第四場面:町へ戻る途中、数々の困難にあう
目が覚めたのは明くる日の薄明の頃である。~
【薄明(はくめい)】⇒日の出前もしくは日没後のうすあかりの状態。ここでは「日の出前」を指す。
【南無三(なむさん)】⇒しまった。(驚いたとき、失敗したときなどに発する語。)
【刻限(こくげん)】⇒定められた時刻。
【信実(しんじつ)】⇒まじめで偽りがないこと。打算がなく誠実であること。
【存する(そんする)】⇒存在する。ある。
【悠々(ゆうゆう)】⇒ゆったりと落ち着いたさま。
【身支度(みじたく)】⇒身なりを整えること。
【幾分(いくぶん)】⇒少し。程度が小さいさま。
【雨中(うちゅう)】⇒雨の降るなか。
【奸佞邪知(かんねいじゃち)】⇒心が曲がっていて悪知恵が働き、人にこびへつらうこと。
【名誉(めいよ)】⇒社会的に認められたその人の価値。
【額(ひたい)】⇒おでこ。
【拳(こぶし)】⇒5本の手の指を折り曲げて握りしめたもの。
【故郷(こきょう)】⇒生まれ育った土地。ふるさと。
【持ち前(もちまえ)】⇒もともと備わっているもの。生まれつきのもの。
【里程(りてい)】⇒里で表した距離。また、みちのり。
【災難(さいなん)】⇒思いがけず身にふりかかってくる不幸な出来事。
【はたと】⇒突然、動作を中止するさま。
【水源地(すいげんち)】⇒水源のある土地。川などが流れ出るおおもとの地。
【氾濫(はんらん)】⇒川の水などが増して勢いよくあふれ出ること。
【濁流(だくりゅう)】⇒にごった水の激しい流れ。
【とうとうと】⇒水や人の話などが、勢いよくよどみなく流れるさま。
【猛勢一挙(もうせいいっきょ)】⇒猛烈な勢いで、一気に動くさま。
【破壊(はかい)】⇒壊すこと。
【どうどう】⇒大量の水が激しく流れる音を表した語。
【激流(げきりゅう)】⇒勢いのはげしい流れ。
【こっぱみじん】⇒細かく粉々にくだけ散ること。
【橋桁(はしげた)】⇒橋脚(きょうきゃく)の上に架け渡して、橋板(はしいた)を支える材。
【茫然(ぼうぜん)】⇒あっけにとられているさま。
【眺める(ながめる)】⇒視野に入ってくるもの全体を見る。広く見渡す。
【呼(よ)びたてる】⇒声を張り上げて呼ぶ。
【繋舟(けいしゅう)】⇒岸に繋(つな)がれている舟。
【渡し守(わたしもり)】⇒渡し船の船頭。「渡し船(わたしぶね)」とは「川の両岸を往復して客や荷物を運ぶ船」、「船頭(せんどう)」とは「船の船長」を指す。
【哀願(あいがん)】⇒心からお願いすること。
【鎮める(しずめる)】⇒勢いをそぐ。
【刻々(こくこく) 】⇒時間を追って。時間がたつのにつれて。
【せせら笑う(せせらわらう)】⇒ばかにして笑う。あざけり笑う。
【躍る(おどる)】⇒激しく揺れ動く。
【あおりたてる】⇒風が物をひどく揺り動かす。
【照覧(しょうらん)】⇒神仏が御覧になること。
【誠(まこと)】⇒誠実で偽りのない心。
【偉大(いだい)】⇒すぐれて大きいさま。りっぱであるさま。
【発揮(はっき)】⇒もっている能力や特性などを十分に働かせること。
【ざんぶ】⇒大きなものが勢いよく水中に飛び込む音。
【大蛇(だいじゃ)】⇒大きなへび。
【闘争(とうそう)】⇒相手に勝とうとして争うこと。
【満身(まんしん)】⇒からだじゅう。全身。
【なんのこれしき】⇒このくらいなんでもない。
【獅子奮迅】⇒獅子がふるい立って暴れまわるように、激しい勢いで物事に対処すること。「獅子」は「ライオン」を表す。
