平穏無事 年賀状 意味 例文 使い方 類義語 英語

お正月が近づき年賀状を書く季節になると、よく使われる四字熟語があります。それが、「平穏無事」です。

主に「平穏無事な一年」「平穏無事を祈る」などのように用います。あなたはこの四字熟語の正しい使い方をご存知でしょうか?

本記事では、「平穏無事」の意味や例文、類語、対義語などを詳しく解説しました。

平穏無事の意味・読み方

 

最初に、基本的な意味と読み方をご紹介します。

【平穏無事(へいおんぶじ)】

穏やかで、何も変わったこともなく安らかであること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

平穏無事」は「へいおんぶじ」と読みます。

意味は「何も変わったことがなく、穏やかで安らかであること」です。

例えば、年末年始の季節になり、あなたが今年一年間何も問題なく過ごしていたとしましょう。

具体的に言いますと、

  • 特別悪いことや不幸になることも起きなかった。
  • 何か大きなケガや病気になることもなかった。
  • 特に浮き沈みがあるような異変が起こらなかった。

といったことです。

このような場面であれば、何も問題なく無事に過ごしているので「平穏無事」と言うことができます。

「平穏無事」は、直接的・大々的に相手に幸せを伝えている言葉ではありません。しかしながら、相手に対して「災いや不幸が起こらなかったこと」を暗に伝えているため、間接的には幸せを伝えている言葉だと言えます。

もしも相手がこの言葉を使っていた場合は、「特に大きな問題なく過ごしているのだな」と認識して構いません。

平穏無事の語源・由来

 

「平穏無事」は、「平穏」と「無事」の二つに分けることができる四字熟語です。

まず「平穏」とは「穏やかで安定していること」を意味します。これは「平らで穏やか」と書くことからも分かると思います。文字通り、浮き沈みがなく物事が平らで落ち着いている状況です。

そして、「無事」とは「何も変わったことがない」「特別これといった異変がない」という意味です。「無事」は元々仏教由来の言葉で、本来は「わずらいやこだわりがない状態」を表していました。転じて、現在では「その人に変わったことがない様子」を意味する言葉となっています。

整理しますと、「平穏無事」=「穏やかで安定しており、何も変わったことがない」となります。

見て分かるように、「無事」という言葉だけでも意味は通じますが、あえて「無事」に「平穏」を加えることで、穏やかで変わっていない様子を強く表現しているということです。四字熟語では、このように似た意味の言葉を付け加えることがよくあります。

平穏無事の類義語

類義語 言い換え 対義語

続いて、「平穏無事」の「類義語」を紹介します。

安穏無事(あんのんぶじ)】⇒変わったことがなく、穏やかで安らかなさま。社会や暮らしなど世の中の情勢に対して使う。
無病息災(むびょうそくさい)】⇒病気をせずに健康でいること。元気でいること。人の体調面に対して使う。
太平無事(たいへいぶじ)】⇒世の中が平和で、変わった事件などがないこと。「太平」とは「平和に治まること」を意味する。
天下泰平(てんかたいへい)】⇒世の中がよく治まり、穏やかでいること。「天下」とは「世の中」、「泰平」は「太平」と同じ意味。
平安無事(へいあんぶじ)】⇒穏やかで安定しており、変わったことがないこと。「平安」とは「穏やかで安らかな様子」を意味する。
家内安全(かないあんぜん)】⇒家族に病気や事故がないこと。家族一同が元気であること。「家内」とは「家族」を意味する言葉。

「平穏無事」と似た言葉は多くありますが、この中では「平安無事」が意味としては最も近いです。ただし、「平安無事」を使う機会はそれほど多くありません。

実際には、「安穏無事」や「無病息災」を使う機会の方が多いです。「安穏無事」は対象が世の中に限定される点、「無病息災」は体調に限定される点が特徴となります。

平穏無事の対義語

 

