物事がずっと続くことを「永久」もしくは「永遠」と言います。使い方としては「永久歯」「永遠の愛」などが一般的です。
ただ、両者をどのように使い分ければいいのかという問題があります。そこで今回は、「永久」と「永遠」の違いについて詳しく解説しました。
永久の意味
まずは、「永久」の意味からです。
【永久(えいきゅう)】
⇒いつまでも限りなく続くこと。また、そのさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「永久」とは「いつまでも限りなく続くこと」を意味します。例えば、以下のように使います。
- 永久歯が生える。
- 永久磁石を作る。
「永久」は、物質的なものに使うのが特徴です。「物質的」とは簡単に言うと「姿や形があるさま」のことです。
上の例だと、「永久歯」は乳歯と交代した後に生えかわらずに一生使われる歯のことです。また、「永久磁石」は外部から電流などを供給しなくても一生使える磁石のことです。
このように、目に見えるような物質的・具体的なものに使うのが「永久」ということになります。
永遠の意味
続いて、「永遠」の意味です。
【永遠(えいえん)】
①いつまでも果てしなく続くこと。時間を超えて存在すること。また、そのさま。
②哲学で、それ自身時間の内にありながら、無限に持続すると考えられるもの。また、数学的真理のように、時間の内に知られても時間とかかわりなく妥当すると考えられるもの。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「永遠」とは「いつまでも果てしなく続くこと」という意味です。こちらも例文を紹介しておきます。
- 永遠の愛を誓う。
- 永遠に残る名曲。
「永遠」は「時間を超えて存在する」という点がポイントです。
「永遠の愛」とは言いかえれば「お互いが生まれ変わっても愛すること」です。また、「永遠の名曲」も「その人が亡くなっても語り継がれるもの」です。
このように、時間を超えていつまでも続くようなことを「永遠」と言うわけです。
また、もう一つ大事な点として「永遠」は「精神的・観念的なものに使う」という特徴が挙げられます。「観念」とは簡単に言うと「自分の頭の中だけで考えていること」という意味です。
愛も名曲もどちらも観念的なものです。「概念」のように明確な定義があるわけではありません。「永遠」とはこのように精神的・観念的なものに対して使うことになります。
永久と永遠の違い
ここまでの内容を整理すると、
「永久」=いつまでも限りなく続くこと。「永遠」=いつまでも果てしなく続くこと。
ということでした。
両者の違いを二つの点から比較したいと思います。
一つ目は、「物質的かどうか」です。
「永久」は、目に見えるような物質的・具体的なものに使います。一方で、「永遠」は目に見えないような精神的・観念的なものに使います。
例えば、「永久歯」とは言いますが、「永遠歯」とは言いません。逆に「永遠の愛」とは言いますが、「永久の愛」とは言いません。
「永遠」の方は「観念」なので、時空を超えたロマンや願いなど人の感情の意味が込められるのです。
そして二つ目は、「時間や世代を超えるかどうか」です。
「永久」の方は、必ずしも時間や世代を超えるとは限りません。例えば、「永久歯」であればその人が亡くなってしまえば終わりです。また、「磁石」であれば物理的に壊れてしまえば磁力は続きません。
一方で、「永遠」の方は時間や世代を超越します。「永遠の愛」であれば、その人が亡くなっても来世になっても愛し続けます。また、「永遠の曲」であれば、何世代に渡っても語り継がれることになります。
以上、まとめると、
「永久」=目に見える物質的・具体的なものに使う。(時間や世代を超越しない)
「永遠」=目に見えない精神的・観念的なものに使う。(時間や世代を超越する)
となります。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【永久の使い方】
- 彼はついに半永久的に使える電池を開発した。
- 永久凍土は、北半球の大陸の約20%に広がっている。
- その人物は不祥事を起こしたため、永久追放された。
- ムダ毛が多くてうっとおしいので、永久脱毛をした。
- 永久機関は外部からのエネルギーなしで仕事を行い続ける。
【永遠の使い方】
- 最愛の夫と永遠に変わらぬ愛を誓い合った。
- 幼い頃からの友達と、永遠の友情を誓い合う。
- 彼らは永遠の平和を願い、原爆ドームを訪れた。
- 永遠の命なんてものは、漫画の世界の話である。
- 憲法や法律などは、永遠に変わらないものではない。
補足すると、「永久」の方は、後ろに名詞をつけることが多いです。例えば、「永久歯・永久機関・永久凍土・永久脱毛」のような使い方です。
一方で、「永遠」の方は「永遠の」「永遠に」などのように後ろに助詞を付けて用いることが多いです。このような文法的な違いもできれば押さえておくとよいでしょう。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「永久」=(時間や世代を超えない範囲で)いつまでも続くこと。
「永遠」=(時間や世代を超えて)いつまでも続くこと。
「使い分け」⇒「永久」は、目に見える物質的・具体的なものに使い、「永遠」は、目に見えない精神的・観念的なものに使う。
ポイントは①「物質的かどうか」②「時間を超越するかどうか」の二点を押さえることでした。ぜひ正しい意味を理解した上で、使い分けて頂ければと思います。