骨折などの怪我をした際に巻く包帯のことを「ギブス」もしくは「ギプス」と言います。医療関係の仕事をされている方であれば、なじみがあるでしょう。
ただ、この場合どちらを使えばよいのかという疑問があります。そこで今回は「ギブス」と「ギプス」の使い分けについて詳しく解説しました。
ギブス・ギプスの意味
最初に、「ギプス」の意味を辞書で引いてみます。
【ギプス】
⇒骨折や靭帯じんたい損傷などの場合に患部を固定し、保護するため、包帯を石膏で固めたもの。ギプス包帯。〔石膏せつこうの意。ギブスとも〕
出典:三省堂 大辞林
上記のように、「ギブス」と「ギプス」は同じ項目として載っています。つまり、辞書としての意味はほぼ同じということになります。
だいたいの辞書では「ギプス」をメインに書き、「ギブス」の方は「ギブスとも言う」などと補足的に書くことが多いようです。
意味としては、「包帯を石膏で固めたもの」を表します。
「石膏(せっこう)」とは「水と硫酸カルシウムからなる鉱物のこと」だと考えてください。この「石膏」のことを「ギプス」または「ギブス」と呼ぶわけです。
主に医療業界で使う言葉ですが、日常生活でも比較的よく使われる言葉となります。
ギブスとギプスの違い
「ギプス」と「ギブス」の大まかな意味は理解できました。では、実際のところ両者はどう違うのでしょうか?
結論から言いますと、「ギプス」が正しいので「ギブス」は原則誤りということになります。
まず、言葉の語源を確認しておくと、「ギプス」はドイツ語の「Gips(石膏)」が由来と言われています。
スペルを見ても分かる通り、「Gips」は完全に「ギプス」です。もしも「ギブス」ならば、「Gibs」と「b」が入るはずですが、このような単語は存在しません。
この「Gips」が日本に入ってくる時に、なぜか「ギブス」という間違った読み方が普及してしまったのです。
間違った読み方が広まった理由については諸説ありますが、おそらくは発音の問題だと思われます。
「ギプス」と言うよりも「ギブス」と言った方が、多少ですが相手にとっては聞き取りやすいです。そのため、「ギブス」という読み方が広まったのでしょう。
参考までに、グーグルでの検索結果も調べてみました。
「ギプス」⇒1,670,000 件(約167万件)
「ギブス」⇒1,350,000 件(約133万件)
比較すると分かる通り、「ギプス」の方が検索数が多いです。ただ、思ったよりも「ギブス」の検索数も多いです。
これはおそらく、歌手の「椎名林檎」さんの代表曲でもある「ギブス」も含まれているからだと思われます。したがって、実際の検索数を調べれば、もっと明確な差があるでしょう。
ちなみに、ギプスは英語で「gypsum」「cast」などと言います。こちらも「b」は入っていないので、「ギプス」の発音に近いことが分かると思います。
使い方・例文
最後に、「ギプス」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 腕を骨折してしまったため、ギプスで固定してもらった。
- ギプスを足に巻いて、安静にするよう努めておきます。
- 手術する必要はなく、ギプスをつけるだけで十分です。
- 重度の骨折により、彼はギプスベッドで入院することになった。
- ギプスは「石膏・焼き石膏」などを意味するドイツ語である。
- 一般的なギプスの装着期間は、2か月~3か月程と言われている。
- ギプスを外した後は、しっかりとリハビリをしなければいけない。
- 明日でようやくギプス装着のわずらわしさから解放されます。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「ギプス」=包帯を石膏で固めたもの。
「使い方」⇒「ギプス」が正しいので、「ギブス」は正確には誤り。
多くの辞書では「ギブス」の方も書かれています。しかし、正しくは「ギプス」ですので間違えないようにしましょう。