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仲が良く信頼できる人のことを「ともだち」と言います。ただ、この場合に漢字とひらがなのどちらで書くの正しいのか?という問題が生じます。

そこで本記事では、「友達」と「友だち」の違いや使い分けについて詳しく解説しました。

友達と友だちの意味

 

最初に、「ともだち」という語を辞書で引いてみます。

【友達(ともだち)】

互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人。友人。朋友 (ほうゆう)。友。「友達になる」「遊び友達」「飲み友達」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「ともだち」という言葉は、辞書だと「友達」と表記されています。その他の辞書を確認してみても、いずれも「友達」で統一されています。

「友だち」という表記がされているものは一つとしてありません。意味はどれも同じで、「互いに心を許しあっている人・仲がよくて親しい人」などです。

よって、辞書の表記に従うならば「友達」と表記するのが正しいということになります。

その他の参考例、例えば漢和辞典や百科事典などにおいても「友達」と表記されているのが一般的です。

ただ、実際には私たちが普段の文章を読む上で、「友だち」という表記を目にすることも少なくありません。そのため、なぜ現在では複数の表記が存在するのかといった理由や背景を説明していきたいと思います。 

友達と友だちの違い

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「ともだち」という語は、本来「友」に複数を表す接頭語「だぢ」が付いてできた語です。これは「私たち」「君たち」「お前たち」などの語に付く「たち」と同じ意味のものです。

しかし、現在では単数、複数関係なく用いられていて、「ともだちたち」という表現も聞きます。

この「ともだち(たち)」という言い方はかなり古くから使われている語であり、平安時代の伊勢物語にはその使用が確認されています。

「むかし、をとこ、あづまへ行きけるに、友だちどもに、みちよりいひおこせける」

出典:伊勢物語

つまり、「ともだち」という語は「とも」に「たち」(接尾語)が付いた語というよりは、「ともだち」で一つの語だと考えられてきた語ということです。これは「友達」を「友人」と同じ語として扱っているのと同じことです。

この「ともだち」ですが、戦前の国語辞典においてはすべて「友達」と表記されていました。状況が少しずつ変わり始めたのが、戦後になって国の漢字改革が行われてきてからです。

戦後の昭和23年に告示された当用漢字音訓表では、「」に「タチ」という読みが付けられませんでした。そのため、学校の教科書や公用文などに関しては「友だち」とひらがなで表記するようになったのです。

これは当時の文科省の政策として、難しい読みの漢字はなるべくひらがなで書くようにするという配慮があったためです。そのため、あえて「友達」ではなく「友だち」と平仮名を混ぜて表記するようにしたのです。

ところが、昭和48年の内閣告示「当用漢字音訓表」では「友達」という表記が入ることとなりました。さらに、昭和56年の内閣告示「常用漢字表」でもその付表に「友達」が加えられることとなりました。

再び漢字で表記するようになったのは、「達」の接頭語としての役割が薄れ、「友人」と同じような意味として使われることが多くなったきたという理由が挙げられます。

他には、戦後の「当用漢字」⇒「常用漢字」という流れで、今まで厳しく制限しすぎていた漢字の使用が少しずつ緩和されてきたという理由もあります。

このような背景もあり、現在では「友達」という表記が主にされつつも、一方では「友だち」という表記も見かけるということです。

どちらの表記が正しいか?

 

以上の解説を踏まえますと、「友達」と「友だち」の表記はどちらも間違いではないという結論になります。

「友達」は、戦後の漢字改革が行われるまで主に使われてきた表記です。そして、現在の常用漢字の付表において再び使用が認められた表記でもあります。

一方で、「友だち」に関しても平安時代という大変古くからその使用が確認されている表記です。そして、戦後の一時的な期間という限定ではありましたが、国が推奨していた表記です。

ゆえに、どちらを使っても誤りではないのです。

ただ、先述したように現在では「友達」という表記は国がその使用を公的に許可しています。したがって、どちらを使うか?と問われれば、「友達」の方を使うという選択になります。

もちろん、「友だち」の方を使っても決して誤りというわけではありません。「だち」を使っていたのは、言葉本来の役割である相手に伝えやすくするという目的です。

そのため、分かりやすくする分には何も問題はないのです。

なお、今回は「友達」と「友だち」の使い分けについて解説しましたが、その他の「達」と「たち」に関しては原則ひらがなで書くのがルールとなります。

例を挙げますと、「君たち」「私たち」「男たち」「学生たち」「お前たち」などはすべて漢字ではなくひらがなで書くということです。

理由は簡単で、常用漢字で認めている表記は「友達」のみだからです。

「常用漢字」では「達」の読み方に「タツ」という読みしか掲げておらず、唯一「付表」で例外的に認めているのが「友達」の「達」です。よって、その他の「たち」に関しては原則的に漢字は用いないということです。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

友達・友だち」=互いに心を許しあっている人・仲がよくて親しい人。

違い」⇒「友達」は戦前使われていた表記で、戦後の常用漢字で再び使用が認められたもの。「友だち」は戦後の当用漢字表で一時的に使用が推奨されていたもの。

使い分け」⇒現在は文科省が「友達」の使用を許可しているので、原則として「友達」を使う。ただ、「友たち」と書いても誤りではない。

「友達」は元々戦前において使われていた表記を、戦後になって復活させたものです。対して、「友だち」の方は漢字使用の制限を受けた結果、一時的に分かりやすくするために使われていた表記です。

現在においては、どちらを使っても間違いではありません。ただ、一般には「友達」の方が優先的に使われているという実情があります。もしも使い分けに迷った場合は、文部科学省が許可している「友達」を使うようにして下さい。