第三段落の言葉一覧
【暫く(しばらく)】⇒しばらく。
【こらへ切れなくなつて(こらえきれなくなって)】⇒我慢できなくなって。
【見咎める(みとがめる)】⇒悪事や欠点などを見てそれを非難する。また、見て不審に思い問いただす。
【氣遣ふ(きづかう)】⇒あれこれと気にかけて心配する。
【居ずまひ(いずまい)】⇒人が座っている姿勢。また、その態度。座り方。
【直して(ただして)】⇒正して。
【問を發した(といをはっした)】⇒質問した。
【動機(どうき)】⇒人が意志を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因。
【役目(やくめ)】⇒役としての務め。役としてすべき仕事。
【應對(おうたい)】⇒応対。相手になって、受け答えすること。
【分疏(いいわけ)】⇒言い訳。
【實(じつ)】⇒実。
【己(おれ)】⇒俺。一人称の人称代名詞。
【先刻(せんこく)】⇒さきほど。さっき。
【來て(きて)】⇒来て。
【極まつて(きまって)】⇒決まって。
【一體(いったい)】⇒一体。
【仰やつて(おっしゃって)】⇒おっしゃって。
【難有う(ありがとう)】⇒ありがとう。
【思ひ遣る(おもいやる)】⇒他人の身の上や心情を推し量って、同情する。
【樂(らく)】⇒楽(らく)。
【參つた(まいった)】⇒まいった。
【慈悲(じひ)】⇒いつくしみ、あわれむこと。なさけ。
【遣つて(やって)】⇒やって。
【栖む(すむ)】⇒住む。
【先づ(まず)】⇒まず。
【體(からだ)】⇒からだ。
【つひぞ】⇒今まで一度も。いまだかつて。
【爲事(しごと)】⇒仕事。
【お遣下さる(おやりくださる)】⇒「行かせる」の尊敬語。
【鳥目(ちょうもく)】⇒真ん中に穴が空いているお金のこと。江戸時代までの銭貨は中心に穴があり、その形が鳥の目に似ていたところから。
【仰せ附ける(おおせつける)】⇒「言いつける」の尊敬語。
【當てた(あてた)】⇒当てた。
【掟(おきて)】⇒守るべきものとしてすでに定められている事柄。決まり。
【遣す(つかわす)】⇒「与える」の尊敬語。
【續いだ(つないだ)】⇒つないだ。
【お足(おあし)】⇒お金。ぜに。
【懐(ふところ)】⇒衣服を着たときの、胸のあたりの内側の部分。
【骨を惜まずに(ほねをおしまずに)】⇒苦労や面倒を嫌がらずに。
【人手(ひとで)】⇒人の手。
【工面(くめん)】⇒金回り。ふところぐあい。
【お牢(ろうや)】⇒牢屋のこと。罪人を閉じ込める所。
【濟まない(すまない)】⇒済まない。申し訳ない。
【相變らず(あいかわらず)】⇒相変わらず。
【始(はじめて)】⇒はじめて。
【本手(もとで)】⇒元手。
【口を噤む(くちをつぐむ)】⇒口を閉じて開かない。話すのをやめる。
【事毎に(ことごとに)】⇒物事があるたびに。事につけて。
【餘り(あまり)】⇒あまりにひどく。 度を超えて。
【意表に出る(いひょうにでる)】⇒相手が考えていないこと、予想外のことをする。
【默つて(だまって)】⇒黙って。
【彼此(かれこれ)】⇒(時・年月・数量などを示す語を伴って)だいたいそれに近いさま。おおよそ。そろそろ。
【初老(しょろう)】⇒中年を過ぎ、老年に入りかけた年ごろ。
【手の屆く(てのとどく)】⇒もうすぐある年齢・時期に達する。
【女房(にょうぼう)】⇒妻のこと。
【老母(ろうぼ)】⇒年とった母。
【平生(へいぜい)】⇒ふだん。いつも。つね日ごろ。
【吝嗇(りんしょく)】⇒むやみに金品を惜しむこと。度を越してケチなこと。
【儉約(けんやく)】⇒倹約。むだを省いて出費をできるだけ少なくすること。
【著る(きる)】⇒着る。衣服などを身に付ける。
【寢卷(ねまき)】⇒寝巻。寝るときの衣服。
【拵える(こしらえる)】⇒外見を整えたりして飾る。
【身代(しんだい)】⇒身分。地位。
【商人(しょうにん)】⇒商業を営む人。
【扶持米(ふちまい)】⇒扶持として給与される米。江戸時代には、一人1日玄米5合を標準とし、この1年分を米または金で給与した。「扶持」とは、主君から家臣に渡した給与を指す。
【善意(ぜんい)】⇒よい心。
【裕な(ゆたかな)】⇒豊かな。裕福な。
【癖(くせ)】⇒習慣化している、あまり好ましくない傾向。
【滿足(まんぞく)】⇒満足。
【手元(てもと)】⇒生計をたてるための金。
【引き締める(ひきしめる)】⇒むだな出費をやめる。
