「まどろむ」という動詞は、漢字だと「微睡む」と書きます。ただ、この言葉の語源や使い方が気になるという人も多いと思われます。
そこで今回は、「まどろむ」の意味や例文、類語・英語などを含め分かりやすく解説しました。
まどろむの意味・読み方
まず、「まどろむ」を辞書で引くと次のように書かれています。
【まどろむ(微睡む)】
①少しの間うとうとする。
②眠る。寝入る。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「まどろむ」とは「少しの間うとうとする・眠る・寝入る」などの意味です。
使い方としては、次の通りです。
夏の暑い日に少年たちが木陰でまどろむ。
上の例文は、少年たちが木陰でうとうと眠る様子を表した一文となっています。
「まどろむ」とは、このように、誰かがうとうとと寝入る様子を表した言葉となります。
簡単に言えば、「仮眠」のことだと考えて頂いても構いません。
今まで起きていた人が徐々に眠りに入り、少しの間だけ眠りに入る様子を表す言葉が「まどろむ」なのです。
私たちの普段の生活であれば、「ちょっとだけ昼寝をする」「ちょっとだけ仮眠をとる」といった行為が「まどろむ」に当てはまります。
まどろむの語源・由来
次に、「まどろむ」の語源を見ていきましょう。冒頭でも触れたように、「まどろむ」は漢字だと「微睡む」と書きます。
これは文字通り「微か(かすか)に睡眠をとる」と書くので、「少しの間だけ眠ること」を意味します。したがって、ぐっすりと長時間眠るような時は「まどろむ」とは言いません。
例えば、仕事から帰ってきてすぐにベッドにつき、朝まで8時間の睡眠をとったとしても「まどろむ」とは言わないのです。この場合は「眠る」「熟睡する」などと言います。
元々、「まどろむ」は目がとろんとする様子から「目(ま)どろむ」と書いていました。
寝ているか起きているか分からない時、人は目がうつろになります。このような目がうつろになる様子を「目どろむ」と書いていたのです。
ところが、「目どろむ」という書き方だと、文字を見ただけで意味が伝わるようなことはありません。
そのため、次第にもっと分かりやすいようにという意味で、当て字で「微睡む」が使われるようになったのです。
「当て字」とは「漢字本来の意味でなく、分かりやすさを重視した字」のことです。
まどろむの類義語
「まどろむ」の「類義語」は以下の通りです。
- 寝る
- 寝付く
- 寝入る
- うとうとする
- うつらうつらする
- 昼寝する
- 仮眠する
- 少し眠る
- 軽く眠る
- 浅く眠る
- 一寝入りする
基本的には「浅く眠る行為」もしくは「ちょっとの間、眠る行為」を表した言葉が類義語となります。
この中だと「寝入る・うとうとする・仮眠する」などはほぼ同じ意味なので、「まどろむ」の「同義語」と定義しても構いません。
その他、慣用句では「床(とこ)に就く」「船を漕ぐ」「夢を結ぶ」なども広い意味で類義語と言えるでしょう。
「床に就く」とは「寝床に就く」、すなわち「就寝する」という意味です。
また、「船を漕ぐ」とは「居眠りをする」という意味です。眠そうになった時に、体を起こしたり倒したりする様子が船を漕ぐ様子に似ていたため、名付けられた慣用句です。
最後の「夢を結ぶ」は、「眠りにつく」という意味の慣用句です。人は眠りの中で必ず夢を見ることから、「その夢を結ぶ」=「眠りにつくこと」を表します。
まどろむの英語訳
「まどろむ」は、英語だと次のように言います。
「doze」
「fall into a doze」
「doze」は「ちょっと眠る・居眠りする・うたた寝する」などの意味を持つ動詞です。単独で使うこともできますし、後者のように熟語と合わせて使うこともできます。
熟語で使う場合は、「fall into(~に陥る)」の前に付けて使います。
英語だと「眠る」という単語は「sleep」がありますが、「sleep」の場合は単に寝たり熟睡したりするような時に使います。浅く眠るような時は、「doze」を使います。
例文だと、それぞれ以下のような言い方です。
She was dozing over a book.(彼女は本を読みながらうとうとしていた。)
I often fall into a doze.(私はしばしば、まどろむことがある。)
まどろむの使い方・例文
最後に、「まどろむ」の使い方を例文で紹介しておきます。
- しばしの間、横になってまどろむことにした。
- 仕事中にまどろむようなことがあってはならない。
- 熟睡することはできないが、まどろむことは許された。
- 彼は徹夜で作業していたので、何回かまどろむことがあったようだ。
- 一時間ほどまどろむことにしたが、次に目を覚ましたのは2時だった。
- 彼は一瞬のまどろみの間に、怖い夢を見ていたらしい。
「まどろむ」は、上記のように様々な場面で使うことができます。いずれも共通しているのは「浅く眠ること」もしくは「すでに浅く寝ている状態」を表すということです。
まれに「まどろむ」の意味を、「眠くて寝そうになっている状態(つまり起きている状態)」だと考える人がいますがこれは誤用です。「眠そうな状態」「眠気を催す状態」などではなく、眠る行為自体を「まどろむ」と言います。
また、最後の例文の「まどろみ」のように名詞として使う場合もあるので注意が必要です。この場合は動詞としてではなく、「浅い眠り」という名詞としての意味で使うのが特徴です。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「まどろむ」=少しの間うとうとする・眠る・寝入る。
「語源・由来」=「目(ま)どろむ」から「微睡む」になったため。
「類義語」=「うとうとする・軽く眠る・浅く眠る・昼寝する」など。
「英語訳」=「doze」「fall into a doze」
「まどろむ」という動詞は、一般用語としてだけでなく古語としても使われています。この記事により、ぜひ使い方を覚えて頂ければと思います。