メディアリテラシー 意味 例 必要性 教育

「メディアリテラシー」という言葉をご存知でしょうか?

テレビや新聞などで、私たちは日々のニュースを目にします。最近では、スマホでネットニュースを見るという人も多いと思います。

しかし、「この情報って本当に正しいの?」と思ったことはないでしょうか。「メディアリテラシー」とは、そのような「情報への向き合い方」について表した言葉です。

今回は「メディアリテラシー」の意味や例、必要性などを簡単にわかりやすく解説しました。

メディアリテラシーとは

 

まず、「メディアリテラシー」を辞書で引くと次のように書かれています。

【メディアリテラシー】

コンピューターや先端的な情報通信機器を使いこなせる能力。

メディアに対して主体性を確立すること。コンピューターネットワーク・テレビ・音楽・映画・出版物などさまざまなメディアが伝える価値観・イデオロギーなどをうのみにせず、主体的に解読する力をつけること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

メディアリテラシー」には2つ意味がありますが、一般的には②の意味で使うことが多いです。そのため、まずは「メディア」の意味から解説していきたいと思います。

メディア」とは「テレビ・新聞・ラジオ・雑誌・ネットなどのこと」を表します。元々この言葉は、英語の「media」が由来です。

「media」は「medium」の複数形で、日本語では「媒体(ばいたい)」と訳されています。

「媒体」とは「仲立ちをするもの・間に入るもの」という意味です。つまり、「私たち」と「情報」の間に入り、両者の仲立ちをするものが「メディア」ということです。

そして、「リテラシー」とは「読み書きをする能力のこと」を言います。

「リテラシー」は英語の「literacy」を由来とし、本来は「文章を読むこと・書くこと」という意味です。転じて、現在では「真偽を見極める力・使いこなす力」などの幅広い意味で使われています。

以上の事から考えますと、「メディアリテラシー」は「メディアの真偽を見極める力・使いこなす力」と定義することができます。

もっと簡単に言えば、「テレビや新聞・ネットなどの情報をしっかり見極める力」ということです。

私たちが得ている情報は、すべてが正しいわけではありません。情報には、ウソや誇張・偏りなどの不正確さが必ず混じっています。

このような情報の真偽を選別し、適切に判断していく能力を「メディアリテラシー」と言うのです。

では、大まかな意味が分かったところで具体例をみていきましょう。

メディアリテラシーの具体例

 

「メディアリテラシー」が問われるケースとしては、どんなことが挙げられるでしょうか?分かりやすい例を挙げましょう。

「熊本地震のデマ情報」

2016年4月14日の熊本地震の直後、とある投稿がX(旧ツイッター)上に流れます。それは、「熊本の動物園からライオンが逃げた」という情報です。

男は「地震のせいで動物園からライオンが放たれた」などと画像付きで投稿しました。その投稿はすぐさま拡散し、ネット上だけでなく現実世界にも大きな影響を与えます。

次の日までに、熊本市動物園の職員は100件を超える電話対応に追われたそうです。

ところが、実際にはライオンの画像はフェイクということが判明しました。結果的に男は逮捕されたのですが、多くの人がウソの情報に翻弄されてしまったのです。

「X」というメディアは、私たちにとって身近なものです。そして、学生から社会人まで多くの人が手軽に情報を得られるツールです。

ところが、もしもその情報を正確に判断できないと、大きな不利益を被ってしまう可能性もあります。

「メディアリテラシー」とは、このように大きな影響力を持った媒体に対して、いかに正確に判断できるかが問われるわけです。

メディアリテラシーの必要性

メディアリテラシー 必要性 簡単に

次に、「メディアリテラシー」の「必要性」について注目してみましょう。

元々、この言葉はパソコンや携帯電話が普及してから盛んに使われるようになりました。具体的には、バブル崩壊後の1990年代以降の話です。

当時の意味としては、パソコンなどの「コンピュータをうまく使いこなす能力」という意味でした。

しかし、本来の意味から言えば「メディアリテラシー」とは「情報を適切に得たり発信したりする能力」のことを意味します。

したがって、何十年も前から存在する「新聞」や「テレビ」などのメディアも当然含まれるわけです。

例を挙げますと、太平洋戦争時に日本の新聞が「ナショナリズム」を煽る時期がありました。

その結果、日本人は戦争に対して気持ちが高ぶり、一気に開戦へと向かうことになります。

もしも「メディアリテラシー」が国民一人一人に備わっていたら歴史は変わっていたかもしれません。

メディアというものは、今も昔も大衆の思考や行動に大きな影響を与えます。

そのため、情報を常に冷静に読み、

  • 何か裏がないだろうか?
  • 何か操作が入っていないだろうか?
  • 本当に正しいことは何だろうか?

