僕らの時代のメディア・リテラシー 要約 意味調べノート 解説 あらすじ

『僕らの時代のメディア・リテラシー』は、教科書・論理国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。

ただ、実際に文章を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、本文のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『僕らの時代のメディア・リテラシー』のあらすじ

 

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①メディアは、わかりやすさを目指して「切り上げ」と「切り下げ」、つまり四捨五入を行う。切り上げと切り下げは、メディアの宿命でもある。だから、それが一定のルールに従っているのならそれほど悪質とは言えないが、強引なものは間違った世界観を作ってしまう。

②無理な切り上げや切り下げによって、テレビの視聴率や新聞の部数が上がる場合がある。第二次世界大戦の前、新聞の部数競争の結果、新聞が軍部のプロパガンダになってしまったことがある。市場原理が、メディアを一つの方向に導くことはとても多い。

③市場原理の主体は、視聴者や購読者である。メディアは視聴者の無意識な欲望や、すっきりしたいという衝動、わかりやすい答えを教えてくれという願望に、忠実に応えようとした。その結果、四捨五入したり、その四捨五入が歪んだり、実際の物事を誇張したり、時には隠したりもした。

④情報をわかりやすく簡略化する競争に巻き込まれたメディアは、ステレオタイプで成り立つ世界観を世界中に撒き散らしている。そんな世界観は間違っているだけでなく、「彼らは自分たちとは違う」という意識を、必要以上に強く人々に与えてしまう。しかし、仮に危険な存在であっても、人類はメディアをもう手ばせない。だから、リテラシーを身につけることが重要だ。私たちがリテラシーを身につければ、メディアも変わる。変わったメディアによって、私たちはもっと変わる。そうすれば、世界は今よりいい方向に進むはずだ。

『僕らの時代のメディア・リテラシー』の要約&本文解説

 

100字要約メディアは、四捨五入という単純化をして間違った世界観を広める。市場原理にも左右されるため、ステレオタイプを拡散する。だが、メディアを手放せない以上、主体である私たちがリテラシーを身につけるべきである。(100文字)

この文章で筆者が伝えたいのは、「メディアは情報を単純化する性質を持ち、それが誤った世界観を広める危険があるが、私たちがメディア・リテラシーを身につければ状況を変えられる」ということです。

まずメディアは、複雑な事実を多くの人に分かりやすく伝えるために「切り上げ」や「切り下げ」、つまり四捨五入のような単純化を行います。これは避けられない面もありますが、度を超えると現実をゆがめてしまいます。

たとえば、戦前の日本では、新聞が部数競争に負けないために軍部寄りの記事を増やし、結果的に国全体を戦争に向かわせる一因となりました。

このように、市場原理が働くと、メディアは「視聴者や読者が求めるもの」を優先してしまいます。人々は難しい説明よりも分かりやすい答えを欲しがるため、メディアは事実を単純化しすぎたり、時には誇張や省略をしてしまうのです。

その結果、ステレオタイプ(固定観念)が強まり、「自分たち」と「彼ら」を分ける意識が無意識のうちに植え付けられてしまいます。

しかし、筆者は単に「メディアが危険だから排除しよう」とは言いません。むしろ、私たち一人ひとりが「この情報は本当に正しいのか」「単純化されすぎていないか」と考える力=「メディア・リテラシー」を身につけることが大事だと訴えています。

そうすればメディア自体も変わり、社会全体もより良い方向に進んでいくと考えているのです。つまり、この文章は「情報を受け取る側の姿勢」が未来を良くも悪くも変えるというメッセージを私たちに伝えているのです。

『僕らの時代のメディア・リテラシー』の意味調べノート

 

【メディア】⇒情報を伝達する手段や媒体。

【雨乞い(あまごい)】⇒雨を降らせることを願って行う儀式。

【宿命(しゅくめい)】⇒あらかじめ定められた運命。

【民意(みんい)】⇒国民の意見。

【侵攻(しんこう)】⇒他国に攻め入ること。

【肯定(こうてい)】⇒正しいと認めること。

【プロパガンダ】⇒特定の思想や政策を広めるための宣伝活動。

【鼓舞(こぶ)】⇒気持ちを奮い立たせ励ますこと。

【掲載(けいさい)】⇒新聞・雑誌・ウェブなどに記事や情報を載せること。

【資本主義(しほんしゅぎ)】⇒私的所有と利益追求を基礎とする経済体制。

【うなだれる】⇒(力をなくして)首を前に垂れる。

【誇張(こちょう)】⇒実際より大げさに言うこと。

【衝動(しょうどう)】⇒抑えがたい心の動きや欲求。

【杞憂(きゆう)】⇒取り越し苦労。心配しすぎること。

【錯覚(さっかく)】⇒実際とは異なる感覚。

【ステレオタイプ】⇒固定観念。考え方が型にはまっていること。

【普及(ふきゅう)】⇒広く行き渡ること。一般に広まること。

【くくり】⇒区切り。まとまり。

【脅威(きょうい)】⇒危険をもたらす存在や事態。

【リテラシー】⇒ある分野で情報を理解して活用する能力。

『僕らの時代のメディア・リテラシー』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ギシキが村で行われた。

シチョウ率が急に上がった。

コウギの声が届いた。

④景気が長くテイメイする。

ケイタイで写真を送った。

解答①儀式 ② 視聴 ③抗議 ④低迷 ⑤携帯
問題2『こうして間違った世界観が作られる。』とあるが、「こうして」とはどのようなことか?
解答強引な切り上げや切り下げをして、番組が作られること。
問題3「新聞は、政府や軍部のプロパガンダのためにメディアになってしまった。」とあるが、それはなぜか?10文字以内で答えなさい。
解答部数競争をしたから。
問題4「そんな世界観は間違っているだけじゃなくて、~」とあるが「そんな世界観」とは、どのような世界観か?
解答ステレオタイプで成り立っている世界観。
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。

(ア)メディアは情報を単純化するが、それはすべて視聴者にとって有益であり、誇張や隠蔽などの問題は生じない。

(イ)市場原理が働くとメディアは一方向に流されやすく、誇張や隠蔽を伴う歪んだ世界観を広める危険がある。

(ウ)人類はメディアを手放すべきであり、その代わりにリテラシーを捨てて直感的な判断に頼ることが望ましい。

(エ)視聴者の欲望が市場原理を動かすことはなく、メディアが独自に世界観をつくり出しているにすぎない。

解答(イ)

まとめ

 

今回は、『僕らの時代のメディア・リテラシー』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。