『現代日本の開花』は、主に教科書に載せられている夏目漱石の文章です。ただ、実際に本文を読むと意味の分かりにくい言葉が多く出てきます。
そこで今回は、『現代日本の開花』に出てくる重要語句を一覧にして簡単にまとめました。全部となると量が多いため、高校現代文の教科書に採用されることの多い後半部分から取り上げています。
第一段落の語句・漢字一覧
要するにただいま申し上げた二つの入り乱れたる経路、~
【経路(けいろ)】⇒物事がたどってきた筋道。過程。
【労力(ろうりょく)】⇒何かをするために心身を働かせること。
【種種(しゅしゅ)】⇒さまざま。いろいろ。
【発明(はつめい)】⇒今までなかったものを新たに考え出すこと。特に、新しい機械、装置、方法などを考案すること。
【器械力(きかいりょく)】⇒器械が出す力。「器械」とは実験や測定、運動競技などに使う装置・道具を指す。
【費やす(ついやす)】⇒あることをなしとげるために時間や労力などを使う。
【娯楽(ごらく)】⇒仕事や勉学の余暇にする遊びや楽しみ。
【経となり緯となり(けいとなりいとなり)】⇒縦の糸と横の糸とが織られて一枚の布になるようにして。
【千変万化(せんぺんばんか)】⇒さまざまに変化すること。
【錯綜(さくそう)】⇒入り交じって混乱すること。
【現今(げんこん)】⇒いま。現在。
【開化(かいか)】⇒新しい知識や文化を取り入れて変化すること。
【妙(みょう)】⇒不思議なこと。奇妙なこと。
【パラドックス】⇒逆説。一見、真理にそむいているようにみえて、よく考えると真理であること。
【元来(がんらい)】⇒もともと。
【活力(かつりょく)】⇒活動を生み出す力。
【発現(はつげん)】⇒現し出すこと。
【吾人(ごじん)】⇒我々。
【懐手(ふところで)】⇒自分では何もしないこと。
【発展(はってん)】⇒物事が、より進んだ段階に移っていくこと。
【遂げる(とげる)】⇒最後にそのような結果となる。
【古来(こらい) 】⇒古くから。昔から今まで。
【歳月(さいげつ)】⇒としつき。年月。
【いやしくも】⇒仮にも。
【上代(じょうだい)】⇒古代。はるか昔。
【打ち明ける(ぶちあける)】⇒隠しごとをせず、すっかり話す。
【はなはだ】⇒たいへん。非常に。
【否(いな)】⇒いや。
【猛烈(もうれつ)】⇒勢いが強くはげしいさま。
【奮闘(ふんとう)】⇒力いっぱい努力すること。
【相違ない(そういない)】⇒違いない。
【柔らげられた(やわらげられた)】⇒おだやかにされた。
【比例(ひれい)】⇒各部分の相互間または全体と部分との割合が釣り合っていること。バランス。
【微弱(びじゃく)】⇒非常にかすかで弱いこと。
【超越(ちょうえつ)】⇒普通に考えられる程度をはるかにこえていること。
【腐心(ふしん)】⇒心をなやますこと。ひどく心を使うこと。
【人力車(じんりきしゃ)】⇒後ろの座席に人を乗せ、人の力で引く二輪車。
【渡世(とせい)】⇒生活していくための職業。なりわい。
【家業(かぎょう)】⇒職業。生業。
【命に別条はない(いのちにべつじょうはない)】⇒命に関わることではない。
【御者(ぎょしゃ)】⇒乗り物の専用座席から操作する運転手のこと。
【糞力(くそぢから)】⇒並み外れて強い力。ばかぢから。
【波瀾(はらん)】⇒激しい変化や曲折のあること。また、そうした事態。
【敷島(しきしま)】⇒紙巻きタバコの名。口付きで、明治37~昭和18年(1904~1943)の間、売り出された。
【通俗(つうぞく)】⇒世間一般の人々にわかりやすく親しみやすいこと。一般向きであること。
【贅沢(ぜいたく)】⇒必要な程度をこえて、物事に金銭や物などを使うこと。金銭や物などを惜しまないこと。
【道学者(どうがくしゃ)】⇒道学を説く人。「道学」とは儒学のことで、中国春秋時代の儒家思想を基本にした学問を指す。
【倫理的(りんりてき)】⇒倫理にかなうさま。「倫理」とは、人として守り行うべき道や善悪の判断規準となるものを指す。
【始終(しじゅう)】⇒絶えず。いつも。
【奢侈(しゃし)】⇒度を過ぎてぜいたくなこと。
【大勢(たいせい)】⇒世のなりゆき。
【訓戒(くんかい)】⇒物事の善悪を教えさとし、いましめること。
【趨勢(すうせい)】⇒ある方向へと動く勢い。社会などの全体の流れ。
【時日(じじつ)】⇒日数。月日 (つきひ)。
【智慧(ちえ)】⇒物事の道理を判断し処理していく心の働き。
【内生(ないせい)】⇒心の中に、ある感情や考えなどが生じること。
【存外(ぞんがい)】⇒思いのほか。案外。
【切(せつ)】⇒身にしみて強く感じるさま。
【忝けなさ(かたじけなさ)】⇒ありがたさ。「かたじけない」とは「ありがたいさま・感謝の念でいっぱいであるさま」を表す。
【附加(ふか)】⇒あるものに、さらに付け加えること。
第二段落の語句・漢字一覧
