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教科書 文系と理系の壁はあるか 要約 あらすじ 解説 ノート テスト

 

『文系と理系の壁はあるか』は、高校国語・現代文の教科書に出てくる評論文です。そのため、学校の定期テストの問題などにおいても出題されています。

ただ、実際に本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。そこで今回は、『文系と理系の壁はあるか』の漢字や語彙、要約、感想文などをなるべく簡単に解説しました。

『文系と理系の壁はあるか』のあらすじ&要約

 

あらすじ

筆者は著者インタビューを受けると「文系出身なのに、どうしてこんなに科学の取材ができるのですか」ということをよく聞かれる。この問いには、お世辞と批判が込められている場合があり、アカデミズムは専門外の人間が口を出すなという不文律に縛られている。

英米の科学ノンフィクションは、科学者やその分野の専門家のライターが執筆していることが多い。日本では、科学ジャーナリストは新聞社やテレビ局など組織に所属する科学記者が大半で、文系の記者も多く、一般読者にわかりやすく伝えることが使命なのである。

1997年のクローン羊ドリー誕生、翌年報じられた非配偶者間体外受精と生殖医療の展開、ES細胞、EG細胞など、新たな生命を選別する技術の登場に違和感を覚えた筆者は、科学のことは科学者に任せておけばよいのではなく、成果を享受する私たちが最終的な選択を行う責任があると考える。理系文系、専門家などといった色分けで、視野を狭めるような枷をはめる必要はないのである。

要約

筆者はノンフィクションライターだが、著者インタビューを受けると、「文系出身なのに、どうしてこんなに科学の取材ができるのですか」とよく聞かれることがある。筆者は、クローン羊ドリー誕生、非配偶者間体外受精と生殖医療の展開、ES細胞、EG細胞など、新たな生命を選別する技術の登場に違和感を覚えた。筆者は科学のことは科学者に任せておけばよいのではなく、成果を享受する私たちが最終的な選択を行う責任があると考えている。そのため、理系文系という色分けはナンセンスである。

『文系と理系の壁はあるか』の語句&漢字ノート

 

【新著(しんちょ)】⇒新しく出版した著書。

【編集者(へんしゅうしゃ)】⇒雑誌や書籍などの企画立案、原稿整理、進行管理、編集作業など本を作る時のディレクターの役割をする職業の人。

【メディア】⇒媒体。特に、新聞・雑誌・テレビなどの媒体。

【科学(かがく)】⇒体系的な知識のこと。広い意味では「知識や学問」を指し、狭い意味では「自然科学」を指す。「自然科学」とは自然について研究する学問のこと。

【物理学(ぶつりがく)】⇒物体の運動や電気、熱など自然界の現象を研究する学問。自然科学の一分野。

【脳神経科学(のうしんけいかがく)】⇒知覚・運動・記憶・学習・感情など、脳や神経の働きを研究する学問。

【宇宙科学(うちゅうかがく)】⇒宇宙での観測を主体とした科学。

【ニュアンス】⇒言外に表された話し手の意図。

【お世辞(おせじ)】⇒他人に対する愛想のよい言葉。

【遺伝子組み換え技術(いでんしくみかえぎじゅつ)】⇒生物の遺伝子を、改良しようとする別の生物の遺伝子配列に組み込み、新たな性質を加える技術のこと。このことにより、消費者のニーズに沿った害虫やウイルスに抵抗性のある作物などが作られている。

【育種(いくしゅ)】⇒生物のもつ遺伝的形質を利用して改良し、有益な品種を育成すること。

【著者(ちょしゃ)】⇒書物を書き著した人。

【書評(しょひょう)】⇒書物について、その内容を紹介・批評した文章。

【アカデミズム】⇒学問研究において、伝統的・保守的な立場を固持しようとする立場。

【歴然(れきぜん)】⇒はっきりとしているさま。あきらかであるさま。

【不文律(ふぶんりつ)】⇒文書はなくても守られている規律。暗黙の約束・ルール。

【英米(えいべい)】⇒イギリスとアメリカ。

【ノンフィクション】⇒虚構を用いず、事実に即して作られた作品。

【ライター】⇒文章を書くことを職業とする人。執筆家。

【共著(きょうちょ)】⇒二人以上の人が共同して一冊の書物を書き著すこと。

【単著(たんちょ)】⇒一人によって一冊の書物を書き著すこと。

【意義(いぎ)】⇒物事の存在・実行などにおける価値や重要性。

【ジャーナリズム】⇒新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどにより、時事的な問題の報道・解説・批評などを伝達する活動の総称。

【成熟(せいじゅく)】⇒成長しきっていること。

【修める(おさめる)】⇒学問・技芸などを、学んで身につける。

【優秀(ゆうしゅう)】⇒非常にすぐれていること。

【筆一本(ふでいっぽん)】⇒文章を書くことだけで生計を立てること。

【文部科学省(もんぶかがくしょう)】⇒日本の行政機関の一つ。主に教育や学術を担当する。

【専攻(せんこう)】⇒ある一つのことを専門に研究すること。

【エキスパート】⇒専門家。熟練者。

【使命(しめい)】⇒責任をもって果たさなければならない務め。

【科学技術(かがくぎじゅつ)】⇒科学の研究成果を生かして、人間の生活を役立たせる技術。テクノロジー。

【主体的(しゅたいてき)】⇒自らの意志や判断に基づいて行動するさま。

【クローン】⇒一つの細胞または個体から、受精の過程を経ず、細胞分裂を繰り返すことによって生ずる細胞群および個体。

【非配偶者間体外受精(ひはいぐうしゃかんたいがいじゅせい)】⇒不妊治療などのため、配偶者(夫もしくは妻)でない第三者(ドナー)の卵子や精子を体外で受精させて、レシピエント(受容者)の卵巣に戻し、妊娠を成立させること。「配偶者」とは「夫婦の一方からみた場合の他方」を指す。

