『生体認証技術の発展と未来』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストにも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくい箇所も多いです。そこで今回は、本作のあらすじや要約、テスト問題などを解説しました。
『生体認証技術の発展と未来』のあらすじ
①指紋認証という技術は、かつては差別・抑圧・服従といった負のイメージで受け取られてきた。だが、最近は、「最新の技術でかっこいい」という明るい反応もあり、生体認証技術のイメージは大きく変容してきている。
②現在、生体認証技術は多様化している。近年需要を拡大しているのが、顔と歩容を用いた「立ち止まらずに認証可能」な技術である。これは一つは混雑緩和を目的とした技術であり、もう一つは、街中の監視カメラと連動させて、犯罪捜査や認知症患者、迷子の検知などを可能とする技術である。
③現代社会は、ヒトやモノに加え、膨大なデータが移動し続ける「動的な世界」である。動的な世界では、私たちは変化する動的な存在として管理されている。生体認証技術はまさに、動的な社会における秩序形成の手段なのである。
④生体認証技術は、その人物が何者であるかを、他者が決定するための道具である。この技術は本人の言葉を介することなく、身体を鍵として個人の情報を取り出す。現代の生体認証技術の普及には、認証されたいという欲求、認証されることで得られる安心感といった、認証される側のニーズも存在している。
⑤テクノロジーによって、自分が何者であるかを決める権利を失う時代が到来している。今、私たちがすべきことは、対面でのコミュニケーションを通じて、認証やデータでは解き明かせない「私」のさまざまな面と出会う機会を大切にすること、そして、テクノロジーがはらむ課題を違和感として気付ける力を身につけていくことである。
『生体認証技術の発展と未来』の要約&本文解説
本文は、内容から五つの段落に分けることができます。
まず第一段落では、これまでの指紋認証の負のイメージが、現在では明るいイメージに変わったことが説明されています。その上で、読者に対して、「個人認証はこの先どこに向かっていくのだろうか」、そして「今、考えなければならないことは何だろうか」という二つの問題提起がされています。
次の第二段落では、最新の生体認証技術の特徴が具体例を挙げながら説明されています。ここでは、混雑緩和、犯罪捜査、認知症患者、迷子の検知など、様々な目的のために生体認証技術が多様化されていることが紹介されています。
第三段落では、動画像での認証がはやる理由について、現代社会の特徴という点から考察されています。現代社会は、膨大なデータが移動し続ける「動的な世界」であり、生体認証技術はまさに、動的な社会における秩序形成の手段なのだと述べられています。
第四段落では、第二・第三段落をふまえ、生体認証技術が膨大なデータの解析によって「私」を認証する技術であることが説明されています。
最後の第五段落では、冒頭の問題提起について最終的な筆者の結論が述べられています。
筆者は、現代社会はテクノロジーによって「自分が何者であるかを決める権利を失う時代が到来している」と述べています。
その上で、今私たちがすべきことは、対面でのコミュニケーションを通じて、「私」のさまざまな面と出会う機会を大切にすることと、テクノロジーがはらむ課題を違和感として気付くことのできる力を身につけていくことだと結論付けています。
『生体認証技術の発展と未来』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①個人をシキベツする技術。
②クツジョク的な体験をする。
③紙幣のギゾウを防ぐ。
④ソウサクしたい人を見つける。
⑤情報のカイセキを行う。
⑥入国をキョヒされる。
まとめ
今回は、『生体認証技術の発展と未来』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中の重要語句については以下の記事でまとめています。