『数字化される世界』は、教科書・論理国語で学習する評論文です。そのため、高校の定期テストにも出題されています。
ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる部分も多いです。そこで今回は、『数字化される世界』のあらすじや要約、語句の意味などを簡単に解説しました。
『数字化される世界』のあらすじ
①現代では、数字が個人のいちばん核になる部分まで支配するというところまで来ている。それは個人だけでなく、社会においても同様である。社会においても、「統計」の数字が当たり前のように使われており、今後もその重要性は高まっていくに違いない。
②だが、このような社会に対して、統計を重視しすぎることに対する批判も多い。なぜなら、統計の数字がすべてを反映していないこともあるからだ。こういった問題を解決するには、現実をより正確に数字で表現できる「新しい統計」を作り出すしかない。「現実は統計の数字で表される」という事実だけはもはや否定することはできないからだ。
③現代社会において、統計の持つ重要性を考えると、この世界から統計を排除することは決してできない。すでに統計は、現代という時代に固有の「地の枠組み」になっている。現代社会に生きる私たちにとって大切なのは、「統計」についての知識を深めることである。
『数字化される世界』の要約&本文解説
現代社会の私たちは、数字に支配されていると言うことができます。例えば、自分が健康か確かめるためには、端末を体に身につけて、心拍数や走行距離、消費エネルギーなどを数字によって計測します。
また、社会においては、失業率や経済成長率、赤字額、輸出入の量などの数字がどうなっているかを基に、私たちは経済活動を行っています。
一方で、筆者は、統計による数字によって現実が見えなくなることもあるのだと主張します。
例えば、フランスの大統領候補だったオランド氏は、「フランスの失業率のカーブを逆さまにする」と宣言し、実際に「カーブを逆さまにする」ことには成功しました。
しかし、2012年の失業者数よりも2016年の失業者数の数の方が増えていることが分かり、根本の問題の解決は図られないということが起こりました。
このように、統計には現実のすべてが反映されていなかったり、問題のすりかえが行われたりして、現実が見えなくなるような危険もあると筆者は考えているのです。
とは言え、現代社会に生きる以上、私たちは統計の重要性から逃れることはできません。
そのため、筆者は、最終的には統計のマイナス面を言い立てるのではなく、統計についての知識を深めていくことの方が大切なのだと結論付けています。
『数字化される世界』の意味調べノート
【核(かく)】⇒物事の中心。
【把握(はあく)】⇒しっかりと理解すること。
【負債(ふさい)】⇒借りたもの。借金。
【発効(はっこう)】⇒法律や規則などの効力が発生すること。
【反映(はんえい)】⇒あるものの性質が、他に影響して現れること。
【家内労働(かないろうどう)】⇒自宅を作業場として、個人や家族などと物品の製造や加工などを行う労働のこと。
【指標(しひょう)】⇒目印や基準となるもの。何かを示す数値。
【一人歩き(ひとりあるき)】⇒当初の目的や意図とは関係なく、勝手に動いていくこと。
【哲学(てつがく)】⇒世界や人生などの根本原理を追求する学問。
【公約(こうやく)】⇒選挙のときに、立候補者が公衆に対して政策の実行を約束すること。
【発揮(はっき)】⇒もっている能力や特性などを十分に働かせること。
【膨大(ぼうだい)】⇒きわめて数量の多いさま。
【レトリック】⇒巧言(こうげん)。口先だけでうまく言うこと。
【客観的(きゃっかんてき)】⇒特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま。
【非難(ひなん)】⇒他人の行いや言動の悪い点を指摘し、責めること。
【見当はずれ(けんとうはずれ)】⇒推測や判断が外れること。
【排除(はいじょ)】⇒取り除くこと。
【密接(みっせつ)】⇒深い関係にあるさま。
【固有(こゆう)】⇒他のものにはなく、そのものだけにあること。
【言いたてる】⇒強く主張する。言い張る。
『数字化される世界』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①状況をハアクする。
②フサイの額が増える。
③シヒョウを使わない。
④実力をハッキする。
⑤障害物をハイジョする。
まとめ
今回は、『数字化される世界』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。