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わかっていることいないこと 現代文 解説 要約 意味調べ テスト対策

 

『わかっていることいないこと』は、教科書・現代の国語に収録されている文章です。定期テストの問題としても出題されています。

ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる部分もあります。そこで今回は、本作のあらすじや要約、語句の意味などを含め簡単に解説しました。

『わかっていることいないこと』のあらすじ

 

本文は、内容により4つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①地球温暖化により、冬がなくなるわけでも、常に冬が暖冬傾向になるわけでもない。温暖化の影響を知るためには、さまざまな国の研究所で開発された気候モデルの計算結果を解析すれば、将来の気候変動を予想できる可能性がある。

②日本の気温の傾向も全体的に右肩上がりとなっており、一〇〇年あたりに換算すると一・〇八度の割合ですでに温暖化が進行している。仮にこの傾向が今後も続くなら、ニ一〇〇年頃には気温の上昇は二度に達し、相当な影響を及ぼすことになる。だが、年々の変動ではゆるやかな気温上昇のなかにも、寒冷な時期が挟まることがある。

③気候モデルの予想には限界がある。例えば、海氷のモデルはまだ再現性が低い。日本でも平年より気温が低い年が発生したり、アメリカでも寒冷な冬がやってくる頻度が高くなっていたりする。この傾向が今後も続くかどうかは不明であり、現時点では答えが出ていない。

④地球温暖化については、研究者でも「わからないこと」だらけである。現実がモデルの予測を超え続けるなか、研究者と社会はどのようにして未来に備えればよいのか。大切なのは、あらかじめ用意した結論に飛びつかず、日々新たに取得されるデータとモデルの予測結果とを突き合わせて、「わかっていること」と「わかっていないこと」との整理を行うことである。

『わかっていることいないこと』の要約&本文解説

 

200字要約地球温暖化により、冬がなくなるわけでも常に冬が暖冬傾向になるわけでもない。温暖化の影響を知るために開発された気候モデルの計算結果を解析すれば、将来の気候変動を予想できる可能性がある。だが、気候モデルの予想には限界があり、不明なことが多い。大切なのは結論に飛びつかず、新たに取得されるデータとモデルの予測結果とを突き合わせて、「わかっていること」と「わかっていないこと」との整理を日々行うことである。(199文字)

この文章は、2014年刊行の『異常気象と気候変動についてわかっていることいないこと』に収められているものです。筆者は、海洋・気象学者であることから、豊富な知識やデータを元に、地球温暖化について分析しています。

地球温暖化についてはさまざまな議論がありますが、現状「わかっていること」と「わかっていないこと」というのがあります。それが何かを読み取り、未来に備える必要があると筆者は述べています。

最終的な筆者の主張としては、第四段落にその旨が書かれています。それは、「大切なのは、あらかじめ用意された結論に飛びつくのではなく、日々新たに取得されるデータとモデルの予測結果を突き合わせて、「わかっていること」と「わかっていないこと」との整理を日々行う事である」という箇所です。

今後も、地球温暖化についての情報はどんどんと取得されていきます。その上で大切なのは、分かっている情報と分かっていない情報を私たちが日々整理していく必要があるということです。

『わかっていることいないこと』の意味調べノート

 

【確実視(かくじつし)】⇒確かにそうなるだろうと思うこと。

【地球温暖化(ちきゅうおんだんか)】⇒地球全体の平均気温が上昇する現象。

【寒波(かんぱ)】⇒冬季に、寒気の吹き出しで気温が急激に下がったり、雪が降ったりする現象。

【暖冬(だんとう)】⇒平年より暖かい冬。

【それなりに】⇒それ相応に。

【厳冬(げんとう)】⇒寒さのきびしい冬。

【気候モデル(きこうモデル)】⇒地球温暖化の状態を解明するために、地球上の大気、海洋などの気候を長期的・量的にシミュレーションするもの。日本では国立環境研究所や東京大学・海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターなどが研究を続けている。

