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現代の国語 ぐうぜん、うたがう、読書のススメ 問題 漢字 教科書 筆者の主張

 

「ぐうぜん、うたがう、読書のススメ」は、高校教科書で学ぶ評論文です。定期テストなどにも出題されています。

ただ、実際にはその内容が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、本作のあらすじや要約、語句の意味などを含め簡単に解説しました。

『ぐうぜん、うたがう、読書のススメ』のあらすじ

 

本文は、2つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①わたしが育った家には、本がほとんどなかった。そのため、国語の教科書に載っている文章を読むことが、唯一の読書の原体験といえるものだった。ほとんどの場合、学生時代を終えて大人になると、自分の好みや必要性に合った本を読むことになるので、さまざまな種類の本を読むような経験をすることが難しくなる。私にとって、幼少の頃の教科書をなめるように読む読書体験は、本質的に贅沢なものだったのかもしれない。

②自分の人生の局面を左右するできごとや決心の多くは、自分の想像を少し超えたところからやってくるものである。本を一冊手に取るという場面だけで、書物たちと自分がかけがえのない「一回性」を共有していることに気づく。文庫の棚の前などで、目をつむって適当に選んだ本を必ず読んでみるということを実行すると、予想外の本に出会う確率が高くなる。読書をするなかで、当たり前のようになっているかもしれない「読書は掛け値なしにすばらしいものでる」という考え方を自分でぜひ確かめてほしい。

『ぐうぜん、うたがう、読書のススメ』の要約&本文解説

 

200字要約自分の人生の局面を左右するできごとや決心の多くは、自分の想像を少し超えたところからやってくるものである。本を一冊手に取るという場面には、さまざまな書物と自分が出会うというかけがえのない「一回性」があり、それは自分の知らない予想外の世界に足を踏み入れることを可能とする。わたしたちの肝心な部分は一回性の偶然にゆだねられているため、読書をする中で自明となっている読書の価値を自分自身で確かめてほしい。(198文字)

筆者はまず、第一段落で幼い頃の読書体験について触れています。筆者は、学校で配られた教科書を一年が始まる前に何度も繰り返し読み、さまざまな種類の好きと思えるものやそうでないものに、いやでも出会って読んでしまうという体験をしました。

この事を筆者は、本質的に贅沢なものだったと振り返っています。

次の第二段落では、人生と読書の関係性について触れています。人生を左右する局面というのは、常に自分の想像を少し超えたところからやってきます。

読書もこれと同じで、自分の選択によるものではない偶然の出会いにより、思いもよらないような予想外の本に出会うことがあります。わたしたちの肝心な部分は、そのような一回性にゆだねられているということです。

最終的に筆者は、偶然性によるすばらしさを味わえる可能性を持つ読書のすばらしさを理解した上で、実際に本を読んでほしいという主張で結論付けています。

『ぐうぜん、うたがう、読書のススメ』の意味調べノート

 

【盆栽(ぼんさい)】⇒枝や幹に手を加え、整えて育てた観賞用の草木。

【ひょんな】⇒思いがけないさま。意外な。

【さながら】⇒そっくり。そのまま。

【先天的(せんてんてき)】⇒生まれつきであるさま。

【原体験(げんたいけん)】⇒人の思想形成に大きな影響を及ぼす幼少時の体験。

【啓発(けいはつ)】⇒人が気づかずにいるところを教え示して、より高い認識・理解に導くこと。

【現世利益(げんせりやく)】⇒神仏を信仰することによって現世で得られる恵みや幸福。ここでは、「すぐに得られる利益」という意。

【なめるように読む】⇒もらすことなく隅々まで読む。

【局面(きょくめん)】⇒物事の成り行き。当面している情勢。

【肝心(かんじん)】⇒最も大切であること。

【価値観(かちかん)】⇒何に価値を認めるかという、それぞれの人の考え方。

【はらむ】⇒含む。

【書棚(しょだな)】⇒書物をのせる棚。本棚。

【一回性(いっかいせい)】⇒一回しかないという性質。

【洗礼(せんれい)】⇒避けて通れない試練。

【束の間(つかのま)】⇒ごく短い時間。ちょっとの間。

【却下(きゃっか)】⇒しりぞけること。

【発揮(はっき)】⇒もっている能力や特性などを十分に働かせること。

【初見(しょけん)】⇒初めて見ること。

【自明(じめい)】⇒特に証明などをしなくても、明らかであること。わかりきっていること。

【掛け値なし(かけねなし)】⇒物事をおおげさに誇張して言わないこと。

【偶然性(ぐうぜんせい)】⇒予期しないことが起こる性質。

『ぐうぜん、うたがう、読書のススメ』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ボンサイを趣味とする。

イデンの影響を受ける。

レンサ反応を起こす。

④自己ケイハツの本を買う。

⑤申し出をキャッカする。

ツカの間の喜びだった。

⑦実力をハッキする。

解答①盆栽 ②遺伝 ③連鎖 ④啓発 ⑤脚下 ⑥束 ⑦発揮
問題2「あの読書体験は、振り返ってみれば本質的に贅沢なものだったのかもしれない。」とあるが、筆者がこのように考えるのはなぜか?本文中の語句を用いて60字以内で説明しなさい。
解答例さまざまな種類の、好きだなと思えるものやそうでないものに、いやでも出会って読んでしまうという経験をすることができたため。(60文字)
問題3

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)学生時代を終えて大人になってしまえば、限られた時間を読書にあてようとすると自分の好みや必要性に合った本を読むことになる。

(イ)時の洗礼を受けて継がれてきた古典や名作といわれる本は、自分が読まずに他人と共有することで、名作であるかどうかが分かるものである。

(ウ)偶然出会った本や物語の中での体験が、後々の人生においてどのような効力を発揮してどんな影響を受けているのかはわからない。

(エ)読書をするなかで自明であるかのように言われていてなんとなく受け入れたままになっているかもしれない読書の価値を自分自身で確かめて欲しい。

解答(イ)

まとめ

 

以上、今回は「ぐうぜん、うたがう、読書のススメ」について解説しました。ぜひテスト対策用に見直して頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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