変革 改革 違い 改善 意味 使い分け

「変革」と「改革」は、どちらもビジネスでよく使われる言葉です。「組織を変革する」「働き方を改革する」。

さらに似たような言葉で、「改善」や「革命」が使われることもあります。これらの言葉はどう使い分ければいいのでしょうか?

今回は、「変革」と「改革」の違い、さらに「改善」と「革命」についても解説しました。

変革の意味

 

まずは、「変革」の意味からです。

【変革(へんかく)】

物事を変えて新しくすること。また、変わること。

出典:三省堂 大辞林

変革」とは「物事を変えて新しくすること」を意味します。例えば、以下のような使い方です。

  • 意識を変革する。
  • 組織を変革する。

「変革」は「すでにあるものを100%変える」という点がポイントです。上記の例だと、「意識」⇒「考え方そのものを全て変える」、「組織」⇒「メンバーや配属全てを入れ替える」といったことです。

つまり、「変革」とは「すべてを破壊して新しく作り上げること」だと言えます。逆に言えば、部分的に変更したりするような場合は「変革」は使わないことになります。

改革の意味

 

続いて、「改革」の意味です。

【改革(かいかく)】

基盤は維持しつつ、社会制度や機構・組織などをあらため変えること。

出典:三省堂 大辞林

改革」とは「基盤を維持しつつ、改め変えること」を意味します。例えば、以下のような使い方です。

  • 税制を改革する。
  • 働き方を改革する。

「改革」は「今までの基盤を維持する」という点がポイントです。

上記の例だと、「税制」⇒「税金の基本制度は保ったまま」、「働き方」⇒「働き方の大枠は保ったまま」ということです。

「基盤」とは「基本となる大事な部分のこと」を表します。したがって、大事な部分は残したままで変更を加えることを「改革」と言うわけです。

変革と改革の違い

変革 改革 違い 使い分け

ここまでの内容を整理すると、

変革」=物事を変えて新しくすること。

改革」=基盤を維持しつつ、改め変えること。

ということでした。

両者の違いを一言で言うと、「変え方の違い」ということになります。

「変革」は「変わる」と書くように文字通りすべてを変えるような時に使います。一方で、「改革」は根本的な部分は残したまま、改めるべき部分を変えるような時に使います。

「家」で例えるなら「変革」は「建て替え」、「改革」は「リフォーム」。「車」で例えるなら、「変革」は「買い替え」、「改革」は「修理・修繕」、「医療」で例えるなら「変革」は「大手術」、「改革」は「手直し」といったイメージです。

つまり、物事を丸ごと変えることを「変革」と言い、部分的に変えることを「改革」と言うわけです。

まとめると、

変革」=すべて丸ごと変えること。

改革」=根本的な部分は残して変えること。

となります。

なお、両者は英語だと次のように言います。

「変革」⇒「change」「改革」⇒「reform」

「変革」は「単に変わること」なのに対し、「改革」は「リフォーム」を意味します。建物のリフォームなどは基礎や柱はそのままで残りの設備を改めることなので、まさに「改革」と呼べるでしょう。

改善の意味

 

似たような言葉で「改善」があります。

【改善(かいぜん)】

物事をよい方に改めること。 ⇔ 改悪

出典:三省堂 大辞林

改善」とは「物事を良い方に改めること」を意味します。使い方としては、以下の通りです。

  • 生活を改善する。
  • 待遇を改善する。

「改善」は、悪い所を少しずつでもよくするというニュアンスが強い言葉です。したがって、「変革」や「改革」のように「制度や仕組みを変える」という意味では使いません。

また、「変革」と「改革」は、今の状態を否定した上で変更を加えます。一方で、「改善」の方は必ずしも現状を否定するとは限りません。

場合によっては、「現状に納得した上で、さらに良い方へ改める」という意味でも使います。

以上の事から考えますと、それぞれの「変える規模の大小」は次のように定義することも可能です。

「変革」>「改革」>「改善」

「変革」や「改革」をする時は、原則として物事が悪い状態にあると言えます。そのため、この二つに関しては物事を大きく変える必要があるのです。

革命の意味

 

同じく似たような言葉で「革命」があります。

【革命(かくめい)】

支配者階級が握っていた国家権力を被支配者階級が奪い取って、政治や経済の社会構造を根本的に覆す変革。

既成の制度や価値を根本的に変革すること。 

王朝があらたまること。

出典:三省堂 大辞林

革命」は①や②の説明にもあるように「変革」とほぼ同じような意味を持ちます。ただし、「革命」の場合は政治体制や社会体制に対して使われることが多いです。

最も分かりやすいのが「産業革命」という言葉でしょう。「産業革命」とは、18世紀にイギリスで起こった農業を基盤とする社会から近代産業社会への変革を指す言葉です。

それまで世の中を支配していたのは、農業という既存の社会体制でした。この既存の体制を根本的に変革したのが、「産業革命」と呼ばれるものだったのです。

その他には、「易姓革命」「思想革命」「フランス革命」などの語も歴史の用語としてはよく使われています。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

【変革の使い方】

  1. スマホの発明により、社会全体が変革を遂げた。
  2. 日本の教育制度は、変革すべきという意見が多い。
  3. 江戸時代から明治時代へ変革したのが、明治維新である。
  4. このチームを強くするには、個々の意識の変革が必要である。
  5. 会社の経営不振により、株主からは組織全体の変革が求められた。

【改革の使い方】

  1. 現状の医療システムは、やはり改革する必要がある。
  2. その会社は、組織改革によって見事V字回復を遂げた。
  3. 選挙制度の改革により、18歳から投票できるようになった。
  4. 現行の年金制度に関しては、抜本的な改革が求められている。
  5. 少子高齢化が進む日本では、まず働き方の改革が重要だ。

【改善の使い方】

  1. 痩せるためには、食生活を改善する必要がある。
  2. 彼は労働条件を改善することを、強く訴えた。
  3. 会社による業務改善プロジェクトが始まった。

【革命の使い方】

  1. 産業革命により、大規模な織機・紡績機の改良が行われた。
  2. 1789年に起こったフランス革命は、世界史上の代表的な革命である。
  3. 市民革命は、封建的な国家体制を解体し、近代社会を目指すものであった。

 

なお、「改革」に関しては「抜本的改革」などと言うこともあります。

「抜本的(ばっぽんてき)」とは「根本的」と同じような意味だと考えてください。この場合は、「根本から一気に変えていく」という「変革」に近い意味になります。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

変革」=物事をすべて変えて、新しくすること。

改革」=物事の基盤を維持しつつ、改め変えること。

改善」=物事を(少しずつ)良い方に改めること。

革命」=政治や経済の社会構造を根本的に覆す変革。

「変革(革命)」>「改革」>「改善」の順に、物事を大きく変えていきます。「改善」を積み重ねた結果、「変革」や「改革」ができると覚えておきましょう。