これから日本の開化に移るのですが、はたして一般的の開化が~
【主眼(しゅがん)】⇒主要な目的。また、主要な点。
【法則(ほうそく)】⇒守らなければならない決まり。規則。おきて。
【奥行(おくゆき)】⇒奥深さ。深み。
【辛抱(しんぼう)】⇒我慢すること。
第三段落の語句・漢字一覧
それで現代の日本の開化は前に述べた一般の開化とどこが違うかと云うのが問題です。~
【断ずる(だんずる)】⇒きっぱりと決める。決定する。
【内発的(ないはつてき)】⇒外からの影響によらずに、内部から自然に起こるさま。
【外発的(がいはつてき)】⇒外からの刺激に反応して起こるさま。
【おのずから】⇒自然に。ひとりでに。
【蕾(つぼみ)】⇒花の、まだ咲き開かないもの。
【花弁(かべん)】⇒花びら。
【やむをえず】⇒仕方なく。どうしようもなく。
【行雲流水(こううんりゅうすい)】⇒自然のままによどみなく移りすぎることのたとえ。「空を行く雲と流れる水」の意から。
【勝手(かって)】⇒物事のようす・事情。
【超然(ちょうぜん)】⇒物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま。
【三韓(さんかん)】⇒古代朝鮮の南半部にあった韓族の馬韓・辰韓・弁韓、もしくは新羅・百済・高句麗 のこと。
【支那(しな)】⇒中国のこと。
【一瞥(いちべつ)】⇒ちらっと見ること。ちょっと見ること。
【鎖港排外(さこうはいがい)】⇒鎖国のこと。
【有史(ゆうし)】⇒歴史で、文字による記録のあること。
【曲折(きょくせつ)】⇒物事がさまざまに入り組んで変化をすること。
【自己本位(じこほんい)】⇒行動の中心に自己を置くこと。自己の固有性や主体性を捨てず、独自の価値判断に従い、行動や思考を行う立場。
【向後(こうご)】⇒これからのち。今後。
【無論(むろん)】⇒言うまでもなく。もちろん。
【定義(ていぎ)】⇒物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明確に限定すること。
【避ける(さける)】⇒離れるようにする。近づかないようにする。
【機関(きかん)】⇒しかけのある機械。仕組み。からくり。
【道楽(どうらく)】⇒趣味として楽しむこと。また、その楽しみ。
【具備(ぐび)】⇒必要な物や事柄を十分に備えていること。
【粗末(そまつ)】⇒作り方などが、大ざっぱなこと。品質などが上等でないこと。
【折も折(おりもおり)】⇒ちょうどその時。
【俄然(がぜん)として】⇒突然に。にわかに。
【余儀(よぎ)なくされる】⇒やむをえず、そうせざるを得ないさま
【地道(じみち)】⇒手堅く着実に物事をすること。
【縫う(ぬう)】⇒糸を通した針を布地などの裏表に交互に刺して進める。
【尺(しゃく)】⇒長さの単位。一尺は約30cm。
【一般(いっぱん)】⇒ここでは「同じ・同一・同様」などの意味。
第四段落の語句・漢字一覧
そういう外発的の開化が心理的にどんな影響を吾人に与うるかと云うとちょっと変なものになります。~
【講筵(こうえん)】⇒講義の行われる場所。講義の席。
【御互(おたがい)】⇒お互い。
【明暸(めいりょう)】⇒はっきりしていてよく分かること。
【のべつ 】⇒絶え間なく続くさま。ひっきりなしに。
【頓着(とんじゃく)】⇒執着すること。深く気にかけてこだわること。
【勾配(こうばい)】⇒水平面に対する傾き。傾斜のこと。
【弧線(こせん)】⇒弓なりの線。
【非難(ひなん)】⇒人の欠点や過失などを取り上げて責めること。
【識域(しきいき)】⇒意識が生じて消えていく境のこと。意識と無意識の境界。心理学の用語。
【所作(しょさ)】⇒行い。振る舞い。
【難儀(なんぎ)】⇒苦労すること。
【専領(せんりょう)】⇒自分一人で領有すること。
【行住坐臥(ぎょうじゅうざが)】⇒日常。つね日頃。普段。
【一箇(いっこ)】⇒一個。
【検する(けんする)】⇒調べる。
【炳乎(へいこ)】⇒きわめて明らかなさま。
【順次(じゅんじ)】⇒順序に従って物事をするさま。順々。
【消長(しょうちょう)】⇒勢いが衰えたり盛んになったりすること。
【断定(だんてい)】⇒事実はこうであるときっぱりと判断して決めること。
【顧みる(かえりみる)】⇒過ぎ去った事を思い起こす。
【総体(そうたい)】⇒物事の全体。
【占領(せんりょう)】⇒支配下に置くこと。
【推論(すいろん)】⇒ある事実をもとにして、未知の事柄をおしはかり論じること。
【千差万別(せんさばんべつ)】⇒種々さまざまの違いがあること。
【催す(もよおす)】⇒そういう気持ちにさせる。かきたてる。
【茶菓子(ちゃがし)】⇒茶を飲むときに食べる菓子。
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