虎頭蛇尾 竜頭蛇尾 使い方 例文 類義語

「虎頭蛇尾」という四字熟語をご存知でしょうか?元は中国の故事が由来となったもので、古くから使われています。

ただ、似たような四字熟語で「竜頭蛇尾」があるため、違いが分かりにくいです。そこで今回は、「虎頭蛇尾」の意味や語源、類義語などを含め詳しく解説しました。

虎頭蛇尾の意味・読み方

 

まず読み方ですが、「虎頭蛇尾」は「ことうだび」と読みます。

意味は、「最初は勢いがいいものの、最後はその勢いがなくなってしまうこと」を表したものです。

例えば、あなたが学生だとして、今日一日はテストのために猛勉強すると決めたとします。ところが、いざ始めたはいいものの、最後の方は疲れと飽きで全く集中することができませんでした。

このような場面では、「彼はまるで虎頭蛇尾のようであった」などのように言うことができます。

つまり、「虎頭蛇尾」とは「始めは良かった勢いが、終わりになるとふるわなくなるさま」を表した四字熟語ということになります。

虎頭蛇尾の語源・由来

 

「虎頭蛇尾」は、「虎頭」と「蛇尾」の二語から成る四字熟語です。

まず、「虎頭」とは文字通り「虎の頭」を指します。ネコ科の動物である虎の頭のことです。そして、「蛇尾」とは「蛇の尾」を指します。こちらも文字通り、蛇(へび)のしっぽのことです。

「虎の頭」は、大きくて立派であり、なおかつ見ただけで威圧感があります。一方で、「蛇の尾」というのは細くて見ただけで貧弱な印象を与えます。

この事から、「最初は勢いがいいが、最後はふるわないこと」のたとえを表す四字熟語になったと言われています。

このように、「虎」や「蛇」のような動物の漢字を使った四字熟語は、古くから中国の故事としてよく登場しています。「虎頭蛇尾」も、その中の一つだと考えて問題ありません。

虎頭蛇尾の類義語

虎頭蛇尾 類義語 言い換え 対義語

「虎頭蛇尾」の「類義語」は以下の通りです。

竜頭蛇尾(りゅうとうだび)】⇒始めは勢いがよく、終わりは衰えてしまうこと。物事が尻すぼみに終わってしまうこと。
大山鳴動(たいざんめいどう)】⇒騒ぎだけ大きくて、結果は意外に小さいことのたとえ。大騒ぎしたわりには結果の小さいこと、また期待外れの結果に終わること。
羊頭狗肉(ようとうくにく)】⇒見せかけは立派だが、中身や実質が伴わないこと。羊の頭を看板に掲げながら、実際は犬の肉を売るという故事から。「狗」は「犬」を指す。
尻切れとんぼ(しりきれとんぼ)】⇒物事が中途で切れて、完結しないことのたとえ。「尻切れ」とは「後ろのほうが切れていること。中途半端なこと。」を表す。
頭でっかち尻すぼり(あたまでっかちしりすぼり)】⇒はじめが大きく、終わりは小さいこと。はじめは勢いがよく、終わりがだらしないこと。

この中でも、「竜頭蛇尾」はよく使われます。「竜頭蛇尾」とは「最初は勢いがよく盛んであるが、終わりになると衰えてしまうこと」という意味で、「虎頭蛇尾」とほぼ同じ意味の四字熟語です。

したがって、「虎頭蛇尾」の同義語と定義しても構いません。

頭(物事の始め)は竜のように勢いがよく立派ではあるものの、尾(終わり)は貧弱な蛇のようになってしまう意からできた言葉です。

どちらも使うことが可能ですが、一般には「竜頭蛇尾」の方がよく使われます。

その他には、「頭でっかち尻すぼり」もほぼ同じ意味の慣用句なので同義語と言ってもよいでしょう。

虎頭蛇尾の対義語

 

逆に、「対義語」としては以下の言葉が挙げられます。

初志貫徹(しょしかんてつ)】⇒最初に心に決めた志を最後まで貫き通すこと。
首尾一貫(しゅびいっかん)】⇒考え方や方針が変わらず、筋が通っていること。
徹頭徹尾(てっとうてつび)】⇒最初から最後まで。頭から尾まで突き通すという意から。
有終完美(ゆうしゅうかんび)】⇒物事を最後まで立派にやり遂げること。何事も終わりが大事であること。
有終之美(ゆうしゅうのび)】⇒物事を最後までやり通し、立派な結果や成果を残すこと。しめくくりを美しくするという意から。 

対義語は、「物事を最後までやり通すこと」を表した言葉が多いです。「最後まであきらめない」「中途半端にしない」といった意味を持つ語が反対語となります。

虎頭蛇尾の英語訳

 

「虎頭蛇尾」は、英語だと次のような言い方があります。

end in anticlimax」(期待外れに終わる)

end in a whimper」(尻すぼみに終わる)

「anticlimax」は「期待外れ・拍子抜け・肩透かし」などの意味を持つ名詞です。「期待外れに終わる」⇒「虎頭蛇尾」と訳すことができます。

また、「whimper」は主に「すすり泣く・泣き言をいう」などの意味がありますが、ここでは「尻すぼみ」という意味で使われています。こちらも「尻すぼみに終わる」⇒「虎頭蛇尾」と訳すことが可能です。

例文だと、それぞれ以下のような言い方です。

The discussion ended in anticlimax.(その話し合いは虎頭蛇尾に終わった。)

His attempt ended in a whimper.(彼の試みは虎頭蛇尾に終わった。)

虎頭蛇尾の使い方・例文

 

最後に、「虎頭蛇尾」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 威勢よく話し始めたものの、終わりの方は覇気がなくなるなんてまさに虎頭蛇尾だね。
  2. 新しく設立された会社だったが、結局は一年持つことはなかった。虎頭蛇尾とはこのことである。
  3. 思い切って始めた作業だったが、最後の方は疲れで全く手に付かなかった。虎頭蛇尾と言われても仕方ない。
  4. 当時の都市計画は壮大な計画で始まったものの、バブル崩壊で虎頭蛇尾に終わってしまったようだ。
  5. 彼女はいつも強がって何かを始めるけども、また虎頭蛇尾に終わるのではないかと心配している。
  6. 最初は多くの参加者がいたボランティア活動も、だんだんと人数が減り、虎頭蛇尾に終わってしまった。

 

「虎頭蛇尾」は、初めは勢いがよいものの、終わりは衰えてしまう様子を表した四字熟語です。物事が中途半端に終わったり、尻すぼみに終わってしまうたとえによく用いられます。

そのため、基本は否定的な意味として使われるのが特徴です。人だけでなく会社や活動、計画、作業など様々な対象に使うことができます。

なお、用例としては、「虎頭蛇尾に終わる」といった言い回しが多いです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

虎頭蛇尾」=最初は勢いがいいものの、最後はその勢いがなくなってしまうこと。

語源・由来」=「虎の頭」は立派で威圧感がある一方で、「蛇の尾」は細くて貧弱なことから。

類義語」=「竜頭蛇尾・大山鳴動・羊頭狗肉・尻切れとんぼ・頭でっかち尻すぼり」

対義語」=「初志貫徹・首尾一貫・徹頭徹尾・有終完美・有終之美」

英語訳」=「end in anticlimax」「end in a whimper」

「虎頭蛇尾」はよく使われる「竜頭蛇尾」と同じ意味を持つ四字熟語です。実際には「竜頭蛇尾」の方がよく使われますが、この機会にぜひ正しい意味を理解しておきましょう。