「数珠つなぎ」という慣用句をご存知でしょうか?日常会話でもよく聞かれる表現で、「数珠つなぎのように~」などと言います。
ただ、「数珠」とはそもそも一体何なのかといった疑問があります。そこで本記事では、「数珠つなぎ」の意味や語源、対義語などを含め詳しく解説しました。
数珠つなぎの意味・読み方
最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。
【数珠つなぎ(じゅずつなぎ)】
⇒糸でつないだ数珠玉のように、多くの人や物をひとつなぎにすること。また、そのようなようす。ずずつなぎ。「道路が渋滞して車が―になる」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「数珠つなぎ」は「じゅずつなぎ」と読みます。意味は、「多くの人や物をひとつなぎにすること・またその様子」を表したものです。
例えば、複数の球をつなぎ合わせて一つにすることなどは「数珠つなぎ」だと言えます。また、大勢の人が集まり、手をつなぎ合わせて一つの円を作ることなども「数珠つなぎ」だと言えます。
このように、複数の人や物を一つにつなぎ合わせたような状態にすることを「数珠つなぎ」と呼ぶわけです。
「数珠繋ぎ」は、必ずしも物理的に繋がっている必要があるというわけではありません。例を挙げますと、音楽や漫画などを順番に紹介していくことや友人などを絶え間なく紹介していくことなども「数珠つなぎ」に含まれます。
数珠つなぎの語源・由来
「数珠つなぎ」の「数珠」とは「穴を貫通させた複数の小さい玉に、糸を通して輪にしたもの」を指します。
「数珠」は、仏様や菩薩(ぼさつ)を礼拝する際に使う仏具で、通常、玉の数は108個あります。数が108個なのは、人間が持っている百八個の煩悩を取り除くためとされています。
数珠は、お葬式で使われたり詩経や念仏を唱えたりする際に使われてきました。現在でもお葬式などで数珠を使っている人を見かけることは多いかと思われます。
これは、仏様の世界へ旅立つ故人への敬意や哀悼、供養を示すためと言われています。また、数珠の輪の中に手を通すことで、浄土の世界へ繋がる事が信じられてきたという理由もあります。
このように、仏教の世界では数珠を使うことにより「まるで糸でつないだ数珠玉のように一つにつなぎ合わせること」ができるとされてきました。現在使われている「多くの人や物をひとつなぎにすること」という意味は、ここから派生したものだと言われています。
数珠つなぎの類義語
「数珠つなぎ」は、次のような「類義語」で言い換えることができます。
- ひとつなぎ
- 羅列
- 整列
- 陣列
- 一列
- 並ぶ
- 連なる
- つながる
- 列する
- 隣り合う
どれも似たような意味ですが、全く同じ意味の言葉(同義語)というのはありません。基本的には、一つに並んでいたり一列に連なったりした状態を表す語であれば類義語となります。
数珠つなぎの対義語
逆に、「対義語」としては以下のような言葉が挙げられます。
- 断続的
- 間欠的
- 切れ切れ
- 離れ離れ
- 絶え絶え
- とびとび
- 途切れ途切れ
「対義語」は、途切れたり離れ離れになったりすることを表した言葉となります。「数珠つなぎ」は一つにつながっていることなので、一つにつながらない様子を表した言葉が反対語となります。
数珠つなぎの英語訳
「数珠つなぎ」は、英語だと次のように言います。
「link together」(一緒につなぐ)
「rope together」(一緒に結ぶ)
「tie in a row」(数珠つなぎにする)
英語では「数珠つなぎ」を直接的に表すような単語はありません。そのため、「link(つなぐ)」「rope(結びつける)」「tie(縛り付ける)」などの単語で表すようにします。
最後の「in a row」は、「一列に」という意味の熟語です。「一列に縛り付ける」⇒「数珠つなぎにする」と訳すことができます。
その他、渋滞によって車が数珠つなぎになっているような場合は、「bumper to bumper」 などを使うこともあります。これは車のバンパーとバンパーが繋がっているという状態を例えた表現です。
数珠つなぎの使い方・例文
最後に、「数珠つなぎ」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 複数の囚人たちが、数珠つなぎになって護送されていく光景をみた。
- 好きな音楽の名前を数珠つなぎにして一人一人聞いていくつもりです。
- お笑い芸人のネタ担当が協力し合い、数珠つなぎでコントを作った。
- このアプリは便利で、お気に入りの音楽を数珠つなぎで流してくれる。
- 部屋にコンセントが少ないので、延長コード同士を数珠つなぎにした。
- 自分の知っている友人を数珠つなぎによって順に紹介していく企画です。
- USBにUSBハブを追加して数珠つなぎにしたら、動作が不安定になった。
「数珠つなぎ」は、目に見えるものに使う場合と目に見えないものに使う場合の二つに分かれます。
前者は、人やコンセント・USBハブなどのように具体的な姿・形があるものを対象とします。一方で、後者は音楽やコント、アプリなどのように抽象的で姿・形がないものを対象とします。
どちらの場合も、「つなぎ合わせにすること」には変わりません。状況や文脈などによってうまく使い分けるようにして下さい。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「数珠つなぎ」=多くの人や物をひとつなぎにすること・またその様子。
「語源・由来」=仏教で数珠玉のように一つにつなぎ合わせることから。「数珠」とは「小さい玉に糸を通し、輪にしたもの」を指す。
「類義語」=「ひとつなぎ・一列・並ぶ・連なる・列する」など。
「対義語」=「断続的・切れ切れ・離れ離れ・絶え絶え・途切れ途切れ」など。
「英語訳」=「link together」「rope together」「tie in a row」
「数珠つなぎ」は、元は宗教的な要素から生まれた言葉です。ただ、現在ではむしろ日常的な場面で使われることの方が多いです。語源を理解したからには、正しい使い方をして頂ければと思います。