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美しさの発見 200字要約 現代の国語 あらすじ 学習の手引き 教科書

 

『美しさの発見』は、教科書・現代の国語に出てくる評論文です。ただ、本文を読むとその内容や筆者の考えが分かりにくいと感じる人も多いと思われます。

そこで今回は、『美しさの発見』のあらすじや要約、語句の意味などをわかりやすく解説しました。

『美しさの発見』のあらすじ

 

本文は、内容により4つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①「発明」とは、今までになかったものを新しく創り出すことである。一方で、「発見」とは、昔から存在はしていたけども、誰も気づかなかったものを見つけ出すことである。つまり、飛行機はライト兄弟が「発明」したが、アメリカ大陸はコロンブスが「発見」したということになる。では、「美しさの発見」と言った場合も同じになるだろうか。

②芭蕉やセザンヌが「発見」したものは、いったい何だろうか。それが、彼らが描いた「花」や「山」そのものではないことは明らかであろう。広く一般に受け入れられている考え方は、「美しさ」が対象そのものに属するという考え方である。

③芥川龍之介は小学生の頃、「美しいもの」の例を挙げなさいと先生に言われ、「雲」と答えて叱られた。彼は、普通の人が何も感じないようなものに、「美しさ」を見出したのだ。ここから、「美しさ」はそれを「美しい」と感じる人間の心の方にあると言わざるを得ない。つまり、一人一人の人間の心の中に灯火のようなものがあるということだ。

④私たちが芭蕉やセザンヌの作品に感動するのは、同じ一つの心の働きにほかならない。「美しさ」を知ることは、心の世界の広がりを保証してくれるものなのだ。

『美しさの発見』の要約&本文解説

 

200字要約「美しさ」は、草花や山といった対象そのものに属するわけではなく、それを「美しい」と感じる人間の心のほうにある。つまり、一人一人の人間の心の中にふとともった灯火のようなものが「美しさ」ということだ。私たちが芭蕉の一句に「美しさ」を発見したり、セザンヌの絵を見て感動したりするのは、結局は同じ一つの心の働きにほかならない。「美しさ」を知ることは、そのまま心の世界の広がりを保証してくれるものである。(197文字)

筆者の主張を簡潔に言うなら、「美しさとは人の心の方にある」ということになります。

筆者は、「美しさ」とは、草花や山といった対象そのものにあるわけではなく、それを「美しい」と感じる人間の心の方にあると主張します。

これを分かりやすく説明するために、本文中では芥川龍之介の少年時代の例が挙げられています。彼は、小学生の頃、先生に対して「美しいもの」は「雲」だと答えました。すると、先生に叱られて周りの子どもたちからも笑われました。

これは、先生や子供たちが「美しさ」は「花」や「富士山」のような対象そのものにあるもので、「雲」という対象には「美しさ」などないと考えていたからだと言えます。

一方で、彼は普通の人とは違う鋭い感受性を持っていたため、「雲」に対して美しさを見出すことができました。つまり、「美しい」と感じる豊かな心があったからこそ、彼は「雲」に美しさを感じたということです。

筆者は、「美しさ」を放射能のようなあるものに属する性質ではないと主張します。

「放射能」というのは、目に見えない化学的・物理的な現象であるため、一般人は発見できませんが専門家は発見することができます。同様に、「美しさ」も、一般人が発見するまでは隠されていて、芸術家が発見すれば人の眼にも明らかになるようなものだと考えてしまいがちです。

そうではなく、一人一人の人間の心の中にふとともった灯火のようなものが「美しさ」だと筆者は述べています。つまり、美しさとは、私たちが心の中で発見した時にふと生まれてくるものだということです。

このように、「美しさ」というのが、「発見する前にその対象に内在するのか?」それとも「発見した後にその人の心に生まれるのか?」といった議論は古くから行われてきました。

今回の評論文に関しては、「発見した後に、人の心に生まれるものである」という筆者の主張を読み取ることがポイントとなります。

『美しさの発見』の意味調べノート

 