【解析(かいせき)】⇒物事を細かく分析して、理論に基づいて研究すること。

【気圧配置(きあつはいち)】⇒高気圧と低気圧の位置関係のこと。気圧分布とも言う。

【ユーラシア大陸(たいりく)】⇒アジアからヨーロッパまでのひと続きの大陸。六大陸で一番大きい。

【モデル】⇒ひな型。ここでは、気候モデルのこと。

【相対的(そうたいてき)】⇒他との比較の上に成り立つさま。

【熱帯(ねったい)】⇒赤道を中心に南北の回帰線(緯度23度26分)に挟まれた地帯。

【挙動(きょどう)】⇒立ち居振る舞い。ここでは、「動き」という意味。

【偏差(へんさ)】⇒標準となる数値・位置・方向などからのかたより。

【平年値(へいねんち)】⇒気温・降水量などの、過去30年間の平均値。気候値とも言い、10年ごとに更新される。

【時系列(じけいれつ)】⇒時間の経過に伴う変化を、連続的または不連続的に観測して得た値の系列。

【右肩上がり(みぎかたあがり)】⇒時を追うごとに数量が増えていくさま。

【換算(かんさん)】⇒ある数量を別の単位に置き換えて計算すること。

【変貌(へんぼう)】⇒姿や様子が変わること。

【甚大(じんだい)】⇒程度が極めて大きいさま。

【着実(ちゃくじつ)】⇒物事があぶなげなく行われること。

【忠実(ちゅうじつ)】⇒実際の通りに正確に行うこと。

【海氷(かいひょう)】⇒海水が凍結したもの。

【再現性(さいげんせい)】⇒科学実験などにおいて、所定の条件で、同じ事象が繰り返し起こったり、観察されたりする様子。

【相互作用(そうごさよう)】⇒互いに働きかけ、影響を及ぼすこと。

【正の気温偏差(せいのきおんへんさ)】⇒プラスの気温のかたより。

【蓄積(ちくせき)】⇒たまること。たくわえること。

【負の偏差(ふのへんさ)】⇒マイナスの(気温の)かたより。

【頻度(ひんど)】⇒物事が起こる度合い。

【メカニズム】⇒仕組み。

【後退(こうたい)】⇒後ろへさがること。

【季節内変動スケール】⇒季節内で変化する大きさの規模。「スケール」は、大きさの程度や規模を表す。

【まつわる】⇒関連する。

【詳細(しょうさい)】⇒細部に至るまで詳しいこと。

【予見(よけん)】⇒物事が起こる前に、その事を見通すこと。

【知見(ちけん)】⇒見聞きして得た知識。

【目を光らせる(めをひからせる)】⇒しっかりと見張る。監視する。

『わかっていることいないこと』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ゴカイを招く。

キョドウがおかしい。

チュウジツに再現する。

④使用するヒンドが高い。

⑤天体をカンソクする。

解答①誤解 ②挙動 ③忠実 ④頻度 ⑤観測
問題2「この傾向は今後も続くのでしょうか?」とあるが、「この傾向」とはどのような傾向か?
解答例気候モデルとは異なり、中緯度では寒冷化が生じている傾向。また、温暖化によって生じた海氷の減少が一時的に北半球に寒波をもたらす傾向。
問題3「さらに具体的な寒波の予測につながる知見」とは、どのようなことか?本文中の語句を使い説明しなさい。
解答例海氷変動に伴う中緯度への寒気の流入という現象が観測され、それが近年のユーラシア大陸上の気温傾向に影響しているということ。
問題4『ここで大切なのは、あらかじめ用意した結論に飛びつかず、~』とあるが、「あらかじめ用意した結論」とは、ここでは具体的にどのようなことか?
解答例地球が温暖化すると、冬がなくなるとか、常に冬が暖冬傾向になるということ。

まとめ

 

以上、今回は『わかっていることいないこと』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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