情報の彫刻 要約 解説 意味調べノート 定期テスト

『情報の彫刻』は、教科書・論理国語で学習する文章です。高校の定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『情報の彫刻』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『情報の彫刻』のあらすじ

 

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①今日、情報テクノロジーは加速度的に進化し、情報の形も様々になった。もはや書籍はメディアとしての主役を降りたと考えるべきかもしれない。一方で、書籍の役割が消え去ったとも考えにくい。このあたりで一度、「書籍とは何か」ということを再確認する必要がある。

②紙がメディアの主役を降りた今日、実務的な任務から解放されたおかげで、再び本来の「物質」として魅力的にふるまうことが許されるようになった。情報は、大量にストックしたり高速で移動させたりするだけのものではない、むしろ、情報をいかにじっくりと味わえるかというポイントが重要になってくる。適度な重さや手触りを持った素材の方が、小さく格納された存在感が希薄の情報よりも、人に心地よい使用感と満足をもたらせる。電子メディアではなく、紙を選ぶということは、素材の性質や特徴を理解した上で、それを生かし、たしなみ、味わうということである。

③私は現在でも書籍というメディアが有効であると思うし、情報を慈しむという観点で書籍の魅力を意識している。紙メディアを用いる場合は、無意識にではなく、はっきりとした意思を持って向き合いたいと思っている。電子メディアが情報伝達の道具だとするなら、書籍は「情報の彫刻」である。だから、これからの書籍は、いかに紙の物性が生かされているかという評価にさらされることになるだろう。これは紙にとって幸福な課題である。当分の間、電子メディアと書籍は、互いに影響し合い、それぞれの道を深めて行くだろう。

『情報の彫刻』の要約&本文解説

 

200字要約情報技術が進化して書籍が主役でなくなった一方で、書籍の価値は消えていないため、その存在意義を見直す必要がある。実務的役割から離れた紙媒体は、重さや手触りといった物質的魅力により、情報をじっくり味わう体験を与える。「情報伝達の道具」である電子メディアに対し、書籍は紙の物性を生かした「情報の彫刻」として独自の価値を持つ。今後はお互いが影響し合い、それぞれの特性を深めながら共存していくと考えられる。(198文字)

この文章の筆者が伝えたいことは、「電子メディアが発達した時代でも、書籍には独自の価値があり続ける」という点です。

現代はスマホやパソコンが当たり前になり、情報は一瞬で送れて、無限に保存できます。こうした状況を見ると、「もう本はいらないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし筆者は、それでも書籍は消えないと考えています。

その理由の一つが、「紙という素材の魅力」です。電子データは軽くて便利ですが、触ることはできません。また、存在感も薄いです。それに対して本は、重さ・手触り・紙の質感など、物としての心地よさがあります。

例えば、スマホで読む文章よりも、紙のノートに書かれた手紙の方が心に残ることがあります。これと同じで、紙の本には“ゆっくり味わう”という体験が生まれます。筆者はそれを「情報を慈しむ」と表現しています。

さらに筆者は、電子メディアと書籍を対立するものとして見ていません。電子メディアは情報を効率よく伝える道具です。一方、書籍は「情報の彫刻」、つまり情報を“形として残す”芸術的な存在だと考えます。だからこそ、これからの本は、紙の質感やデザインなど「紙ならではの良さ」をどれだけ生かせるかが評価のポイントになると述べています。

最後に筆者は、「電子メディアと書籍はこれからも共存し、互いの価値を高め合う」と結論付けています。電子メディアは便利さを追求し、書籍は質感や深い読書体験を追求します。このように、お互いが影響し合うことで、それぞれのメディアがより良いものになっていく、というのが筆者の考えです。

『情報の彫刻』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①景品のチュウセンが行われる。

②新しいバイタイで情報を発信する。

③彼の言葉にはミワクがある。

④イベントはシュウリョウを迎えた。

⑤被災者へジヒの募金をした。

解答①抽選 ②媒体 ③魅惑 ④終了 ⑤慈悲
問題2「紙はマテリアルである前に『無意識の平面』であった」とあるが、これはどういうことか?
解答紙は素材としての性質や特徴を考慮されず、文字や画像を写し出す白い平面として認識されていたということ。
問題3「はっきりとした意志を持ってこれと向き合いたいと思う」とあるが、筆者がそう思うのはなぜか?
解答電子メディアと深い関係にある現在、私たちが紙メディアを選ぶ場合、紙本来の素材としての魅力を意識して紙メディアを利用できるようになったため。
問題4「これは紙にとっては幸福な課題である。」とあるが、なぜか?
解答書籍が、紙の性質や特徴をいかに生かしているかが評価されるようになると、本来の紙のよさが今まで以上に大切にされるようになるから。
問題5『書籍は「情報の彫刻」である。』とあるが、「情報の彫刻」とはどのようなことか?
解答書籍が紙の性質や特徴を生かし、彫刻のように物性としての魅力を味わえる存在になること。
問題6

次のうち、本文の内容を最も適切に表しているものを選びなさい。

(ア)電子メディアの発達により、紙の書籍は完全に役割を失い、今後は使われなくなるだろうと筆者は述べている。

(イ)紙の本は情報を高速で伝える点で電子メディアに勝っているため、今後も主流のメディアであり続けると筆者は主張している。

(ウ)紙の書籍は実用性こそ失ったものの、素材としての魅力が再び注目され、紙ならではの価値を意識して使うべきだと筆者は述べている。

(エ)電子メディアと紙の書籍は対立関係にあり、どちらか一方が残ればよいと筆者は考えている。

解答(ウ)

まとめ

 

今回は、『情報の彫刻』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。