といった内容を分析することが重要なのです。

でなければ、私たちの「イデオロギー」は常にメディアに影響されたものとなってしまうでしょう。

簡単に言えば、「私たちの考えそのものが支配されてしまう」ということです。

全ての人の行動は、「その人の考え方」が元になっています。したがって、「メディアリテラシー」は、人の行動に直結するほど必要不可欠なものなのです。

メディアリテラシー教育の大切さ

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「メディアリテラシー」を身につけるには、具体的にどうすればよいのでしょうか?

大まかに2つに分けて説明していきたいと思います。

①テレビ・新聞

まず、一番巨大なメディアであるテレビと新聞です。テレビや新聞は、基本的に「スポンサー(広告主)」がついています。

当たり前ですが、番組を作ったり新聞の記事を書いたりできるのは、スポンサーがお金を払っているからです。そのため、テレビや新聞などは基本的にスポンサーの意に沿わない内容は報道しません。

例えば、チョコを販売している企業がスポンサーであったとしましょう。

この場合、チョコのことを悪く言う番組などは間違っても作ることはできません。なぜなら、スポンサー自体が離れてしまうからです。

逆に、「おいしいチョコベスト10」という内容で番組を作成したとします。

当然、番組を見た視聴者は明日からチョコを買いたくなるはずです。スポンサーとしては、願ったり叶ったりです。

つまり、テレビや新聞の広告主に注目することで、ある程度情報の信頼度を測れるということです。別の言い方をすれば、「お金の流れに注目すること」とも言えるでしょう。

食品メーカーなどの広告主は、情報発信者であるテレビや新聞に対して広告料を払っています。そのお金の流れに注目すれば、どういった情報が発信されるかはある程度予測が付くのです。

②ネット・SNS

「ネット」や「SNS」はスポンサーの縛りがないため、個人が自由に情報を発信できます。したがって、ある意味ではテレビや新聞よりも情報の精度は高いとも言えます。

ところが、ネットの情報にも問題点はあります。それは、「誰でも情報を発信できてしまう」という点です。

先ほどの熊本自身のデマ情報などは、まさに分かりやすい例でしょう。XなどのSNSも、誰でも情報を発信することができます。

他には、「Wikipedia(ウィキペディア)」などもよい例です。芸能人や有名人のプロフィールが詳しく載せられたサイトとして有名な「ウィキペディア」ですが、実は誰でも編集が可能です。

つまり、やり方次第では芸能人のプロフィールも勝手に編集できてしまうということです。

ネットの情報発信はテレビよりも気軽にでき、誰でも行うことができるという敷居の軽さがあります。そのため、内容を確認する際は「情報を疑うこと」がテレビ以上に求められます。

もちろん、ネットには「テレビが報じない情報を知れる」というメリットもありますが、その見極め方にはやはり注意が必要となるのです。

メディアリテラシーの使い方・例文

 

最後に、「メディアリテラシー」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 情報化社会の現代において、メディアリテラシーは必須の能力である。
  2. メディアリテラシーを身に着けるには、常日頃から様々な情報に接することだ。
  3. 今回の事件は真偽が隠されている部分が多く、メディアリテラシーが問われるものであった。
  4. アメリカなどの海外では、学校でメディアリテラシーを高める授業が行われている。
  5. インターネット全盛の時代において、今問われているのがメディアリテラシーである。
  6. メディアリテラシーや情報リテラシーの重要性は誰もが理解しておくべきだろう。

 

「メディアリテラシー」は、例文のように様々な場面で使うことができます。一般的には、社会問題や政治問題などと関連して用いられることが多いです。

なお、「メディアリテラシー」ではなく、「情報リテラシー」「ネットリテラシー」などと呼ばれることもあります。

前者は「情報を上手く使いこなす力」、後者は「ネットを上手く使いこなす力」なので意味としてはほとんど変わりません。

「情報」の方がネットやスマホ、テレビ、新聞など幅広い対象に対して使われるという特徴があります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

メディアリテラシー」=メディアの真偽を見極める力・使いこなす力。

具体例」=「熊本地震のデマ情報」など。

必要性」=身に付けないと、私たちの考えそのものが支配されてしまう。

ポイント」=②「お金の流れを読むこと」②「情報を疑うこと

ネットの普及に伴い、現代は簡単に情報が手に入る時代です。一方で、情報の信頼性というのはいつの時代も揺らいできました。大切なのは、自分の力で真偽を確かめ、そして背後で起こっていることをいかに上手く想像できるかだと言えるでしょう。