「しゅうせい」を漢字で書く場合、二つの表記があります。
「誤りを修正する」「写真を修整する」
どちらも「何かを直す」という意味で使われていますが、この2つはどう使い分ければいいのでしょうか?今回は「修正」と「修整」の違いについて詳しく解説しました。
修正の意味
まずは、「修正」の意味です。
【修正(しゅうせい)】
⇒まちがっていたり、不十分であるところを直して正しくすること。
出典:三省堂 大辞林
「修正」とは「間違えている所や不十分な所を直して正しくすること」を意味します。
例えば、以下のように使います。
- 漢字の誤りを修正する。
- 法律の条文を修正する。
1は「誤字・脱字などの漢字の間違いを直す」という意味です。そして、2は「条文の間違った箇所を直す」という意味です。
このように、誤っている部分を改めて正すことを「修正」と言うわけです。
修整の意味
続いて、「修整」の意味です。
【修整(しゅうせい)】
①ととのえなおすこと。
②写真・印刷で、ネガや印画の傷を修正したり、画像を装飾したりすること。レタッチ。
出典:三省堂 大辞林
「修整」とは「ととのえなすこと・画像を装飾したりすること」などを表します。例えば、以下のように使います。
- 写真を修整する。
- 映像を修整する。
写真や映像は、色・明るさ・コントラストなど整える要素がたくさんあります。特に、芸能人の顔写真などはきれいに見せる必要があります。また、場合によっては写したくないものが写っていることもあるでしょう。
このような時に、「見た目が悪い部分を整え直すこと」という意味で「修整」を用いるわけです。
修正と修整の違い
ここまでの内容を整理すると、
「修正」=間違えている所や不十分な所を直して、正しくすること。
「修整」=見た目が悪い部分を整え直すこと。
ということでした。
両者の違いを簡潔に言うと、正すのが「修正」、整えるのが「修正」だと言えるでしょう。
「修正」の「正」は、「矯正」「補正」などの熟語があるように「正しくない所を直す」という意味があります。ここから、「間違っている部分を正しくする」という意味になるわけです。
一方で、「修整」の「整」は「調整」「整理」などがあるように「整っていない所を直す」という意味があります。よってこちらは、「見た目が悪い部分をきれいにする」という意味になるわけです。
このように比較すると、両者を使う際は大前提として「修正」は「誤り」がある状態、「修整」は「乱れ」がある状態だと分かるでしょう。
補足すると、両者の語源まで覚えておけば違いを忘れにくいです。
「修正」は、中国の古典にも書かれている古くからある漢字でした。一方で、「修整」の方は明治時代になってから作られた比較的新しい言葉です。
明治時代に写真技術が発達する中で「retouching(リタッチング)」と呼ばれる単語が欧米から入ってきました。「リタッチング」とは「画像の傷を消したり、修飾したりすること」です。
この「リタッチング」の日本語訳として「修整」という言葉が作られたのです。そのため、「修整」は元々は写真の専門用語から生まれた言葉ということになります。
したがって、分かりやすく記憶するために「修整」=「写真」に使うと覚えても構いません。なぜなら、「修整」は写真などの「画像」に対して使うことがほとんどだからです。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。
【修正の使い方】
- 文字の修正を行って、作文を完成させる。
- 軌道修正しながら、問題を解決していく。
- 数字の誤りをしっかりと修正してください。
- 修正液で、間違った個所を訂正していく。
- 修正資本主義によって、経済を立て直していく。
【修整の使い方】
- アイドルの顔写真に修整を加える。
- 一般人の写りこみを、モザイクで修整する。
- 画像修整アプリで犬の顔をかわいく見せる。
- 原版を修整して、作業を進めていく予定です。
- 最新の修整技術は驚くほどきれいで正確である。
「修正資本主義」とは「資本主義を修正していこうとする考え」のことです。経済の専門用語ですが、意外とよく使われる言葉です。
「資本主義」の意味は、以下の記事を参照してください。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「修正」=間違えている所や不十分な所を直して、正しくすること。
「修整」=見た目が悪い部分を整え直すこと。
「違い」⇒「誤りを正す」のが「修正」、「乱れを整える」のが「修整」。
一般的には、「修正」を使うことの方が多いです。そのため、「修整は写真に使い、それ以外はすべて修正に使う」と覚えても構いません。ぜひ正しい使い分けができるようになればと思います。