『自己をモデル化する知能』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『自己をモデル化する知能』のあらすじや要約、意味調べなどを含め簡単に解説しました。
『自己をモデル化する知能』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①人間は、二つの方法で進化している。一つは遺伝子による進化、もう一つが技術による進化である。技術が人間の進化であるのは、人間の能力をヒントに技術が開発されてきたからである。技術は、短期間のうちに人間の能力を機械に置換し、その機能を飛躍的に拡張してきた。
②人間の能力を置換し、拡張する技術開発が止まったことはほとんどない。それには二つの理由がある。一つは、人間の能力を拡張する新しい技術は非常に魅力的であり、それを手に入れることが人間の生きる目的となっているからだ。もう一つは、技術開発そのものが人間理解のプロセスであるからだ。人間の能力を技術に置き換えることは、人間をモデル化することである。自らをモデル化できる知能を持ったために、人間は、「人間とは何か」を問い続けるようになったのかもしれない。
③技術の歴史とは、人間の機能を機械に置き換えてきた歴史である。人間はその歴史を通して、「人間とは何か」ということを考え、それをもとに人間全体が置き換えられるかどうかを試してきた。人間の機能の技術への置き換えは、人間をモデル化することによる人間理解であると同時に、消去法的な人間理解の方法でもある。技術による人間の機能の置き換えは、人間であることの条件から、生物としての人間固有のものを削ぎ落しながら、人間の定義を見定めようとする行為でもあるのだ。
『自己をモデル化する知能』の要約&本文解説
筆者の主張は、「技術は人間の能力を拡張するだけでなく、「人間とは何か。」を理解するための手段にもなっている」というものです。
冒頭ではまず、人間の進化には、遺伝子だけではなく技術の進化があることが話題として示されています。ここでは、人間は技術によって自身の能力を機械に置き換え、その機能を飛躍的に拡張してきたことが述べられています。
次の第二段落では、人間は脳内で自身をモデル化できる知能があったからこそ、自らの能力を参照して技術に置き換えることができたということが説明されています。そして、技術そのものが人間をモデル化し、「人間とは何か。」を理解するための直接的な手段であることが述べられています。
第三段落では、「技術による人間の機能の置き換えは、人間の定義を見定めようとする行為でもある」という筆者の主張が述べられています。
技術で置き換えられるものをどんどんと増やしていくと、消去法的に「技術では置き換えられない人間の本質的な部分」が残ると考えられます。
その本質的な部分、つまり「人間とは何か。」を見定めようとしているのが「技術」であるということが述べられています。
『自己をモデル化する知能』の意味調べノート
【技術(ぎじゅつ)】⇒科学の研究成果を生かして、人間の生活に役立たせる方法・手段。
【破壊(はかい)】⇒建造物などをこわすこと。
【すなわち】⇒言いかえれば。つまり。
【置換(ちかん)】⇒置きかえること。
【飛躍的(ひやくてき)】⇒進歩・向上などが急激なさま。
【宿命(しゅくめい)】⇒生まれる前から定まっている人間の運命。
【繁栄(はんえい) 】⇒豊かにさかえること。さかえて発展すること。
【魅力的(みりょくてき)】⇒人の心をひきつけるような力のあるさま。
【それゆえ】⇒だから。そのため。
【衰退(すいたい)】⇒勢いが衰え弱まること。
【プロセス】⇒過程。
【そもそも】⇒元々。最初に。
【客観視(きゃくかんし)】⇒物事を自分の感情や主観に影響されずに、冷静に見ること。
【再帰的(さいきてき)】⇒立ち戻って。
【普遍性(ふへんせい)】⇒広く一般に適用される性質や特徴。
【原理的(げんりてき)】⇒物事の基本的な原理や根本的な考え方に基づくさま。
【本質(ほんしつ)】⇒物事の根本的な性質や要素。そのものの本来の姿。
『自己をモデル化する知能』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①ケイタイ電話を使う。
②建物をハカイする。
③ヒヤク的に成長する。
④能力を置きカえる。
⑤人工ゾウキを体内に植え込む。
まとめ
今回は、『自己をモデル化する知能』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。