『天然知能として生きる』は、郡司ペギオ幸夫による評論文です。教科書・論理国語にも採用されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくい箇所があります。そこで本記事では、『天然知能として生きる』のあらすじや要約、テスト問題などを解説しました。
『天然知能として生きる』のあらすじ
①世界に対する対処のしかたは、次の三つに大別される。人工知能の「自分にとっての」知識世界を構築する対処、自然知能の「世界にとっての」知識世界を構築する対処、天然知能のただ世界を受け入れるだけという対処である。人工知能は知覚できたデータだけを問題にし、自然知能は問題や謎として知覚されたものだけに興奮する。見えないものに興奮するのは、天然知能だけの特権である。
②創造とは、外部からやってくるものを受け入れることである。知覚できないものの存在を許容できない人工知能や自然知能は、創造性を持たない。一方で、天然知能は外部からやってくる知覚できないものを受け入れることができる。だからこそ、天然知能は唯一創造を楽しむことができる知性だと言える。
③周囲を気にせず外部を受け入れることは、自分らしく生きることである。自分らしく生きる者は、知覚し得ない他者を受け入れることができる。自分らしく生きる者だけが、外部に対して開かれるのだ。私たちは、人工知能的な部分も、自然知能的な部分もある。だが、今はまさに天然知能を全面展開するときである。
『天然知能として生きる』の要約&本文解説
本文は、内容から三つの段落に分けることができます。
まず第一段落では、人工知能・自然知能・天然知能のそれぞれの世界への対処のしかたが、具体例を挙げながら説明されています。
次の第二段落では、この中の「天然知能」について「創造」という観点から説明がされています。
最後の第三段落では、今こそ天然知能を展開するときである、という最終的な筆者の主張が述べられています。
全体の内容としては、筆者が三つの知能の内、「天然知能」について最も評価していることがポイントです。
筆者は、「人工知能」や「自然知能」に対しては、世界に対する対処のしかたが規定されており、知覚できないものを許容できず、創造性を持たないものだと否定的な意見を述べています。
それに対し、「天然知能」については、知覚できないものを受け入れ、自分らしく生きることができ、創造性を持つ唯一の知能だとして、肯定的な意見を述べています。
筆者が、創造性の有無という観点から「天然知能」を最も評価していることを押さえるのが、この評論文を理解するポイントとなります。
『天然知能として生きる』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①ヨウトの広い製品。
②害虫をクジョする。
③経験にイキョした判断。
④グチョクな行動を続ける。
⑤人事をサッシンする。
⑥ギジ的な体験をする。
⑦コリツした集落。
次の語句を使い、簡単な例文を作りなさい。
①場当たり的 ②恣意的 ③客観的 ④依拠 ⑤楽天的 ⑥利己的
①彼は場当たり的な発言が多い。
②法律を恣意的に解釈すべきではない。
③客観的な意見を述べる。
④依拠すべき文献が多くある。
⑤彼女は楽天的な性格だ。
⑥利己的な生き方は周囲から嫌われる。
まとめ
今回は『天然知能として生きる』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。