逆に、「平穏無事」の「対義語」としては以下の四字熟語が挙げられます。

多事多難(たじたなん)】⇒事件や困難などが多いこと。「多事」とは「事件や出来事が多いこと」、「多難」とは「困難や災難が多いこと」を表す。
物議騒然(ぶつぎそうぜん)】⇒世間の噂や評判などが騒がしく、世の中が落ち着かないこと。「物議」は「世間の噂」、「騒然」は「騒がしい様子」。
物情騒然(ぶつじょうそうぜん)】⇒世の中が騒がしく落ち着かないこと。「物情」とは「世の情勢や様子」を表す。
波乱万丈(はらんばんじょう)】⇒様々な苦労や困難などがある変化の激しい人生。人の生き様を表すような時に使う。
内憂外患(ないゆうがいかん)】⇒国の内外で同時に起こる心配事。内と外に問題が生じること。「内」は「国内」、「外」は「国外」を表し、「憂」「患」はともに「憂(うれ)える」という意。「憂える」とは「心配すること」。

「平穏無事」の「対義語」は多くありますが、共通しているのは、「穏やかではない」ということです。事件・災いなどが多く、人や世の中の様子が安定しない様子を表す言葉が反対語となります。

平穏無事の英語訳

 

「平穏無事」は、英語だと次のような言い方をします。

peace and quiet(平穏無事)」

serene and fine(平穏無事)」

「peace」は「平和な」、「quiet」は「静かな、穏やかな」という意味です。合わせることで、「平和で穏やかな」と訳すことができます。

また、「serene」は「安らかな、落ち着いた、穏やかな」、「fine」は「元気な、無事な」という意味です。こちらも合わせることで、「穏やかで無事な」と訳すことができます。

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

I pray for your peace and quiet.(あなたの平穏無事を祈ります。)

I was relieved to see my grandfather’s serene and fine.(祖父の平穏無事な姿に安心した。)

その他、簡易的な表現だと「peaceful(平和な・穏やかな)」「uneventful(事件のない・波乱のない)」などを使っても構いません。状況に応じてうまく使い分けるようにしてください。

平穏無事の使い方・例文

 

最後に「平穏無事」の使い方を実際の例文で確認しておきましょう。「平穏無事」は、主に一般的な文章で使う場合と、年賀状などの改まった文章に使う場合に分かれます。

【一般的な使い方】

  1. 振り返ると今年は平穏無事な一年でした。
  2. 来年は平穏無事な日々を送ることを目標とします。
  3. 彼女が平穏無事な生活を送ることができたのでよかったです。
  4. 平穏無事に過ごせますようにと神社でお守りを購入した。
  5. 当たり前と考えず、平穏無事な生活に感謝するように。

【年賀状での使い方】

  1. おかげさまで、私どもは平穏無事に暮らしています。
  2. おかげさまで、私も家族一同平穏無事に暮らしております。
  3. おかげさまを持ちまして、私共も一同平穏無事に過ごしております。
  4. 当方も皆おかげさまで、平穏無事に過ごしています。
  5. おかげさまで、私共は平穏無事に新年を迎えることができました。

 

「平穏無事」は、主に自分の安否を相手へ伝えるような場合に使われます。他には、自分の安否自体を願ったり、他人の安否を尋ねるような使い方もできますが、実際にはその用例は多くありません。

最も分かりやすいのが、年賀状やビジネスメールなどの改まった場面で使う際です。年賀状などの新年の挨拶では、今年一年を振り返り、自分の家族や親族が無事で過ごせたことを相手に伝えます。

そして、相手も同じように無事で過ごせたことを相手に伝えます。こうすることで、お互いが無事に新年を迎えられたことを確認できるというわけです。

もしも先に相手から年賀状が送られてきた場合は、「私共も平穏無事で暮らしています」のように返すのが賢明だと言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

平穏無事」=何も変わったことがなく、穏やかで安らかであること

語源・由来」=「穏やかで安定していること」+「何も変わっていないこと」

類義語」=「安穏無事・無病息災・太平無事・天下泰平・平安無事」

対義語」=「多事多難・物議騒然・物情騒然・波乱万丈・内憂外患」

英語訳」=「peace and quiet」「serene and fine」

「平穏無事」は、今年一年を平和に過ごせたことを表す便利な四字熟語です。今後は手紙や年賀状などあらゆる媒体で使ってみてはどうでしょうか?