『AI時代の社会と法』は、小塚荘一郎による評論文です。教科書・論理国語にも採用されています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくい箇所も多いです。そこで今回は、『AI時代の社会と法』のあらすじやテスト問題、200字要約などを解説しました。
『AI時代の社会と法』のあらすじ
①トロッコ問題を、哲学上の問題として考えた時、五人が犠牲になることを回避し、一人を犠牲にするという選択は、一般的には異論は出ない。だが、AIを開発するエンジニアにとっては、これは単なる哲学上の問いかけでは終わらない問題である。結果的に、一人の人が亡くなることを許容するようなプログラムを書いてよいか、決めなければならないからだ。
②法は、具体的な状況に適用して結論を導く筋道としてのルールを定めている。それは、技術がどのように発展しても、どのような想定外の事態が出現しても、社会の中で納得されるような解決を導くために、法が持っている本来的な性質なのだ。
③技術の進歩が社会の変化につながると、法律上の問題も、種類が内容が変わってくる。法が社会の変革に追いつくためには、テクノロジーの進化がどのような社会の変化をもたらしているかを理解し、社会の変化が現在の法的な枠組みでは受け止められない問題を発生させているのではないか、を考える必要がある。
④AIを中心としたテクノロジーの進化は、経済活動に対して三つの点で変化をもたらしつつある。一つ目は、経済活動の重点がモノからサービスへと移行する「モノの取引からサービスの取引へ」の変化である。二つ目は、経済取引の対象として、財物からデータへと比重が移行する「財物からデータへ」の変化である。そして三つ目は、取引のルールが法に基づく契約よりも技術的な仕組みによって決まる部分が大きくなる「法から技術へ」の変化である。
⑤これら三つの変化は、必然的に、経済活動の担い手である企業のあり方を変えていく。すると、その先には、国家と企業の関係の変革も続く。こうした時代には、企業と国家のパワー・バランスも、また新たな展開を見せると予想される。
『AI時代の社会と法』の要約&本文解説
本文は、その内容から五つの段落に分けることができます。
まず第一段落では、「トロッコ問題」が例として挙げられています。
AI開発のエンジニアにとっては、「トロッコ問題」は単なる哲学上の問いかけでは終わらない問題であることが述べられています。
次の第二段落では、法が持っている本来的な性質について説明されています。
法というのは、具体的な状況の中で、結論を導く筋道としてのルールを定めるものであることが述べられています。
第三段落では、法が社会の変革に追いつくために考えるべきことが説明されています。
技術の進歩によって社会が変化すると、法律上の問題も種類や内容が変わってくるため、法が変革を迫られている問題点を明らかにする必要があると述べられています。
第四段落では、テクノロジーの進化が経済活動に対してもたらした三つの変化が説明されています。
最後の第五段落では、テクノロジーの革新がもたらす国家と企業の関係の変革について説明されています。
筆者は、テクノロジーの革新によって経済活動が変革すれば、企業と国家の関係にも変革が起こり、両者のパワーバランスも変化するであろうと予想しているのです。
『AI時代の社会と法』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①問題をテイキする。
②キョヨウできないミス。
③研究にジュウジする。
④危険をカイヒする。
⑤ケッカン商品が届く。
⑥ベンエキを与える。
まとめ
今回は、『AI時代の社会と法』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。