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怪気炎 意味 読み方 使い方 例文 類語 語源

 

怪気炎」という言葉をご存知でしょうか?

一般的には「怪気炎を上げる」、「怪気炎を吐く」などのように用います。「炎」と書くからには何か燃え上がるようなイメージですが、聞いたことがないという人も多いと思われます。

そこで本記事では、「怪気炎」の意味や例文、語源、類語などを詳しく解説しました。

怪気炎の読み方・意味

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【怪気炎(かいきえん)】

調子がよすぎて、真実味がないように聞こえる、盛んな意気。「怪気炎をあげる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

怪気炎」は「かいきえん」と読みます。意味は「調子がよすぎて、真実味がないように聞こえる盛んな意気」のことです。

意気(いき)」とは、「物事を積極的に行おうとする気持ち」を表します。簡単に言えば「意気込み」のことだと考えて下さい。

例えば、決起集会などでは代表者が闘志をむき出しにするようなことがよくあります。

しかし、あまりにその闘志が強すぎてしまうと、周囲の人を白けさせてしまうようなことがあります。

「あの人、一人だけ盛り上がってるけど大丈夫か?」「言っていることを本当に実現できるのだろうか?」と思われてしまうような状態です。

このような状態は、真実味がなく、なおかつ盛んな意気を表しているので「怪気炎を上げている」と言うことができます。

つまり、「怪気炎」とはただ単に意気込みが強い様子を表したものではなく、周囲を白けさせるほど、度を越して意気込みが強い様子を表した言葉ということです。

怪気炎の語源・由来

 

「怪気炎」という言葉は、「気炎」の頭に「怪」が付いたものです。

まず、「気炎」とは「炎を上げるほどの強い気構え」を表します。実際に炎が燃え上がるというわけではなく、燃え上がるほど強い闘志を表した言葉ということです。

そして、頭についている「」は「怪(あや)しい」とも読める漢字です。すなわち、「」とは、「疑わしい様子」を表すことになります。

よって、「怪気炎」とは、「疑わしい様子に見えるほど強くて燃え上がる気構え」を表した言葉となります。転じて、現在の「調子がよすぎて、真実味がない様子」という意味になるのです。

通常、人の意気込みが強いのはポジティブな意味として捉えるのが一般的です。しかし、「怪気炎」の場合はそこに「怪しい」という意味が加わるので、意気込みは意気込みでも度が過ぎた悪い意気込みということになります。

怪気炎の類義語

怪気炎 類義語 同義語

 

「怪気炎」の類義語は、以下の通りです。

気炎を揚げる(きえんをあげる)】⇒勢いのよいことを言う。また、意気盛んに議論する。「気炎」とは「炎のように盛んな意気」を指す。気分やテンションが高いという意味はあるが、「怪しい」という意味までは含まれていない。
気炎を吐く(きえんをはく)】⇒勢いのよいことを言う。威勢のよいことを言う。「気炎を揚げる」とほぼ同じ意味の同義語。同じく「怪しい」という意味までは含まない。
気勢を上げる(きせいをあげる)】⇒勢いよく始めるさま。やる気が非常にあるさま。物事を行うにあたり、勢いややる気がある時に使われる。
気炎万丈(きえんばんじょう)】⇒他を圧倒するほど意気込みが盛んであること。「万丈」とは「非常に高いこと」を表す。

以上、四つの類義語を紹介しました。「怪気炎」と似た言葉は多くありますが、全く同じ意味の言葉(同義語)はありません。

どれも「意気盛ん」「勢いがよい」などの意味はありますが、わずかに違いがある言葉ばかりです。

なお、同音異義語で「快気炎(かいきえん)」があります。「快気炎」とは「さっぱりしていて威勢のいい言動。聞いていて快くなる意気ある言動」という意味です。

「快気炎」は「怪気炎」をもじって作られた造語です。読み方はどちらも同じですが、こちらは「怪」ではなく「快」という字を書くので注意してください。

怪気炎の英語訳

 

「怪気炎」は、英語だとどう表現すればいいでしょうか?まず、最も簡単な表現としては「mysterious flame」があります。

直訳すると、「怪しげな炎」という意味です。「mysterious」は「神秘的な、謎の、怪しげな」などの訳があり、「flame」は「炎」という意味です。

ただ、これだと英語圏では意味が通じにくいため、実際には次のように表現するのがよいでしょう。

speak in a voluble and overblown manner

「voluble」は「口達者な、おしゃべりな」、「overblown」は「大げさな、誇張した」、「manner」は「態度・物腰」という意味です。

合わせることで、「おしゃべりで大げさな態度で話す」⇒「怪気炎」と訳すことができます。

怪気炎の使い方・例文

 

最後に、「怪気炎」の使い方を実際の例文で紹介しておきます。

 

  1. 上司の怪気炎は止まらなかったが、皆仕方なく聞いたふりをしていた。
  2. 彼はボクシング世界王者に対し「負けるわけがない」と怪気炎を上げた。
  3. 酒に酔っていたのか、怪気炎を上げるように調子の良い事を言い始めたね。
  4. 相変わらずの怪気炎だが、君はもう少し気持ちを落ち着かせたらどうだい?
  5. いつものように飲み会の席で「俺は大金持ちになる」と怪気炎を上げた彼であった。
  6. 連勝中の彼であったが、「ここから100連勝は行ける」と怪気炎を上げた。

 

「怪気炎」は、聞く者がその内容を疑いたくなるほど盛んな意気を表したものです。そのため、威勢がよすぎて真実性が疑われるような発言に対して使われます。

酒の席などで酔って調子に乗った人を対象とすることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。単に調子の良い発言をする人、いわゆるビッグマウスと呼ばれる人を対象とすることもあります。

いずれにしろ、あまり良い意味としては使わない言葉ですので、使う際には慎重に相手を選ぶ必要があると言えます。

なお、用例としては「怪気炎を上げる」「怪気炎を上げた」などの言い方が多いです。「怪気炎」単体でも使うことが可能ですが、多くの場合は後ろに「上げる」という動詞が付随します。

まとめ

 

以上、今回のまとめとなります。

怪気炎」=調子がよすぎて、真実味がないように聞こえる盛んな意気。

語源・由来」=「疑わしく見えるほど強くて燃え上がる気構え」から。

類義語」=「気炎を揚げる・気炎を吐く・気勢を上げる・気炎万丈」

英語訳」=「speak in a voluble and overblown manner」

物事に挑む際に意気を盛んにすることは重要です。ただ、あまりに度を越して意気を盛んにすると、周りからの信用にも関わってしまいます。「怪気炎」とはそのような大事な教訓も教えてくれる言葉ということです。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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