対話の意味  論理国語 200字要約 意味調べノート テスト対策

『対話の意味』は、細川英雄による評論文です。教科書・論理国語にも掲載されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくい部分も多いです。そこで今回は、『対話の意味』のあらすじや要約、語句の意味などを簡単に解説しました。

『対話の意味』のあらすじ

 

あらすじ

①私は、対話では「思ったことを感じるままに話すべき」だと思う。だが、そうすると、それがおしゃべりになってしまうという大きな課題がある。

②「おしゃべり」とは、他者不在の言語活動である。おしゃべりの多くは、自己完結的であり、それ以上の発展性がないため、対話としては成立しない。その意味で、おしゃべりはモノローグ(独り言)に近い。モノローグであるおしゃべりとダイアローグとしての対話には大きな違いがあるのだ。

③ダイアローグとしての対話は、常に他者としての相手を想定し、相手に伝えるための最大限の努力をするものである。それは、自分自身の個人的な私的領域から、他者へとはたらきかける公的領域への行為であるため、それぞれの個人が言葉を使って自由に活動できる社会を形成するという可能性にもつながる。

④「なぜ、この私が」というところに注目し、それを自分の言葉で考えてみることに、あなた自身の対話活動のオリジナリティーがある。自分の思考を表現する段階になり、初めて自分の考えを自分の言葉として自覚し、その外側に現れた表現に他者が反応し、相互関係作用が起こる。このプロセスの総体が、言語コミュニケーションである。このような思考と表現を繰り返す活動の活性化こそが、言語活動そのものの充実につながる。

『対話の意味』の要約&本文解説

 

200字要約対話は、自分自身の個人的な私的領域から、他者という未知の存在へとはたらきかける公的領域への行為であるため、個人が言葉を使って自由に活動できる社会を形成するという可能性につながる。言語コミュニケーションとは、自分の考えを自分の言葉として自覚し、その外側に現れた表現に他者が反応し、相互関係作用が起こるプロセスの総体である。このような思考と表現を繰り返す活動の活性化こそが、言語活動の充実につながる。(198文字)

本文は、その内容から四つの段落に分けることができます。

まず第一段落では、「対話とは何か」という問題について言及されています。ここでは、対話とは「相手と話すこと」であり、「思ったことを感じるままに話すこと」が重要だと述べられています。

次の第二段落では、「おしゃべり」について説明されています。

筆者は、おしゃべりと対話というのは似ているようで違うものであり、おしゃべりは自己完結的で発展性がなく、対話としては成立しないものなのだと否定的な意見を述べています。

第三段落では、「ダイアローグとしての対話」について説明されています。

筆者は、対話という活動は、自分自身の個人的な私的領域から、他者へはたらきかける公的領域の行為であるため、個人が言葉を使い自由に活動できる社会を形成する可能性につながると述べています。

第四段落では、「対話という活動の原理」について説明されています。

筆者は、言語コミュニケーションとは、自分の考えていることを自分の言葉として自覚し、その外側に現れた表現に他者が反応し、相互関係作用が起こるプロセスの総体であると述べています。

そして、このような思考と表現を繰り返す活動の活性化こそが、言語活動の充実につながると結論付けています。

全体を通した筆者の主張としては、最後の第四段落に集約されていると言えます。

『対話の意味』の意味調べノート

 

【対話(たいわ)】⇒向かい合って話し合うこと。

【保証(ほしょう)】⇒間違いがないと認め、責任をもつこと。

【巷(ちまた)】⇒世間。

【アドバイス】⇒助言。

【しばしば】⇒たびたび。

【感情的(かんじょうてき)】⇒理性を失って感情をむきだしにするさま。

【不在(ふざい)】⇒その場にいないこと。

【独りよがり(ひとりよがり)】⇒他人の意見を無視して、自分だけでよいと思い込んでいること。

【相槌を打つ(あいづちをうつ)】⇒相手の話に調子を合わせて、受け答えをする。

【発散(はっさん) 】⇒内部にたまったものが、外部へ散らばり出ること。

【いわゆる】⇒世間でよく言われている。

【モノローグ】⇒独白。独り言。

【余談(よだん)】⇒話の本筋からそれた話。

【聴衆(ちょうしゅう)】⇒講演や音楽などを聞きに集まった人々。

【とうとうと】⇒よどみなくすらすらと話し続けるさま。

【進展(しんてん)】⇒物事が進行して、新たな局面があらわれること。

【促す(うながす)】⇒人がそうするように勧める。

【相互関係(そうごかんけい)】⇒二つのものが、お互いに相手にはたらきかける関係。

【構築(こうちく)】⇒組み立てて築くこと。

【原理(げんり)】⇒物事の基になる理論や法則。

【哲学(てつがく)】⇒世界や人生などの根本原理を追究する学問。

【検討(けんとう)】⇒さままな面からよく調べて考えること。

【認識(にんしき)】⇒ある物事を知り、その本質や意義などを理解すること。

【作用(さよう)】⇒他に力を及ぼすこと。

【自覚(じかく)】⇒自分の置かれている位置や状態、立場などをはっきりと知ること。

【総体(そうたい)】⇒全体。

【称する(しょうする)】⇒名づけて言う。

【往還(おうかん)】⇒行き来すること。

【活性化(かっせいか)】⇒活発にすること。

【充実(じゅうじつ)】⇒実質や内容が、十分で満ち足りていること。

『対話の意味』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①品質をホショウする。

②気持ちをハッサンさせる。

チョウシュウに話しかける。

④問題点をケントウする。

⑤人生をジュウジツさせる。

解答①保証 ②発散 ③聴衆 ④検討 ⑤充実
問題2『その手続きのプロセスが対話にはあります。』とあるが、ここでの「プロセス」とは何か?
解答例常に他者としての相手を想定し、自分の言っていることが相手に伝わるかどうか、伝わらない場合はなぜ伝わらないかを常に考えるというもの。
問題3『ここに、あなた自身の対話活動のオリジナリティがあります。』とあるが、ここでの「オリジナリティー」とは何か?
解答例何事についても、なぜ自分がそれについて調べるのかという問題意識を持ち、自分の言葉で考えてみることで得られる独創性のこと。
問題4『このプロセスの総体が、言語活動、いわゆる言語コミュニケーションと称されるものです。』とあるが、「このプロセスの総体」とは何か?
解答例自分の思考・推論(内言)が、表現(外言)として姿を現し、それに他者が反応し、相互関係作用が起こること。

まとめ

 

今回は『対話の意味』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。