【~にすぎない】⇒~だけのことである。

【道端(みちばた)】⇒道のほとり。

【一輪(いちりん)】⇒一つの花。

【淡い(あわい)】⇒色が薄い。

【凝縮(ぎょうしゅく)】⇒ある一点に集中させること。

【戦慄(せんりつ)】⇒おそれおののくこと。恐ろしくて身ぶるいすること。

【眺める(ながめる)】⇒見渡す。遠くを見る。

【感受性(かんじゅせい)】⇒物を感じとる力。感性。

【未知(みち)】⇒まだ知られていないこと。

【内在(ないざい)】⇒あるものが、そのものの中に自ら存在すること。

【ないしは】⇒あるいは。または。

【放射能(ほうしゃのう)】⇒放射性物質が放射線を出す現象および性質。

【エッセンス】⇒物事の本質。最も大切な要素。

【定着(ていちゃく)】⇒決まった場所などにしっかりとつけること。固定すること。

【提示(ていじ)】⇒差し出して相手に示すこと。

【風物(ふうぶつ)】⇒景色。風景。眺めとして目に入るもの。

【本質的(ほんしつてき)】⇒物事の本質に関わるさま。

【失笑(しっしょう)】⇒思わず笑い出してしまうこと。

【鋭敏(えいびん)】⇒感覚などが鋭いこと。

【裏付ける(うらづける)】⇒確実にする。証拠立てる。

【容易(ようい)】⇒たやすいこと。やさしいこと。

【高揚(こうよう)】⇒精神・気分などが高まること。

【柔軟(じゅうなん)】⇒一つの考え方にこだわらないさま。

【灯火(ともしび)】⇒ともした火。あかり。

【無縁(むえん)】⇒関係のないこと。

【民衆(みんしゅう)】⇒世間一般の人々。大衆。

【彫刻(ちょうこく)】⇒木・石・金属などを彫り刻んで作り上げた立体的な像。

【保証(ほしょう)】⇒間違いがないと責任を持つこと。

『美しさの発見』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

キオクに新しい出来事。

ミチバタに咲く花。

ビミョウな結果に終わる。

トクシュな性質を持つ。

⑤土地にテイチャクする。

エイビンな頭脳の持ち主。

⑦人柄をホショウする。

解答①記憶 ②道端 ③微妙 ④特殊 ⑤定着 ⑥鋭敏 ⑦保証
問題2「微妙な戦慄」とは、ここでは何を意味するか?
解答例言葉では言い表せないような心の震え。
問題3『「美しさ」というのはすみれ草や山から発するいわば放射能のようなもので、~』とあるが、「放射能のようなもの」とはどういうものか?
解答例人々の目には見えないが、ある物から発散していて何らかの作用や影響を与えるもの。
問題4「突き詰めて考えれば、結局同じ一つの心の働きにほかならない。」とあるが、「同じ一つの心のはたらき」とはここでは何を意味するか?
解答例「美しさ」を感じ取り、「美しさ」に感動するこころのはたらき。
問題5

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)「発明」と「発見」の違いは対象が昔から存在していたかどうかという点にあるため、アメリカ大陸はコロンブスが「発見」するまでは西欧人に知られていなかったにすぎない。

(イ)「美しさ」というのはいわば放射能のようなもので、優れた詩人や画家が気付くまでは人々から隠されている性質である。

(ウ)先生が少年龍之介の「雲」という答えを叱ったのは、雲そのものの中に美しさはないと考えていたからである。

(エ)筆者が考える「美しさの発見」とは、人々がそれまで美しいと感じていなかったものを、美しいと感じることができるようになることである。

解答(イ)筆者は、「美しさ」とは放射能のようにあるものに属する性質というよりも、一人一人の人間の心の中にふとともった灯火のようなものだと述べている。

まとめ

 

以上、今回は『美しさの発見』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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