しのぎを削る意味 語源 由来 例文 類語 英語訳

「しのぎを削る」という慣用句をご存知でしょうか?漢字だと「鎬を削る」とも表記し、様々な場面において用いられています。

ただ、この言葉の語源や由来が気になるという人は非常に多いと思われます。そこで本記事では、「しのぎを削る」の意味や語源、使い方、類語などを含め詳しく解説しました。

しのぎを削るの意味・読み方

 

最初に、読み方と基本的な意味を紹介します。

【鎬を削る(しのぎをけずる)】

激しく刀で切り合う。転じて、激しく争う。

出典:三省堂 大辞林

鎬を削る」は「しのぎをけずる」と読みます。「しのぎ」は先述したように「鎬」と書きます。「凌ぎ」と書くのはよくある誤用なので注意してください。

意味は「激しく争うこと・激しく競り合うこと」などを表したものです。

例えば、ビジネスにおいては各社が売り上げを激しく競うということはよくあります。分かりやすいものだと、夏場におけるビールの売り上げ競争、バレンタインにおけるお菓子の売り上げ競争といったものです。

このような場面では、各社がお客さんに商品を売ろうと必死に争っているので、「しのぎを削る」と表現することがあります。

他には、選挙で立候補者たちが激しく票数を争うこと、プロ野球のチームが優勝争いをして激しくぶつかり合うことなどもしのぎを削ることです。

人と人、あるいは集団と集団などが激しくぶつかり合って競り合う状況であれば、それは「しのぎを削る」と言えます。

しのぎを削るの語源・由来

 

「しのぎを削る」は「お互いの刀同士が激しくぶつかり合う様子」からできた言葉と言われています。

しのぎ」とは「刀の側面の盛り上がった部分」のことを指します。昔の侍は、この「しのぎ」をこすり合いながら戦っていました。

今の戦いで例えるなら、剣道のように相手と剣をぶつけ合いながらじりじりとぶつかっていくようなイメージです。

この時の様子が、まさに周りが息を飲むほど激しかったため、現在の「激しく争う様子・競り合う様子」という意味になったと言われています。

つまり、「しのぎを削る」は元々は人と人が刀で争う様子から生まれた慣用句ということです。転じて、現在では剣術以外の様々な争いにも使われていることになります。

しのぎを削るの類義語

しのぎを削る 類義語 言い換え 同義語 反対語

続いて、「しのぎを削る」の類義語を紹介します。

  • 競い合う
  • 戦い合う
  • 競(せ)り合う
  • せめぎ合う
  • 競合する
  • 決闘する
  • ひしめく
  • ぶつかり合う
  • 覇権争いをする
  • 主導権争いをする
  • 勢力を争う
  • 鍔迫り合い(つばぜりあい)

この中でも、「競い合う・競合する・ぶつかり合う」はほぼ同じ意味の言葉です。したがって、これら三つは「しのぎを削る」の「同義語」と言っていいでしょう。

ポイントは、「どれも敵同士が同じレベルで争う」ということです。「しのぎを削る」は、お互いの実力が拮抗している時に使う言葉です。

そのため、いくら激しい争いでも実力や戦力の差がありすぎるような場合は使われません。もしも実力差がありすぎるような場合は、「しのぎを削る」ではなく「打ちのめす」「叩きのめす」などを使うようにします。

しのぎを削るの対義語

 

「しのぎを削る」の対義語としては次の言葉が挙げられます。

  • 分かち合う
  • 共有し合う
  • 仲良くする
  • 争わない
  • 戦わない
  • 競り合わない
  • 譲り合う

こちらは「相手と争わない」「競り合わない」といった意味を持つものとなります。そこから派生して、「仲良くする」「共有し合う」なども広い意味では対義語に含まれます。

他には、「逃げるが勝ち」なども対義語と言えるでしょう。「逃げるが勝ち」とは「賢い者は、時に戦わずに逃げる」という意味のことわざです。「逃げる」ということは、結果的に相手と争わないことになるので反対語となります。

しのぎを削るの英語訳

 

「しのぎを削る」は、英語だと次のように言います。

go head-to-head

compete with each other

「head-to-head」は、「面と向かって・接戦の」などの意味です。「go」を付けることにより、「面と向かって相手へ行く」すなわち「激しく争う」という意味になります。

また、「compete with」は「競い合う・競争する」という意味の熟語です。「お互い」を意味する「each other」を付けることで同じく「激しく競い合う様子」を伝えることができます。

例文だと、以下のような形です。

Softbank goes head-to-head with Docomo.(ソフトバンクはドコモとしのぎを削っている。)

They compete with each other.(彼らはお互いにしのぎを削っている。)

しのぎを削るの使い方・例文

 

最後に、「しのぎを削る」の使い方を例文で紹介しておきます。

  1. 優秀な商品を開発するために、各メーカーは日々しのぎを削っている。
  2. メンバー同士でしのぎを削った結果、組織全体としてレベルが上がった。
  3. 選挙期間中は、各政党がしのぎを削り、有権者に対して演説するのが日課である。
  4. 政治の世界においては、一番しのぎを削るイベントが国政選挙だと言われている。
  5. あそこの地区は複数のコンビニが出店しており、お互いにしのぎを削っている。
  6. クライマックスシリーズ出場に向けて、各チームがしのぎを削る展開へとなった。
  7. ゲームも終盤に入り、しのぎを削る者たちによる決勝戦がついにスタートした。

 

「しのぎを削る」は、「人と人」もしくは「集団と集団」が激しく争う際に使われる言葉です。したがって、使う対象としてはビジネスやスポーツ、政治などのようにお互いが競争をし合うものが多いです。

特に、選挙などのようにお互いの意地とプライドがぶつかり合うようなイベントにおいては使いやすい言葉だと言えます。

一方で、日常的な場面ではあまり使われません。例えば、いくら激しい争いだとしても子供が争っているようなシーンでは使われません。

「しのぎを削る」は、大人達が高いレベルで競い合っているような場面で使うのが適切だと言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

しのぎを削る」=激しく争うこと・激しく競り合うこと。

語源・由来」=お互いの刀を激しくこすり合う様子から。(しのぎは刀の部位の名称)

類義語」=「競い合う・競合する・ぶつかり合う・せめぎ合う・勢力を争う」

英語訳」=「go head-to-head」「compete with each other」

物事を客観的に見ていると、互いの実力が拮抗しているというシーンをよく見るかと思います。そんな時はぜひ「しのぎを削る」を使ってみてください。