『檸檬』は、梶井基次郎の短編小説として非常に有名な作品です。高校現代文の教科書にもたびたび取り上げられます。
そのため、学校の定期テストの問題としてもよく出題されるようです。ただ、作中に出てくる語句は分かりにくいものも多いです。
そこで本記事では、『檸檬』に出てくる言葉の意味を一覧にして簡単にまとめました。
第一段落の語句一覧
えたいの知れない不吉な塊が~
【えたいの知れない】⇒正体の分からない。
【不吉(ふきつ)】⇒縁起が悪いこと。不運の兆しがあること。
【始終(しじゅう)】⇒始めから終わりまでの全部。
【焦燥(しょうそう)】⇒いら立ち、あせること。
【嫌悪(けんお)】⇒ひどく嫌うこと。強い不快感を持つこと。
【宿酔(ふつかよい)】⇒酒の酔いが翌日まで残り、気分が悪い状態。
【相当(そうとう)】⇒その物事とほぼ等しいこと。
【肺尖カタル(はいせんカタル)】⇒肺尖部の結核性病変。肺結核の初期症状。
【神経衰弱(しんけいすいじゃく)】⇒身体的・精神的な過労により、疲労感や焦燥感などの不調を訴える状態。
【背を焼くような(せをやくような)】⇒耐えられないほどの苦しさを表す比喩。
【一節(いっせつ)】⇒文章や詩、音楽などのひとくぎり。
【辛抱(しんぼう)】⇒つらいことを我慢すること。
【蓄音機(ちくおんき)】⇒円盤レコードの溝に針を接触させ、録音した音を再生する装置。1877年にエジソンが発明。
【不意(ふい)に】⇒思いがけないさま。突然であるさま。
【居(い)たたまれない】⇒その場にじっとしていられない。それ以上我慢できない。
【浮浪(ふろう)】⇒住居を離れ、あちこちさまよい歩くこと。
【みすぼらしい】⇒外見が貧弱である。
【よそよそしい】⇒親しみがない。
【表通り(おもてどおり)】⇒市街の主要な道路。
【裏通り(うらどおり)】⇒町並みの裏の方の通り。
【蝕む(むしばむ)】⇒少しずつ傷つけて損なう。
【趣(おもむき)】⇒そのものが感じさせる風情。しみじみとした味わい。
【土塀(どべい)】⇒土で築いた塀(へい)。
【家並(やなみ)】⇒立ち並んでいる家。
【時(とき)とすると】⇒ひょっとすると。
【向日葵(ひまわり)】⇒キク科の一年草。
【カンナ】⇒カンナ科の多年草。
【錯覚(さっかく)】⇒思い違い。勘違い。
【安静(あんせい)】⇒安らかで落ち着いていること。
【清浄(せいじょう)】⇒清潔なこと。きれいなこと。
【蚊帳(かや)】⇒夏の夜に蚊や害虫を防ぐため、四隅をつって寝床を覆う道具。
【糊(のり)】⇒米・麦などのでんぷん質の物を煮て、粘りけを出させたもの。
【浴衣(ゆかた)】⇒木綿の単 (ひとえ)の着物。
【願わくは(ねがわくは) 】⇒どうか。望むことは。
【縞模様(しまもよう)】⇒長い筋の線が列のように並んだ模様。
【鼠花火(ねずみはなび)】⇒花火の一種。火を付けるとネズミのように地面を走り回り、破裂する小さな花火。
【心をそそる】⇒刺激を与えて、ある感情や行動を起こさせる。
【ビードロ】⇒ガラスのこと。
【おはじき】⇒ガラス玉や小石などを指先ではじいて当てる遊び。また、それに用いる玉。
【色硝子(いろガラス)】⇒色のついたガラス。着色ガラス。
【南京玉(ナンキンだま)】⇒陶製やガラス製の小さい玉。
【享楽(きょうらく)】⇒思いのままに楽しみを味わうこと。
【詩美(しび)】⇒詩のような美しさ。
【察しはつく】⇒人の様子や表面上の言動から本当の意図をくみ取ることができる。
【贅沢(ぜいたく)】⇒必要な程度をこえて、金銭や物などを使うこと。
【こびる】⇒他人に気に入られるような態度をとる。機嫌をとる。
【丸善(まるぜん)】⇒洋書や輸入雑貨などを扱う専門店。
【典雅(てんが)】⇒正しく整っていて上品なこと。
【琥珀色(こはくいろ)】⇒半透明の黄色、または黄褐色。
【翡翠色(ひすいいろ)】⇒少しだけ青っぽい鮮やかな緑色。
【勘定台(かんじょうだい)】⇒商店などで、客から支払われた代金の計算をする所。
【亡霊(ぼうれい)】⇒ 死者の魂。幽霊。
第二段落の語句一覧
ある朝-その頃私は甲の友達から乙の友達へと~
【下宿(げしゅく)】⇒ある期間、あらかじめ契約を結んで部屋を借り、食費・部屋代などを払って居住すること。
【空虚(くうきょ)】⇒むなしいさま。
【ぽつねんと】⇒ひとりだけで何もせず、寂しそうにしているさま。