【哀れ(あわれ)】⇒かわいそうに思われるさま。気の毒だ。
【憐愍を垂れる(れんびんをたれる)】⇒同情する。哀れむ。「憐愍」とは「かわいそうに思うこと」を表す。
【対岸(たいがん)】⇒向こう側の岸。
【樹木(じゅもく)】⇒地面に生えている木の総称。立ち木。
【幹(みき)】⇒樹木の茎の部分。中心部分。
【胴震い(どうぶるい)】⇒寒さや恐れ・興奮などのために全身がふるえること。ここでは「寒さ」を表す。
【峠(とうげ)】⇒山の上り下りの境目。山で下りにかかる所。
【一隊(いったい)】⇒兵士などの集団・ひとまとまり。
【山賊(さんぞく)】⇒山の中を本拠地にして通行人を襲う盗賊。
【躍り出る(おどりでる)】⇒飛び跳ねるようにして、勢いよく出てくる。
【どっこい】⇒相手の意図をさえぎり止めるときに発する語。
【棍棒(こんぼう)】⇒相当な長さのある木の棒切れ。
【ひょい】⇒身のこなしが軽いさま。
【飛鳥(ひちょう)】⇒空を飛んでいる鳥。非常に動作の速いさまをたとえた語。
【猛然一撃(もうぜんいちげき)】⇒強烈に一発殴ること。
【ひるむ】⇒おじけづいてしりごみする。
【隙(すき)】⇒気のゆるみ。油断。
【おりから】⇒ちょうどその時。
【灼熱(しゃくねつ)】⇒焼けつくように熱いこと。
【幾度となく(いくどとなく)】⇒何度も。
【膝を折る(ひざをおる)】⇒膝を折り曲げて、かがんだり正座したりする。
【天を仰ぐ(てんをあおぐ)】⇒嘆(なげ)いて、神に訴えるように顔を上方へ向ける。
【韋駄天(いだてん)】⇒仏教における守護神の一つ。非常に足が速いという伝説から、足の速い人のたとえに用いられる。
【稀代(きたい)】⇒ 世にもまれなこと。めったに見られないこと。
【不信(ふしん)】⇒誠実でないこと。偽りの多いこと。
【萎える(なえる)】⇒体力や気力が衰えて弱る。
【芋虫(いもむし)】⇒蝶(が)や蛾(ちょう)の幼虫のうち、毛のないもの。
【路傍(ろぼう)】⇒道のほとり。みちばた。
【巣くう(すくう)】⇒悪い考えなどが宿る。
【みじんもない】⇒全然ない。まったくない。
【不信の徒(ふしんのと)】⇒信義を守らない人。「徒」とは「人」のこと。
【真紅(しんく)】⇒濃い紅色。まっか。
【精も根も尽きる(せいもこんもつきる)】⇒精力も根気もすっかり使い果たす。物事をする気力がすっかりなくなる。
【よくよく】⇒非常に。大変。程度がきわめてはなはだしいさまを表す。
【欺く(あざむく)】⇒だます。言いくるめる。
【中途(ちゅうと)】⇒出発地から目的地へ向かって進む道中のなかほど。途中。
【胸に宿す(むねにやどす)】⇒心の中に含み持つ。
【無心(むしん)】⇒無邪気であること。純粋であること。
【突破(とっぱ)】⇒突き破ること。困難や障害などを克服すること。
【耳打ち(みみうち)】⇒相手の耳もとへ口を寄せてささやくこと。
【卑劣(ひれつ)】⇒品性や言動がいやしいこと。
【独り合点(ひとりがてん)】⇒自分だけで、よく分かったつもりになること。
【放免(ほうめん)】⇒からだの拘束を解いて自由にすること。
【ひとりよがり】⇒他人の意見を無視して、自分だけでよいと思い込んでいること。
【定法(じょうほう)】⇒こういう場合にはこうするものと、決まっているやり方。
【醜い(みにくい)】⇒見苦しい。不快な。
【やんぬるかな】⇒今となっては、どうしようもない。
