「自立語」と「付属語」は、どちらも国語の文法を学ぶ上で出てくる言葉です。ただ、実際には意味が分かりにくいと感じる人も多いと思われます。
そこで今回は、「自立語」と「付属語」の違いや見分け方について分かりやすく解説しました。
自立語と付属語の意味
まずは、基本的な意味からです。
「自立語(じりつご)」とは「それだけで意味が分かる単語」のことを指します。
一方で、「付属語(ふぞくご)」とは「それだけでは意味が分からない単語」のことを指します。
これだけでは理解しにくいため、具体例を出しましょう。
キリンは首の長い動物だ。
まず、上の文の構成を理解するには、「文節」に分けることが必要です。
「文節(ぶんせつ)」とは「文を壊さない程度に区切ったひとまとめのこと」を意味します。
この場合の「文節」は、
キリンは/首の/長い/動物だ。
の4文節となります。
そして、「キリン」「首」「長い」「動物」の4つの単語はこれだけで意味が分かるため、この4つは「自立語」となります。
一方で、「は」「の」「だ」の3つの単語はこれだけでは意味が伝わらないため、この3つは「付属語」となるわけです。
何となく「自立語」と「付属語」のイメージがついたでしょうか?
ポイントは、まず先に「文節」に分けることです。
「文節」に分ける簡単な方法は、「ネ・サ・ヨ」のどれかを後ろに入れても意味が伝わるかどうか確認してみることです。
例えば、「僕は本を買った。」という文があったとしましょう。
この場合、「僕はサ 本をネ 買ったヨ」とすればリズムよく意味が伝わります。
ところが、もしも「僕サ はネ 本サ をネ 買ヨ~」としてしまうと意味がよく伝わりません。
特に、「はネ」と「をネ」は意味が不明です。そのため、この場合の「文節」は「僕は/本を/買った」となるのです。
自立語と付属語の見分け方
ここまでの内容を整理すると、
「自立語」=それだけで意味が分かる単語。
「付属語」=それだけでは意味が分からない単語。
ということでした。
ここからは、具体的な見分け方を3つに分けて解説していきます。
先ほどの例文をまた出すと、
キリンは/首の/長い/動物だ。
赤字の部分が「自立語」、青字の部分が「付属語」ということでした。
まず1つ目は、「自立語」は「それだけで一文節になれる」という点が重要です。
上の例だと、「長い」という文節の箇所です。
「長い」は、これ自体が「自立語」なので単独で一文節になっています。
一方で、「付属語」はそれだけでは一文節になれません。
「付属語」は、基本的に意味が分からない単語です。したがって、付属語だけで文節を作ることはできないのです。
2つ目は、「自立語」は「一文節に必ず1個ある」ということです。
「自立語」が「一つの文節に0」ということは絶対にありません。また、2個以上あることもありません。
自立語は一文節に必ず1個存在するのです。
対して、「付属語」は一文節中の数は特に決まっていません。0個の場合もあれば、1個や2個の場合もあります。
3つ目は、「自立語は必ず文節の先頭に来る」ということです。
逆の言い方をすれば、付属語は自立語の後ろに必ずつくとも言えます。
【例】⇒「キリンは(自立語+付属語)」
見て分かるように、「自立語」⇒「付属語」という順番になっています。付属語が前に来て自立語が後に来る文節などはないのです。
まとめると、以下のようになります。
【自立語】
- 単独で文節を作れる。
- 一文節に必ず1個ある。しかし、2個以上はない。
- 必ず文節の頭に来る。
【付属語】
- 単独では文節を作れない。
- 一文節中の数は特に決まっていない。
- 必ず自立語の後ろにつく。
練習問題
では、今までの内容を理解できたか確認しておきましょう。以下に、練習問題を用意しました。
次の選択肢の中から、適切な方を選びなさい。
①それだけで文節を作れる単語を、【(ア)自立語 (イ)付属語 】と言う。
②「自立語」は文節の最初にあり、一文節に必ず【(ア)1つ(イ)2つ(ウ)3つ 】ある。
③「付属語」は「自立語」の後につき、一文節中の数は【(ア)1つ(イ)2つ(ウ)3つ(エ)決まっていない 】
正解は、①⇒(ア)②⇒(ア)③⇒(エ)となります。
「自立語」は一分節に必ず1個ですが、「付属語」は0個の時もあればいくつもつく場合もあります。
次の文節に区切った文から、「自立語」と「付属語」を抜き出しなさい。
①友達から/おもしろい/話を/聞いた。
②休日は/バーゲンで/混むので/行かない。
③美しい/花が/咲いた。
※「自立語」⇒赤字 「付属語」⇒青字
①友達から/おもしろい/話を/聞いた。
②休日は/バーゲンで/混むので/行かない。
③美しい/花が/咲いた。
自立語は文節の最初にあるので、探しやすいと思います。
①の「聞い」②の「行か」などは、「聞く」「行く」などが変化したものと考えればよいです。
「聞く」を過去形にすると「聞いた」となり、「行く」を否定形にすると「行かない」となります。
そうすれば、「自立語が変化したもの」ということが分かります。
以下の文を文節に区切って、「自立語」と「付属語」を抜き出しなさい。
①彼の将来の夢は野球選手です。
②ノーベル平和賞は人類の平和のためにつくした人に贈られる賞だ。
①彼の/将来の/夢は/野球選手です。
②ノーベル平和賞は/人類の/平和のために/つくした/人に/贈られる/賞です。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「自立語」=それだけで意味が分かり、単独で文節を作れる。一文節中に必ず1個あり、文節の頭にくる。
「付属語」=それだけでは意味が分からず、単独では文節を作れない。必ず自立語の後ろにつき、自立語と一緒に文節を作る。
「自立語」と「付属語」は、すべての文法の基礎にあたる重要な部分です。これを機に両者の正しい意味や特徴を理解して頂ければと思います。