家族水入らず 意味 例文 類語 由来 英語訳 使い方

お盆やお正月の季節などになると、家族が一同に集まることがあります。そんな時によく使われる慣用句が、「家族水入らず」です。

この「家族水入らず」ですが、具体的にどのような語源を持っているのでしょうか?なぜ「水」を使うのが気になる人も多いと思われます。

そこで本記事では、「家族水入らず」の意味や使い方、例文、類義語などを含め詳しく解説しました。

家族水入らずの意味・読み方

 

まず最初に、「水入らず」という語を辞書で引いてみます。

【水入らず(みずいらず)】

内輪の者だけで集まっていること。「親子水入らずの夕食」「夫婦水入らず」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

水入らず」とは「内輪の者だけで集まっていること」を意味します。「内輪(うちわ)」とは「外部の者を交えないこと」を表し「身内」とほぼ同じ意味です。

つまり、「家族水入らず」とは「家族以外の外部の人間を交えずに集まる様子」を表す慣用句ということです。

例えば、お正月に家族だけで集まりご飯を食べるのは、「家族水入らずで食事をすること」だと言えます。また、お盆の季節に家族だけで旅行に出かけるのも、「家族水入らずで旅行に行くこと」だと言えます。

ここでの「家族」の定義は曖昧ですが、一般に「父・母・子ども2人」の4人家族であればこの4人のことを家族と呼びます。ただ、4人以外に祖父母や孫などが一緒に居る場合は家族の一員に含める場合があります。

なお、「水入らず」という慣用句は「家族」だけに使うものではありません。

他には「夫婦水入らず」「親子水入らず」などの言い方も存在します。この場合も同じく「夫婦以外の人間が入らない」「親子以外の人間が入らない」という意味になります。

家族水入らずの語源・由来

 

「家族水入らず」の「」は、ここでは「邪魔な存在」という意味で使われています。

「水は純粋にきれいなものなのになぜ邪魔なものを表すか?」ということですが、これについては諸説あります。

一つは、「身内を油、部外者を水に例えたことから」という説です。

「水」と「油」はどんなに頑張ってもお互いが混ざり合わない物質であることで知られています。

例えば、水の上に油を一滴たらしただけでもすぐにはじかれてしまいます。また、水と油を一つの容器に同じ量だけ入れたとしても上が油、下が水と見事に分離してしまいます。

この事から、身内の人間同士(油)に対し、外部の人間(水)はどんなに頑張っても混ざらない邪魔者であるという意味になった説です。

そしてもう一つは、「お酒の席での作法」に由来するという説です。

日本では昔からお酒の席で他人に盃(さかずき)を渡す際に、「杯洗(はいせん)」と呼ばれる作法がありました。

「杯洗」とは頂いた盃を水を使ってしっかりと洗うことです。杯洗を行うのは、一度自分が口に付けたものをそのまま相手に渡すのは失礼だと考えられていたからです。

ところが、お互いが親しい関係同士の場合は「親愛の証」として、「他人が口をつけた盃でそのままお酒を飲む」という習慣もありました。

この事から、「盃を渡す際に水がいらないほど親しい間柄」という意味で「水入らず」が使われるようになったという説です。

以上、二つの由来を紹介しましたが一般的にはこの二つの説のどちらかだとは言われています。

その他には、家族を血縁関係の「血」に例えて、血は水よりも濃いので「血縁関係の中に他人は混じれないから」といった説もあります。ただ、信憑性は確かなものではありません。

家族水入らずの類義語

家族水入らず 類義語 言い換え

続いて、「家族水入らず」の「類義語・言い換え」を紹介します。

家族団欒(かぞくだんらん)】⇒家族が集まり、仲良く楽しい時間を過ごすこと。
一家団欒(いっかだんらん)】⇒家族が一つに集まり、楽しい時間を過ごすこと。
団欒のひととき】⇒家族で過ごしている事の幸福感が感じられる様子。
和気あいあい】⇒みんなで集まり和やかな雰囲気で過ごす様子。
一心同体(いっしんどうたい)】⇒2人または複数人が心を一つにして、固く結びつくこと。 

「類義語」は「家族全員もしくは仲間全員で集まり、楽しく過ごす」という意味のものが多いです。

ただ、全く同じ意味の言葉(同義語)というのはありません。なぜなら、「家族水入らず」には「楽しい」という意味までは含まれていないからです。

文脈としては、家族で楽しく食事や旅行をするケースで使われることがほとんどですが、「家族水入らず」には「仲良く」や「幸せ」などのポジティブな意味は含まれていないです。

実際に「楽しく過ごす」という意味で使う際には、「家族水入らずで楽しく過ごす」「家族水入らずで親密に過ごす」のように前後に補足を入れて用います。

この言葉自体はあくまで「身内の人間のみで集まる様子」を表した表現だと考えて下さい。

家族水入らずの英語訳

 

「家族水入らず」は、英語だと次のように言います。

by themselves」(自分たちで)

only with family members」(家族の一員のみで)

英語では「家族水入らず」という意味を簡潔に表す単語はありません。そのため、「自分たちで」「家族のみで」といった表現で相手へ伝えます。

例文だと、以下のような言い方です。

I’m going on a trip by ourselves.(私たちだけで旅行に行くつもりです。)

They decided to live the house by themselves.(彼らは夫婦水入らずでその家に住むことを決めた。)

I’m going to have a meal only with family members next week.(来週は家族水入らずで食事をとるつもりです。)

家族水入らずの使い方・例文

 

最後に、「家族水入らず」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 週末は別荘に行って、家族水入らずの時間を過ごす予定です。
  2. 久しぶりの休日ということもあり、家族水入らずで食事を楽しみました。
  3. 家族水入らずで温泉に行くなんて久しぶりの事なのでワクワクしています。
  4. せっかくのお盆休みなんだから家族水入らずで過ごしてきたらどうだい?
  5. 明日からお正月休みなので、家族水入らずでゆっくりと休んできます。
  6. 家族水入らずの所申し訳ないが、明日の時間だけ確認させてもらいたい。

 

「家族水入らず」は、例文のように家族同士で休暇を楽しむような時に使います。内容としては、皆で食事をとったり温泉に行ったりとのんびり過ごすような時間を対象とすることが多いです。

いずれの場合も内輪だけで過ごすことを表し、家族以外の部外者は交えないというのが特徴だと言えます。

また、普段から一緒に過ごしている家族というよりは、どちらかと言うと仕事などで忙しくなかなか皆で会う時間が取れない家族に対して使います。特に共働きなどで忙しい家庭は、お盆やお正月といった長期休暇は家族だけで過ごせる貴重な時間です。

そのため、「久しぶりに家族だけで集まる」という意味で「家族水入らず」を使うことが多いのです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

家族水入らず」=家族以外の外部の人間を交えずに集まる様子

語源・由来」=①「身内を油、部外者を水に例えたこと」②「お酒の席での作法」

類義語」=「家族団欒・一家団欒・団欒のひととき・和気あいあい・一心同体」

英語訳」=「by themselves」「only with family members」

「水入らず」とは「内輪の者だけで集まっていること」です。この「水入らず」には「家族」だけでなく「夫婦」や「親子」などが頭に付くこともあります。ぜひこれらの言葉も含め正しい使い方を理解して頂ければと思います。