【動もすれば(ややもすれば)】⇒放任しておくとそのような状態になりやすいさま。どうかすると。ともすれば。
【勘定(かんじょう)】⇒代金を支払うこと。また、その代金。
【内證(ないしょう)】⇒ 表向きにせず、内々にしておくこと。内密。秘密。
【里(さと)】⇒妻の生家。妻の実家。
【帳尻を合わせる(ちょうじりをあわせる)】⇒収入と支出とが合うようにする。
【借財(しゃくざい)】⇒金を借りること。借金。
【毛蟲(けむし)】⇒毛虫。
【五節句(ごせっく)】⇒年間の五つの節句。「節句」とは年間の節目となる年中行事およびその日。人日 (じんじつ)(正月7日)・上巳 (じょうし)(3月3日)・端午(たんご)(5月5日)・七夕(しちせき) (7月7日)・重陽 (ちょうよう) (9月9日)。
【里方(さとかた)】⇒嫁の実家。
【祝(いわい)】⇒祝い。
【填めて(うめて)】⇒埋める。
【氣が附いて(きがついて)】⇒気が付いて。
【折折(おりおり)】⇒時々。時たま。
【波風(なみかぜ)】⇒家庭や世間に起こるもめごと。
【亡くして(なくして)】⇒なくして。
【境界(きょうがい)】⇒各自が出会った境遇。置かれる環境。
【一轉(いってん)】⇒一転(いってん)。ひと回りすること。
【我身(わがみ)】⇒自分の身の上。
【顧みる(かえりみる)】⇒過ぎ去った事を思い起こす。
【果して(はたして)】⇒果たして。
【相違(そうい)】⇒違い。
【十露盤(そろばん)】⇒計算器具の一つ。算盤(そろばん)。
【難有がる(ありがたがる)】⇒ありがたがる。
【相當(そうとう)】⇒相当。
【貯蓄(ちょちく)】⇒たくわえた財貨。
【だに】⇒~でさえ。~さえも。
【慾(よく)】⇒欲。
【足ることを知る(たることをしる)】⇒身分相応に満足することを知る。
【口を糊する(くちをのりする)】⇒余裕のない貧しい生活をする。ギリギリの暮らしだが何とか生計を立てて生きていく。
【得難かつた(えがたかった)】⇒手に入れることがむずかしかった。
【覺えた(おぼえた)】⇒覚えた。
【懸隔(けんかく)】⇒二つの物事がかけ離れていること。非常に差があること。
【出納(すいとう)】⇒金銭や物品を出し入れすること。
【手一ぱい(ていっぱい)】⇒それ以上他のことをする余裕がないこと。
【然るに(しかるに)】⇒それにもかかわらず。それなのに。
【常(つね)】⇒いつも。普段
【過して(すごして)】⇒過ごして。
【お役が御免になる(おやくがごめんになる)】⇒ある役目をやめさせられること。
【大病(たいびょう)】⇒重い病気。
【疑懼(ぎく)】⇒疑って不安に思うこと。
【穴填(あなうめ)】⇒穴埋め。不足を補うこと。
【閾(しきい)】⇒閾(いき)。隠れていた意識が表面化する境目・一線。
【頭を擡げる(あたまをもたげる)】⇒隠れていたある考え、疑い、気持などが浮かび上がってくる。
【上邊(うわべ)】⇒上辺。見せかけのようす。
【係累(けいるい)】⇒面倒を見なければならない親・妻子など。
【一人者(ひとりもの)】⇒独身者。結婚していない人。
【根柢(こんてい)】⇒物事や考え方のおおもととなるところ。根本。
【處(ところ)】⇒所。
【漠然(ばくぜん)】⇒ぼんやりとして、はっきりしないさま。
【其日其日(そのひそのひ)】⇒その日その日。
【萬一(まんいち)】⇒万一。
【蓄(たくわえ)】⇒蓄え。たくわえたもの。
【此の如くに(かくのごとくに)】⇒こんなふうに。
【踏み止まる(ふみとどまる)】⇒したいことを我慢してやめる。
【驚異(きょうい)】⇒驚き不思議がること。
【目を見張る(めをみはる】⇒驚いたり感心したりして目を大きく見開く。
【毫光(ごうこう)】⇒仏の眉間(みけん)の白毫 (びゃくごう)から四方に出る細い光。仏の智慧(ちけい)にたとえられる。「智慧」とは「かしこいちえ」のこと。
第四段落の言葉一覧
【以て(もって)】⇒もって。
【稱呼(こしょう)】⇒呼称。呼び名。
【聲(こえ)】⇒声。
【や否や(やいなや)】⇒~とすぐに。
【不穩當(ふおんとう)】⇒不穏当。さしさわりがあって適当でないこと。
【詞(ことば)】⇒ことば。
【不審(ふしん)】⇒疑わしく思うこと。
【間の惡い(まのわるい)】⇒きまりが悪い。ばつが悪い。
【あやめる】⇒殺す。
【序に(ついでに)】⇒ついでに。
【恐れ入る(おそれいる)】⇒相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。