【四肢(しし)】⇒人間の両手と両足。
【まどろむ】⇒少しの間うとうとする。眠る。
第五場面:セリヌンティウスとメロスの再会
ふと耳に、潺々、水の流れる音が聞こえた。そっと頭をもたげ、~
【潺々(せんせん)】⇒浅い川などの水がさらさらと流れるさま。
【息を呑む(いきをのむ)】⇒おそれや驚きなどで一瞬息を止める。
【耳をすます(みみをすます)】⇒聞こうとして注意を集中する。
【よろよろ】⇒足もとがしっかりせず、倒れそうなさま。
【滾々(こんこん)】⇒尽きることなく、わくさま。
【清水(しみず)】⇒地面や岩の間などからわき出るきれいに澄(す)んだ水。
【かがめる】⇒からだを前に折り曲げてやや低い姿勢をとる。
【義務遂行(ぎむすいこう)】⇒しなければならないことをやり遂げること。
【斜陽(しゃよう)】⇒西に傾いた太陽。夕日。
【なぞ】⇒など。
【先刻(せんこく)】⇒さきほど。さっき。
【五臓(ごぞう)】⇒人体の五つの内臓。心臓・肝臓・肺臓・脾 (ひ) 臓・腎(じん)臓。
【酒宴(しゅえん)】⇒人々が集まり、酒を酌(く)み交わして楽しむ会。宴会。
【宴席(えんせき)】⇒宴会の席。酒盛りの席。
【仰天(ぎょうてん)】⇒ひどくびっくりすること。
【小耳に挟む(こみみにはさむ)】⇒ふと耳にする。ちらりと聞く。
【風態(ふうてい)】⇒身分や職業をうかがわせるような外見上のようす。身なり。
【全裸体(ぜんらいた)】⇒まるはだかのこと。
【塔楼(とうろう)】⇒高い建物のこと。
【胸が張り裂ける(むねがはりさける)】⇒悲しみや悔しさなどで、胸が裂けるような苦痛を感じる。
【刑場(けいじょう)】⇒死刑を執行する場所。
【信念(しんねん)】⇒正しいと信じる自分の考え。
【言うにや及ぶ(いうにやおよぶ)】⇒言うまでもない。
【死力を尽くす(しりょくをつくす)】⇒死んでも構わないつもりで力をふりしぼる。
【地平線(ちへいせん)】⇒大地と天との境にほぼ水平に見える線。
【没する(ぼっする)】⇒沈んで見えなくなる。
【残光(ざんこう)】⇒日没後、なお空に残っている光。
【疾風(しっぷう)】⇒速く激しく吹く風。
第六場面:ディオニス王の改心とメロスの無罪
「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰ってきた。約束のとおり、今、帰ってきた。」と~
【群衆(ぐんしゅう)】⇒群がり集まった人々。
【刑吏(けいり)】⇒刑を執行する役人。
【あっぱれ】⇒ほめたたえる気持ちを表すときに発する語。すばらしい。みごとである。
【抱擁(ほうよう)】⇒親愛の情をもって、だきかかえること。
【歔欷(きょき)】⇒すすり泣くこと。むせび泣き。
【まじまじ】⇒目を離さないで一心に見つめるさま。じっと。
【空虚(くうきょ)】⇒実質的な内容や価値がないさま。
【妄想(もうそう) 】⇒根拠もなくあれこれと想像したもの。
【歓声(かんせい)】⇒喜びのあまり叫ぶ声。
【万歳(ばんざい)】⇒めでたいときやうれしいときに、その気持ちを込めて発する語。
【緋(ひ)】⇒濃く明るい赤色。
【まごつく】⇒うろたえる。
【裸体(らたい)】⇒衣服をまとっていないはだかのからだ。
まとめ
以上、今回は『走れメロス』に出てくる語句や漢字をわかりやすくまとめました。言葉の意味が分かれば、本文の意味も理解しやすくなるはずです。ぜひ学校の定期テストの対策にして頂ければと思います。