『世界は、いまー「多文化世界」の構築』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、実際に文章を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、本文のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。
世界は、いまー「多文化世界」の構築のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①二十世紀は、世界を一つのシステムにしようとする動きが非常に強かった時代である。十六世紀以来、ヨーロッパ人は世界を「発見」してきたが、それはヨーロッパ的な価値を非西欧世界に広め、西欧化を促す動きであった。一九九〇年代からのグローバル化の動きも、西欧化、近代化と進んできた、世界を一つのシステムにするような動きであり、一番新しい段階のものである。だが、そのような動きは、さまざまな価値の対立やシステムの対立を生んだ。そうした悲惨な経験を経て、世界の主要国は価値・システムの統一を考えてきた。
②近代的なシステムには、さまざまに違った価値の追求がある。その最大のものが、アメリカや西ヨーロッパに代表される自由主義的な価値と、旧ソビエト圏、中国、東欧が追求した社会主義的な価値である。後者の行き詰まりが露呈し、世界の画期が訪れた後に出現したのは、多様な文化や価値が存在する現実であった。日本が国際化と言った場合、旧ソビエト圏や中国は視野に入っていなかったが、東西のイデオロギー対立の終結後は、全地球を覆う形での展開と捉えられるグローバル化という言葉が国際化に変わって広く使われるようになった。
③グローバル化の流れの中で明らかになってきたことは、「文化の多様性」の認識である。グローバル化をアメリカ化だと言う人も多い。文化の多様性を守ることは、個人を守ることにつながる。また、それは多文化世界の構築へ向けての一歩を記すことでもある。「文化の多様性」の擁護に敵対するものは、グローバル化による一元化・画一化であって、それによって生じる、人間と社会の個性の喪失、創造性の抑圧、個人の埋没を防がなくてはならない。政治的・経済的・宗教的な全体主義が世界を覆い、私たちの生きる社会を乾燥した無機質なものにしてしまうことがあってはならない。
世界は、いまー「多文化世界」の構築の要約&本文解説
筆者は、「グローバル化が進んでも、文化の多様性を守るべきだ」と主張しています。グローバル化によって世界が一つのシステムになろうとしていますが、それにより異なる文化や価値観が失われる危険があります。筆者は、そのような画一化に反対し、多様な文化が共存する社会を作るべきだと考えています。
① 20世紀は「一つの世界」を作ろうとした時代だった
16世紀以降、ヨーロッパの人々は世界各地を「発見」し、ヨーロッパの価値観を広めようとしてきました。これは「西欧化」と呼ばれ、他の地域にもヨーロッパ的な考え方を押し付ける動きでした。
20世紀に入ってからも、世界を一つのシステムにしようとする流れは続きました。特に1990年代以降の「グローバル化」は、西欧化・近代化の延長にありました。しかし、この動きはさまざまな価値観の対立を生みました。
② 冷戦終結後、多様な価値観が表面化した
20世紀の後半、世界は大きく二つの価値観に分かれていました。
- 自由主義(アメリカや西ヨーロッパ) → 民主主義や資本主義を重視
- 社会主義(旧ソビエト、中国、東欧) → 平等を重視
ところが、冷戦が終わると社会主義の勢いが衰えました。そして、それまで目立たなかった多様な文化や価値観が表に出てきました。
日本でも「国際化」という言葉が使われていましたが、冷戦後は「国際化」ではなく「グローバル化」という言葉が使われるようになり、世界全体がつながる時代になりました。
③ グローバル化による「文化の画一化」への警鐘
グローバル化によって世界がつながると、世界の文化が均一化されてしまうことを懸念する人もいます。例えば、どこの国へ行ってもマクドナルドやディズニー映画ばかりがあるような状況です。