【小聲(こごえ)】⇒小声。
【心得違(こころえちがい)】⇒人の道に外れた行い。道理を踏み間違えた行動。
【二親(ふたおや)】⇒父と母。両親。
【時疫(じえき)】⇒流行病。はやりやまい。
【軒下(のきした)】⇒軒の下のところ。屋根の下。
【ふびんを掛(か)ける】⇒あわれみを掛ける。
【恵み(めぐみ)】⇒いつくしみ。
【走使(はしりづかい)】⇒誰かの使いとして、走り回ってこまごまとした用事をこなすこと。
【飢ゑ(うえ)】⇒飢えること。空腹。
【なるたけ】⇒なるべく。できる限り。
【西陣(にしじん)】⇒京都市上京区西部の一地区。
【織場(おりば)】⇒ここでは、「織物をする工場」を指した語。
【空引(そらびき)】⇒「空引き機 (そらびきばた)」の略。空引き機とは古来から日本で紋織り(もんおり)に用いられた織物を織る機械のこと。
【掘立小屋(ほったてごや)】⇒柱を直接土の中に埋めて建てた小屋。また、簡単につくった粗末な家。
【紙屋川(かみやがわ)】⇒京都市街西部の川の名。
【歸る(帰る)】⇒帰る。
【或る日(あるひ)】⇒ある日。
【布團(ふとん)】⇒布団。
【突っ伏す(つっぷす)】⇒顔などを下に伏せる。
【周圍(まわり)】⇒まわり。
【おっぽり出す】⇒「ほうりだす」を強めた俗な言い方。
【傍(そば)】⇒すぐ近く。
【眞蒼(まっさお)】⇒真っ青(まっさお)。
【腮(あご)】⇒あご。
【創口(きずぐち)】⇒傷口。
【黒血(くろち)】⇒腐敗して黒みを帯びた血。
【留める(とめる)】⇒移動させないで、元の所にいさせる。おさえて行かせないようにする。
【口を利く(くちをきく)】⇒ものを言う。話をする。
【堪忍(かんにん)】⇒我慢すること。忍耐。
【笛(ふえ)】⇒のどぶえのこと。のどの気管が通る部分。
【可けない(いけない)】⇒いけない。
【弛める(ゆるめる)】⇒緩める。
【漏ります(もります)】⇒漏れます。
【咽(のど)】⇒のど。
【剃刀(かみそり)】⇒かみそり。
【其儘(そのまま)】⇒そのまま。
【刳る(えぐる)】⇒えぐる。
【柄(え)】⇒道具類につけた棒状の部分。取っ手。
【二寸(にすん)】⇒約6.06センチメートル。 一寸(約3.03センチメートル)の2倍の長さ。
【思案(しあん)】⇒あれこれと考えめぐらすこと。
【醫者(いしゃ)】⇒医者。
【怨めしい(うらめしい)】⇒にくらしい。恨みに思われる。
【目附(めつき)】⇒目つき。
【途方に暮れる(とほうにくれる)】⇒方法や手段が尽きて、どうしてよいかわからなくなる。
【催促(さいそく)】⇒物事を早くするようにうながすこと。
【險しく(けわしく)】⇒険しく。
【敵(かたき)】⇒恨みのある相手。
【憎々しい(にくにくしい)】⇒非常に憎らしい。
【通(とおり)】⇒通り。
【變つて(変わって)】⇒変わって。
【表口(おもてぐち)】⇒表に面した出入り口。
【藥(くすり)】⇒薬。
【大ぶ(だいぶ)】⇒だいぶ。
【眞直(まっすぐ)】⇒まっすぐ。
【用心(ようじん)】⇒心をくばること。気をつけること。
【手應(てごたえ)】⇒手ごたえ。
【儘(まま)】⇒まま。
【ぼんやり】⇒気持ちが集中せず間が抜けていること。
【大そう(たいそう)】⇒たいそう。程度や分量がはなはだしいさま。
【年寄衆(としよりしゅう)】⇒江戸時代、町村内の行政をつかさどった役人。
【條理(じょうり)】⇒物事の筋道や道理。
【浚つて見させられた(さらってみさせられた)】⇒何度も同じことを繰り返し言わされた。ここでの「浚う(さらう)」は「教えられたことを繰り返して練習する。同じことを繰り返す」などの意味。
【疑(うたがい)】⇒疑い。
【念(ねん)】⇒思い。気持ち。
【オオトリテエ】⇒authorityの音写。一般に「オーソリティー」と表記し、「権威」や「大家(たいか)」といった意味の語。
【判斷(はんだん)】⇒判断。
【腑に落ちない(ふにおちない)】⇒納得がいかない。
【朧夜(おぼろよ)】⇒おぼろ月の夜。「おぼろ月」とは、霧や靄 (もや)などに包まれて、柔らかくほのかにかすんで見える春の夜の月を指す。
【面(おもて)】⇒物の表面。
まとめ
以上、本記事では『高瀬舟』に出てくる漢字や重要語句をわかりやすくまとめました。言葉の意味が分かれば、本作の内容も理解しやすくなるはずです。ぜひ定期テストなどの対策として頂ければと思います。