【乾物屋(かんぶつや)】⇒乾物類を販売する店。
【固有(こゆう)】⇒そのものだけにあるさま。特有。
【露骨(ろこつ)】⇒ありのまま外に表し出すさま。
【勾配(こうばい)】⇒傾きの度合い。傾斜。
【漆塗(うるしぬり)】⇒漆を器物に塗ること。
【華やか(はなやか)】⇒明るく人目を引きつけるさま。
【アレグロ】⇒音楽で速度標語の一。「軽快に速く」の意。
【ゴルゴン】⇒ギリシャ神話中の怪物の三姉妹、ステノ・エウリュアレー・メドゥサの総称。
【鬼面(きめん)】⇒鬼の顔にかたどった仮面。
【堆高い(うずたかい)】⇒積み重なって高く盛り上がっている。
【慈姑(くわい)】⇒オモダカ科の多年草。
【寺町通(てらまちどおり)】⇒京都市の南北の通りの一つ。
【飾窓(かざりまど)】⇒商品などを飾る窓。陳列窓。
【おびただしい】⇒数や量が非常に多い。
【廂(ひさし)】⇒ 建物の窓や縁側などの上部に張り出す片流れの小屋根。軒 (のき)。
【形容(けいよう)】⇒他のものにたとえて表現すること。
【電灯(でんとう)】⇒電気エネルギーを利用した灯火。電気。
【驟雨(しゅうう)】⇒急にどっと降りだして、しばらくするとやむ雨。にわか雨。
【絢爛(けんらん)】⇒華やかで美しいさま。きらびやかなさま。
【螺旋棒(らせんぼう)】⇒巻き貝の殻のようにぐるぐると巻いている棒。
【往来(おうらい)】⇒行ったり来たりすること。
【興がる(きょうがる)】⇒興味深く思う。面白がる。
【檸檬(れもん)】⇒ミカン科の常緑低木の実。
【紡錘形(ぼうすいけい)】⇒紡錘に似た形。円柱状で真ん中が太く、両端がしだいに細くなる形。
【憂鬱(ゆううつ)】⇒気持ちがふさいで、晴れないこと。
【一顆(いっか)】⇒一個。「顆」は粒の単位を表す。
【不審(ふしん)】⇒疑わしいこと。
【逆説的(ぎゃくせつてき)】⇒真理にそむくようでいながら、実際には真理をついているさま。
【不可思議(ふかしぎ)】⇒異様なこと。考えが及ばないこと。
【掌(てのひら)】⇒手の裏。手を握ったときに内側になる面。
【ついぞ~ない】⇒いまだかつて~ない。一度も~ない。
【ほとぼり】⇒さめきらずに残っている熱。余熱。
【昂奮(こうふん)】⇒感情が高ぶること。
【装束(しょうぞく)】⇒衣服を身に着けること。装うこと。
【闊歩(かっぽ)】⇒大またで堂々と歩くこと。
【~あぐむ】⇒その事をし続けてもよい結果が出ないので、嫌になる。
【諧謔(かいぎゃく)】⇒冗談。ユーモア。面白い気のきいた言葉。
第三段落の語句一覧
どこをどう歩いたのだろう、私が最後に立ったのは丸善の前だった。~
【平常(へいじょう)】⇒ふだん。常日頃。
【やすやすと】⇒容易に。簡単に。
【ずかずか】⇒遠慮なく乱暴に入るさま。
【画集(がしゅう)】⇒絵画を集めた本。
【克明(こくめい)】⇒ 細かいところまで念を入れて手落ちのないさま。丹念。
【はぐる】⇒はいでめくる。めくり返す。
【幾度(いくど)も】⇒何度も。
【橙色(だいだいいろ)】⇒赤みがかった黄色。オレンジ色。
【目をさらす】⇒目を通す。目で確認する。
【尋常(じんじょう)】⇒普通であるさま。
【そぐわない】⇒似つかわしくない。ふさわしくない。
【袂(たもと)】⇒和服の袖付けから下の、袋のように垂れた部分。
【手当たり次第(てあたりしだい)】⇒手に触れたものはなんでも構わずに触るさま。
【奇怪(きかい)】⇒怪しく不思議なこと。
【幻想的(げんそうてき)】⇒現実から離れて、幻の世界を夢見ているようなさま。
【恐る恐る(おそるおそる)】⇒こわごわ。おずおずと。
【据付ける(すえつける)】⇒物をある場所に据えて固定する。
【諧調(かいちょう)】⇒全体の調和。
【何食わぬ顔(なにくわぬかお)】⇒何事もなかったような平然とした顔つき。
【黄金色(こがねいろ)】⇒黄金のような輝く黄色。
【悪漢(あっかん)】⇒悪事を働く男。わるもの。
【木っ端微塵(こっぱみじん)】⇒粉々に砕け散ること。
【奇体(きたい)】⇒風変わりなさま。
【京極(きょうごく)】⇒平安京の四周の大路。それぞれ東京極・西京極・南京極(九条大路)・北京極。
まとめ
以上、今回は『檸檬』に出てくる言葉の意味を一覧にしてまとめました。ぜひノート代わりにして頂ければと思います。なお、本文のあらすじやテスト対策などについては以下の記事で解説しています。