人間のするさまざまな身振り。
問題3筆者は第二段落で「言葉らしいもの」として二種類の記号を挙げているが、その二つを本文中から抜き出しなさい。
解答「もの言う記号」「もの言わぬ記号」
問題4『このような場合にいう解釈は、解読という場合と対照して用いられている。』とあるが、「解読」と「解釈」はそれぞれどのような場合に用いられるか?
解答例解読はメッセージの意味が厳正にコードに基づいて読み取られる場合に用いられ、解釈はコードの支配がそれほど完全ではなく、受信者が自らの判断に基づいて意味を読み取るような場合に用いられる。
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)モールス信号や手旗信号などは、言葉を普通の音声や文字で表すことの直接の代用をしているものである。

(イ)制服は、表現や伝達を意図する「もの言う記号」だが、衣服は表現や伝達を意図しない「もの言わぬ記号」である。

(ウ)我々は、異なる文化圏のものだとしても、その道具がどのようなものでどのようなことをするのに使うかをいちおうは知っている。

(エ)我々はあらゆる種類の記号に取り囲まれ、あらゆる種類のものを記号として解釈しながら生活しているということになる。

解答(ウ)本文中には、「我々は自分の文化圏に関してならば、どのようなものがどのようなことをするのに使われる道具であるかをいちおう知っている。しかし、異なる文化圏となると、そうはいかない。」と書かれている。

まとめ

 

以上、今回は『ものと記号』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。