このように、アメリカの文化が世界に広がることを「アメリカ化」と言う人も多いです。筆者は、グローバル化がアメリカ化になってしまうと、多様な文化が失われ、個人の自由や創造性が抑圧されると警告しています。
文化の多様性を守ることは、単に伝統を守るということではなく、人間が個性を持ち、自由に生きるために重要なことです。もし全体主義(すべてを統一しようとする考え方)が世界を支配してしまえば、社会は個性を失い、機械的でつまらないものになってしまいます。
結論
結論として、この文章の主張は「グローバル化が進む中でも、文化の多様性を守るべきだ」ということです。筆者は、グローバル化によって世界が一つになること自体は避けられない流れだと認めています。
しかし、それが特定の文化(特にアメリカ文化)に偏ることは危険であり、世界中の文化が共存できる「多文化世界」を作ることが大切だと考えているのです。
世界は、いまー「多文化世界」の構築の意味調べノート
【グローバル化】⇒世界が経済的・文化的に一体化すること。
【文明(ぶんめい)】⇒生活を豊かにするもの。特に物質的なもの。
【普遍的(ふへんてき)】⇒広く行き渡るさま。極めて多くの物事にあてはまるさま。
【文化(ぶんか)】⇒ 人間が作り出した精神的なもの、およびその活動。
【科学技術(かがくぎじゅつ)】⇒科学的知識に基づいて発展した技術。テクノロジー。
【曲折(きょくせつ)】⇒物事がさまざまに入り組んで変化をすること。
【植民地(しょくみんち)】⇒他国に支配されている地域。
【端的(たんてき)】⇒はっきりとしているさま。
【多かれ少なかれ(おおかれすくなかれ)】⇒数量や程度に多い少ないの差はあっても。
【構築(こうちく)】⇒作り上げること。組み立てること。
【適応(てきおう)】⇒環境に合うように変化すること。
【客観的(きゃっかんてき)】⇒特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま。
【野蛮(やばん)】⇒教養がなく、粗野なこと。
【矛盾(むじゅん)】⇒つじつまが合わないこと。
【悲惨(ひさん)】⇒見聞きに耐えられないほどいたましいさま。
【局地的(きょくちてき)】⇒特定の限られた地域や範囲に関するさま。
【社会主義(しゃかいしゅぎ)】⇒生産手段を共同で所有し、平等を重視する政治体制。
【イデオロギー(いでおろぎー)】⇒政治的または社会的な思想。
【資本主義(しほんしゅぎ)】⇒生産手段を私有し、利益を追求する経済体制。
【露呈(ろてい)】⇒隠されていた事実が明らかになること。
【画期(かっき)】⇒重要で新しい出来事や時代の区切り。
【中核(ちゅうかく)】⇒中心となる部分や重要な部分。
【画一化(かくいつか)】⇒すべてを同じようにすること。
【埋没(まいぼつ)】⇒世の人に知られないこと。目立たなくなること。
【危惧(きぐ)】⇒将来の危険や悪い結果を恐れること。
【擁護(ようご)】⇒かばい守ること。
【喪失(そうしつ)】⇒失うこと。なくすこと。
【全体主義(ぜんたいしゅぎ)】⇒国家や政府がすべてを支配する政治体制。
世界は、いまー「多文化世界」の構築のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①社会の仕組みをコウチクする。
②カッキ的な発明が世界を変えた。
③国際社会がキキに直面している。
④彼はチームに大きくコウケンした。
⑤この映画のミリョクはストーリーだ。
次のうち、本文の内容を最も適切に表しているものを選びなさい。
(ア)グローバル化は西欧化・近代化の流れの延長にあり、文化の多様性を促進するものではなく、一元化を進める傾向がある。
(イ)冷戦終結後、世界は自由主義的価値のもとに統一され、異なる文化や価値観の対立は解消された。
(ウ)グローバル化は各国の文化の独自性を強め、結果として個性や創造性をより豊かにする役割を果たしている。
(エ)文化の多様性を守ることは個人の自由を抑制することにつながるため、グローバル化による統一が望ましい。
まとめ
今回は、『世界は、いまー「多文化世界」の構築』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。