「大したことない」という言い方は、普段の会話でもよく使われています。怪我や病気などになった際に用いることが多いです。
また、場合によってはビジネスメールなどで敬語の一部として用いられることもあります。本記事では、「大したことない」の意味や使い方、対義語、敬語表現などを詳しく解説しました。
大したことないの意味・読み方
「大したことない」の読み方は「たいしたことない」です。「大」は「だい」ではなく「たい」と読みます。
意味は、「程度が軽くて特に問題ないさま・平凡でつまらないさま」などを表したものです。
例えば、交通事故などに遭った際でも、特に大きな怪我ではなかった場合は「大したことない」と言います。また、体調が悪くて寝込んでしまった場合でも、特に大きな病気ではなくただの風邪程度であれば「大したことない」と言います。
他には、楽しみにしていた映画を見た後に、その内容が平凡でつまらないものであった場合なども同様に使うことができます。
このように、物事の程度や魅力が取り立てて言うほど大きくない様子を表した言葉が「大したことない」ということになります。
「大した」というのは「非常な・大変な」などの意味を持つ語で、「程度が甚だしいさま」を表します。その「大した」を「ない」で打ち消すことにより、「程度が甚だしくない」⇒「程度がそれほど大きくない」という意味になるわけです。
大したことないの敬語表現
「大したことない」は、ビジネスメールなどで敬語表現の一部として用いられることがあります。
この場合は、「大したことありません」「大したことございません」などではなく、別の言い方にするのが一般的です。
例えば、「問題ないです」「問題ありません」などの表現です。
「問題ないです」は「問題ない」に「です」を付けた表現で、丁寧語としての意味を持ちます。主に同じ立場の人に対して使われる表現で、相手に「大したことはない」という意を伝えることができます。
また、「問題ありません」は「問題ある」を否定した語で、「問題ないです」よりもやや丁寧な表現です。同じ立場の人というよりは、自分よりも目上の近しい上司などに使われる表現となります。
さらに、この「問題ありません」よりも丁寧な表現が「問題ございません」です。「問題ございません」は、「大したことない」という意を伝える上では、最も丁寧でかしこまった表現です。
主に自分とは遠い間柄の上司や取引先の目上の人などを対象とし、ビジネスメールではよく用いられます。
もしもビジネスメールで、相手の役職や立場などが分かりにくい場合は、この「問題ございません」を使っておけば無難です。
逆に、自分と近い間柄の人に対して用いる場合は、「問題ございません」よりは「問題ないです」「問題ありません」などの方は使いやすい表現だと言えます。状況に応じてこれらの敬語表現を使い分けるようにして下さい。
大したことないの類義語
「大したことない」は、次のような類義語で言い換えることができます。
- ありふれた
- そこが知れた
- 平凡な
- 人並みの
- 平均的な
- ごく普通の
- ありきたりな
- つまらない
- たかが知れている
- 取るに足らない
- 重要でない
- 重大でない
- 騒ぎ立てるほどではない
基本的には「程度がそれほど大きく感じられないさま」「平凡でつまらないさま」などを表した言葉となります。
「同義語」というのはありませんが、この中では「平凡な」「重大でない」などは「大したことない」と比較的近い意味だと言えます。
その他、ことわざだと「大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)」なども類義語の一つです。
「大山鳴動して鼠一匹」とは「事前の騒ぎばかりが大きく、実際の結果が小さいこと」を表したことわざです。山が大きく鳴り動くので何事かと構えていると、一匹のねずみが出てきただけだったという西洋のことわざに由来する言葉です。
大したことないの対義語
逆に、「対義語」としては以下のような言葉が挙げられます。
- 重大な
- 重要な
- 深刻な
- 大変な
- 大ごとの
- 普通ではない
- ただ事ではない
- 非凡な
- 有能な
- 優れた
- 並外れた
- 飛び抜けた
- 才能豊かな
対義語に関しては「大した事」つまり、物事の程度が重大であったり深刻であったりすることを表す言葉となります。
また、「平凡」の対義語は「非凡」なので、「非凡であること」を表した言葉も反対語となります。そこから派生し、才能が優れていたり、能力が突き抜けていたりする様子を表す言葉も反対語ということになります。
大したことないの英語訳
「大したことない」は、英語だと次のような言い方があります。
- 「Not big a deal.」(大したことないよ。)
- 「That’s all right.」(大丈夫だよ・問題ないよ。)
- 「It’s nothing major.」(大ごとではないよ。)
- 「It’s nothing serious.」(重大なことではないよ。)
- 「Nothing to write home about.」(特に良いと言うほとではないよ。)
どれも使われる表現ですが、この中でも「Not big a deal.」「That’s all right.」は比較的よく使われます。
「Not big a deal.」は直訳すると「それは大きな取引ではない」という意味です。「大きな取引ではない」ということは、それはつまり「わざわざ気に留めるほどの問題ではない」ということです。
この事から、日常会話などで「大したことない」という意を伝える表現として使われています。
また、「That’s all right.」は直訳すると「それはすべて大丈夫である」という意味の文です。相手に問題がないことを伝えて、安心させるという意味で「大したことない」と同じ意味で使うことができます。
その他、「It’s nothing major.」は「それは主要なことではない」、「It’s nothing serious.」は「それは深刻なことではない」と訳すことができます。
最後の「Nothing to write home about.」は、直訳すると「故郷に便りを書くほどではない」という意味です。
「write home」は「故郷に便りを書く」という意味を表し、文全体として「期待してたほどではない・平凡でつまらない」という意味で使うことができます。
大したことないの使い方・例文
最後に、「大したことない」の使い方を例文で紹介しておきます。
- 交通事故に遭ってしまったが、大したことない怪我だったので安心した。
- 大したことない病気なので大丈夫だよ。わざわざ心配してくれてありがとう。
- 会社を設立するのは難しそうだと思ったが、意外なほど大したことないものだった。
- 新作映画の評判が良かったので実際に見に行ったが、大したことない内容であった。
- 仕事でミスをしてしまっても、大したことないミスであればそこまで気にする必要はない。
- 彼はやたらと自分の能力の高さを自慢するが、実際には大したことない奴だった。
- プロフィールを見て実際に会ってみたが、思ったより大したことない男であった。
「大したことない」は、上記のように様々な場面で使うことができます。一般的には、自分の怪我や病気などを心配してくれた人に「特に問題ない」という意を伝える際に使うことが多いです。(例文1・2)
また、自分が想定していたことや期待していたことと実際の内容が異なっていた場合に使われることも少なくありません。(例文3・4)
その他には、他人の能力や中身などが思っていたほどではなかったという時に使うこともあります。(例文6・7)ただ、この使い方をする際は、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性もあるので注意が必要です。
もしも他人に対して使う際は、相手が誰であるかを十分確認してから慎重になって使う必要があると言えます。
まとめ
以上、本記事のまとめです。
「大したことない」=程度が軽くて特に問題ないさま・平凡でつまらないさま。
「敬語表現」=「問題ないです」「問題ありません」「問題ございません」
「類義語」=「ありふれた・平凡な・ごく普通の・取るに足らない。重大ではない」など。
「対義語」=「重大な・深刻な・大ごとの・非凡な・有能な・優れた・並外れた」など。
「英語訳」=「Not big a deal.」「That’s all right.」「It’s nothing major.」「It’s nothing serious.」「Nothing to write home about.」
「大したことない」という表現は、そのままでも使えますし敬語として言い換えることもできます。普段の文章だけではなくビジネスでも使われることが多いため、この機会にぜひ使い方を覚えておきましょう。