『私の中にある生命の歴史』は、中村桂子による評論文です。教科書・現代の国語にも採用されています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いです。そこで今回は、『私の中にある生命の歴史』のあらすじや要約、語句の意味などを解説しました。
『私の中にある生命の歴史』のあらすじ
生き物は、みんな共通の祖先を持っている。皆さんも含めて地球上の生き物は、体の中に三十八億年の歴史を持っている。誰もが人類の祖先に還るということだ。
三百年もの間、科学は「機械論的世界観」で進められてきたが、どうも「生命論的世界観」の方が実態に合っていると考えられるようになってきた。「人間は生き物であり、自然の一部である」という当たり前のことが「生命論的世界観」の一番大切な部分である。これからの科学は「生命論的世界観」がベースになるだろう。
「人間が自然の一部である」と考えるのは当たり前のことだ。だが、「機械論的世界観」に基づいてつくり上げてきた科学技術中心の社会は、お金や利便性のみを追求したせいで、自然との向き合い方を忘れてしまった。行き詰まりつつあるこの社会をつくり変えるためにも、「人間は生き物であり、自然の一部である」ということを、すべての起点として考えることが重要だ。
『私の中にある生命の歴史』の要約&本文解説
現代の科学は、過去三百年もの間、機械論的世界観によって進められてきました。例えば、車や電車、パソコン、スマホといった機械の発達により、私たちは様々な恩恵を受け、それが当たり前のような感覚で日々を過ごすようになりました。
しかし、筆者はこれからの科学は「機械論的世界観」ではなく、「生命論的世界観」の方が大事なのだと主張します。「生命論的世界観」とは、「人間は生きものであり、自然の一部である」とする考え方のことです。
地球上の生き物は、皆共通の祖先を持ち、三十八億年前からずっと続いてきて今の姿になりました。私たち人間もそれは同じで、自然界の中で長い時間をかけて進化してきました。
一方で、科学技術中心の現代社会は、お金や利便性のみを追求した結果、自然との向き合い方を忘れてしまいました。
そのような社会をつくり変えるためにも、「人間は生きものであり、自然の一部である」という当たり前のことを、筆者はすべての起点として考えることが重要だと考えているわけです。
『私の中にある生命の歴史』の意味調べノート
【祖先(そせん)】⇒今のものに進化する前のもの。
【細胞(さいぼう)】⇒生物体を構成する形態上・機能上の基本単位。
【バクテリア】⇒細菌のこと。
【解析(かいせき)】⇒物事をこまかく解き開き、理論に基づいて研究すること。
【遡る(さかのぼる)】⇒物事の過去や根本にたちかえる。
【還る(かえる)】⇒もといた場所に戻る。
【実態(じったい)】⇒実際の状態。本当のありさま。
【扇(おうぎ)】⇒手に持ち、あおいで風を起こす道具。
【科学技術(かがくぎじゅつ)】⇒科学的知識を用いて開発された機械類や道具類。
【従事(じゅうじ)】⇒その仕事に携わること。
【魅力的(みりょくてき)】⇒人の心をひきつけるような力のあるさま。
【利便性(りべんせい)】⇒便利であること。また、便利さの程度。
【追求(ついきゅう)】⇒追い求めること。
【起点(きてん)】⇒物事の始まるところ。
『私の中にある生命の歴史』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①人類のソセンをたどる。
②サイボウが進化をする。
③データをカイセキする。
④オウギを使う。
⑤業務にジュウジする。
⑥ミリョク的な人物。
⑦利益をツイキュウする。
次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。
(ア)地球上にいるすべての生き物は、みんな共通の祖先を持っており、最終的には誰もが三十八億年前の最初の生命に戻る。
(イ)ベーコンが「自然の操作的支配」と言ったように、現在の科学技術は人間が扇の内側に存在するという考えのもとにつくられている。
(ウ)三百年もの間、科学は「機械論的世界観」で進められてきたが、これからの科学は「生命論的世界観」の方がベースになると考えられる。
(エ)行き詰まりつつあるこの社会をつくり変えるためにも、「人間は生き物であり、自然の一部である」ということを、すべての起点として考えることが重要である。
まとめ
以上、今回は『私の中にある生命の歴史』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。