給与や手当などの数字を求めることを「算定」あるいは「算出」と言います。また、場合によっては「計算」と言ったりもします。
これらの言葉はどう使い分ければいいのでしょうか?今回は、「算定」と「算出」の違い、さらに「計算」についても解説しました。
算定の意味
まずは、「算定」の意味からです。
【算定(さんてい)】
⇒金額・数量などを計算して決めること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「算定」とは「金額や数量どを計算して決めること」を意味します。
例えば、「給与を算定する」「社会保険料を算定する」などのように用います。「算定」は、原則として給与や保険などのお金に対して使われる言葉です。
漢字の成り立ちを確認しておくと、「算定」は「計算して定める」と書きます。つまり、何らかの計算により金額を確定するような時にこの言葉を使うことになります。
当たり前ですが、給与や保険というのは従業員のために正確な金額を出さなければいけません。そこで、きっちりと正確に定めるという意味で「算定」と言うわけです。
算出の意味
続いて、「算出」の意味です。
【算出(さんしゅつ)】
⇒計算して数値を出すこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「算出」とは「計算して数値を出すこと」を言います。
例えば、「見積もり額を算出する」「家との距離を算出する」などのように用います。
「算出」も同じく「金額」に対して使うことができます。ただ、算出の場合は「金額」以外に「距離」などにも使えるのが特徴です。
こちらも語源も確認しておくと、「算出」は「計算して(数字を)出す」と書きます。すなわち、何らかの数値を導き出すような時に「算出」を使うことになります。
算定と算出の違い
ここまでの内容を整理すると、
「算定」=金額などを計算して決めること。「算出」=計算して数値を出すこと。
ということでした。
つまり両者の違いを簡潔に言うと、「算出」した結果、「算定」することができる。ということになります。時系列で表すと、「算出」⇒「算定」です。
分かりやすいように具体例を出しましょう。
Aさんの月額の給与を求めるとします。計算式は、1万円×22日分=22万円です。
この場合、1×22=22は「算出」です。「算定」とは言いません。
一方で、22万円から所得税・住民税などを源泉徴収し、最終的な数値(手取り)を確定したとします。
22万円ー4万(源泉徴収分)=18万円
この時に、上記の式である22-4=18を「算定」と呼ぶのです。
以上の事から考えますと、「算出」は過程を表した言葉、「算定」は結果を表した言葉ということが分かるかと思います。
「算出」は、数値を出すという行為に重きが置かれます。一方で、「算定」は最終的な金額を確定するという行為に重きが置かれます。
どちらも公的な金額を求める時に使えますが、すでに説明した通り、距離などに対しては「算出」のみ使います。
「×」⇒距離を算定する。「〇」⇒距離を算出する。
なお、モノを数えるような時はどちらも使うことができません。
「×」⇒りんごの数を算定する。「×」⇒りんごの数を算出する。
この場合は、「勘定(かんじょう)する」と言います。
計算の意味
似たような言葉で、「計算」があります。
【計算(けいさん)】
①物の数量をはかり数えること。勘定。
②加減乗除など、数式に従って処理し数値を引き出すこと。演算。
③結果や成り行きをある程度予測し、それを予定の一部に入れて考えること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「計算」には複数意味がありますが、一般的には②の意味で使われることが多いです。つまり、「数式によって数値を引き出すこと」です。
例えば、以下のようなものが「計算」に当てはまります。
- 5+7=12
- 9-4=5
- 3×3=9
このように、足し算や引き算、かけ算などを使って答えを出すことを「計算」と言うわけです。
「計算」は、「算定」や「算出」をする前に行われます。時系列で表すと、「計算」⇒「算出」⇒「算定」です。
当然のごとく、計算しないと算出に進めませんし、算出しないと算定にはたどり着けません。そういう意味では、「計算」とは「あらゆる数値を導き出す元となる行為」とも言えるでしょう。
使い方・例文
最後に、それぞれの使い方を例文として紹介しておきます。
【算定の使い方】
- 社会保険料の年間支払額を算定する。
- 基本給から、月額の報酬額を算定する。
- 社会保険の算定基礎届を提出する。
【算出の使い方】
- リフォームの見積もり額を算出する。
- 太陽までの距離を、大まかに算出する。
- 生徒の成績から、平均値を算出する。
【計算の使い方】
- 今日使ったお金を、ざっと計算する。
- 簡単な計算式を使って、問題を解く。
- 損失額を計算してから、株主に説明する。
まとめ
以上、本記事のまとめとなります。
「算定」=金額などを計算して、決めること。
「算出」=計算して、数値を出すこと。
「計算」=数式によって、数値を引き出すこと。
「計算」⇒「算出」⇒「算定」という順で金額を確定する。
「算定」は「結果」を表した言葉です。そのため、「計算」や「算出」をした結果、「算定」できると覚えておきましょう。