【生殖医療(せいしょくいりょう)】⇒人工授精や体外受精などの生殖技術を使い、妊娠・出産しようとする不妊治療のこと。「生殖」とは「生物が自らと同じ種に属する個体をつくること」を表す。

【臓器(ぞうき)】⇒胃、心臓、大腸などの体内にある器官。

【ES細胞(イーエスさいぼう)】⇒動物の血液、神経、肝臓、膵臓といった全身の細胞を作り出すことができる細胞のこと。

【中絶(ちゅうぜつ)】⇒人工妊娠中絶のこと。

【胎児(たいじ)】⇒哺乳類の母胎内にあって、まだ生まれていない子。

【EG細胞(イージーさいぼう)】⇒生殖細胞の元となる始原生殖細胞から分離した細胞。

【違和感を覚える(いわかんをおぼえる)】⇒しっくりしない感じがする。

【成果(せいか)】⇒あることをして得られたよい結果。

【享受(きょうじゅ)】⇒受け入れて自分のものとすること。多く精神的、物質的な利益を受けて、それを味わい楽しむことを指す。

【色分け(いろわけ)】⇒物事をある基準によって種類分けすること。

【ナンセンス 】⇒無意味であること。意味をなさないこと。

【狭める(せばめる)】⇒せまくする。

【枷(かせ)】⇒心理的、物理的に行動の妨げになるもの。

【容易(ようい)】⇒たやすいこと。苦心を必要としないこと。

【営み(いとなみ)】⇒行為。

【排除(はいじょ)】⇒おしのけてそこからなくすこと。締め出すこと。

『文系と理系の壁はあるか』のテスト対策問題

 

問題1

「サイショウさんは文系出身なのに、どうしてこんなに科学の取材ができるのですか」(p8・6)という問いを、筆者はどのようなものとして受け止めているか?

解答例

理系出身ではないのに科学者を取材できてすごいですねというなかばお世辞の驚きと、理系出身ではないのに無理して科学の取材なんかするなという批判の二つのニュアンスが含まれたものと受け止めている。

補足

筆者は「この問いには二つのニュアンスがある」と述べている。一つは「理系出身じゃないのに科学の取材がこれだけできてすごい」というお世辞を含む驚き、もう一つは「理系出身じゃないのに無理して科学の取材なんかするんじゃない」という批判である。この二つの内容を読み取ることがポイントとなる。

問題2

「科学のことは科学者にまかせておけばいいのではない」(p10・14)とはどういうことか?

解答例

科学の成果を享受するのは一般の私たちなので、私たち自身が技術を理解して、その社会的な影響を考え、最終的な選択を行う責任があるということ。

補足

筆者は、科学技術と人間の関わりを主体的に考えるきっかけになった出来事を語っている。それは、科学技術が身体の内部に入り込み、時計の針を巻き戻すように新たな生命を作り出したり、新たな生命を選別したりする技術の登場である。そして、ドリーをつくったイアン・ウイルマット博士の「われわれ科学者だけでなく、あなたがたもこの技術をどうすればいいのか、どうかみなさんで考えて下さい」という言葉が、その後の私の仕事を決定づけたと言っている。

『文系と理系の壁はあるか』の感想文

 

学校の授業などで、「感想文を書きなさい」という課題が出されることがあります。本作の場合、タイトルにもあるように「文系と理系の壁はあるか?」というのが一つのテーマです。

そして筆者の主張は、「文系と理系には壁がない」というものです。よって、感想文に関してもその事について書くのが自然な流れとなります。

解答例

高校では、それぞれの進学先により、文系・理系と便宜的に分けられるのが一般的である。しかし、理系とされる医学は人の体や心と向き合う学問なので、医師には人間理解が必要とされる。人間理解をするには、文学、哲学、教育学などの文系とされる教養も必要である。また、大学進学では心理学は文系、精神医学は理系の受験科目だが、ともに人の精神に向き合う学問である。自然科学や生物学、物理学なども、地球環境全体の生命の問題として考えなければいけないので、理系文系双方の視点が必要である。学問は様々な視点からアプローチできるし、そもそも私たちが生きている地球・社会全体が理系文系に分かれていない。したがって、文系と理系の壁というのは本来なく、単なる教科の括りでしかないように思われる。

書き方としては、「文系と理系の壁は本来ない」という結論で締めくくるのが望ましいです。この結論に持っていくために、医学や文学などの学問的な例を出して説明するのがよいでしょう。

まとめ

 

以上、本記事では『文系と理系の壁はあるか』のあらすじや語句、感想文などの解説をしました。ぜひノート代わりにして何度も復習して頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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